FTA(フォルトツリー解析・故障の木解析)とは何か?

2021年7月28日

FTAの概要

FTAとは「Fault Tree Analysis」の略称で、「フォルトツリー解析」「故障の木解析」とも呼ばれます。
その名の通り、製品やシステムの故障を解析・または評価する手法です。
システム開発で多く運用される手法ですが、IT分野以外にも交通システムや化学工場など、故障や不具合が大きな影響をもたらす場面で使用されます。

FTAは「分析」「評価」どちらかの手法に大きく分かれます。
両方の性質を兼ね備えることにより、システムの設計段階や既存システムの問題処理など、幅広い場面で活用することが可能です。

「分析」手法

主に過去に発生した事故から製品の故障箇所や故障した原因を分析します。
これにより、製品の信頼性や安全性を向上することが可能です。

「評価」手法

故障につながる「潜在的な危険(Fault)」を論理的な視点で想定します。故障の発生頻度を定量的に分析することで、故障の発生する確率を導き出すことが可能です。
この場合の「潜在的な危険(Fault)」とは、ヒューマンエラーや製品の故障を指します。

ツリー図による解析

FTAはツリーと名がついている通り、ツリー図(樹形図)によって解析を行います。
まずツリー図のトップに、解析の中心となる「上位事象」を掲げます。これはもっとも大きな故障の単位です。
そこからツリーの枝を伸ばして事象を分解し、原因となる要素を列挙していきます。

フォルトツリーのイメージ(画像はWikiより)

たとえば「部品が破損した」という上位事象の場合、下位に「内部に異常が発生した」「外部のものに接触した」という要素がピックアップされます。
さらに「内部の異常」の原因として、「部品の経年劣化」「漏電」など種々な要素が挙げられます。「外部との接触」には「部品位置が不適切」「保護カバーの不足」などが挙げられるでしょう。
そして「部品の経年劣化」「漏電」「部品位置」「保護カバー」それぞれに対し、さらに分解した要素をピックアップしていく……という流れがFTAの主な手順です。
このように要素を次々分解していき、これ以上要素が展開しないというところまで突き詰めます。
広げていった要素を、最終的にツリー図にまとめるまでが一連の流れとなります。

大きな事象を上から分解して解析していくため、FTAは「トップダウン」的な解析とされています。
FTAとは逆に、下からボトムアップで故障を解析していく手法に「FMEA(故障モード影響解析)」があります。

国際規格「HAZOP」

FTAやFMEAとも異なる手法に、国際規格の「HAZOP(Hazard and Operability Study)」があります。
HAZOPは事故の特徴をより抽象的にすることで、トップダウンとボトムアップ両方の流れで解析を行うことが可能です。
「FTA」「FMEA」「HAZOP」を組み合わせ、適切に活用することにより、不具合のさらなる早期発見が可能となります。

参考