2軸思考とは何か?複雑な問題を単純化して解決する方法を解説

2023年4月19日

2軸思考とは

問題解決やアイデア出しは、ビジネスマンにとって必須のスキルです。
2軸思考は、こういった難しい問題に直面した時に、その物事について単純化し、2軸で考えるシンプルなフレームワークです。2本の線を引いて図表を作ることで、問題や物事が「見える化」され、明確になります

この2軸思考は、プロジェクトマネージャー経験が豊富な木部智之が、自身の15年間の経験から、考案した思考法です。これを実践すれば、複雑だった問題が単純化され、素早く解決に導くことができます。

動画でも解説しています

2軸思考については動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

なぜ2軸思考が必要なのか?

問題解決を早める要素

多くの人は、トラブルが発生したら、とにかく早く対応して問題を解決しようとします。
しかし、トラブルの内容が複雑に入り組んでいた場合、複雑なまま対応しようとしても、上手くいきません。早く問題を解決するためには、まず物事を整理する必要があります。
すぐに対応しようとするのは、一見良いことのように思えますが、思いつきで慌てて行動してしまうため、多くの場合は時間がかかってしまいます。

そのため、一度立ち止まって「やるべきタスクはなんなのか」を整理して、誰が担当するのかなどを決めてから行動に移す方が、問題の解決は早まります。
それでは、具体的な問題の整理方法を次から見ていきましょう。

問題を整理する方法

整理すると言っても、複雑な内容を整理するのは難しいことです。そのような時は、以下の方法を実践してみてください。

  • 考える枠を決める
  • 全体像を把握する
  • 必要なことだけを考える

そして、この問題整理の方法を網羅することができるのが、2軸思考のフレームワークです。

2軸思考に使う基本の図は3種類

2軸思考の図をつくる時にまず必要な作業が、どのタイプの図を使うか決めることです。このフレームワークには、3つのタイプの図があります。次から、それぞれがどういうもので、どういう時に使うのかを紹介していきます。

マトリクスタイプ

2軸思考 マトリクスタイプのイメージ
マトリクスタイプ

一番、基本的なタイプの図です。左上で2本の線を交差させます。このタイプは、全体把握をしやすいのがメリットです。どのタイプを使えば良いのか迷う時は、このマトリクスタイプを使ってみると良いでしょう。
縦軸と横軸には、「要素」あるいは「流れ」を設定します。縦軸と横軸を考える時に、あらかじめ項目数が多くなりそうだとわかっていれば、縦軸を伸ばすと良いでしょう。横に広くするよりも、縦に伸ばす方が見やすいためです。

4象限タイプ

2軸思考 4象限タイプのイメージ
4象限タイプ

2本の線を真ん中で交差させ、4つのセクションをつくるタイプです。このタイプを使う場面は、ポジションを知りたい時や分散傾向を分析したい時です。これもマトリクスタイプと同様、縦軸と横軸には「要素」か「流れ」を設定します。
このタイプのポイントは、上と下、左と右には正反対のセクションになるようにする点です。たとえば、売上の多い・少ない、コストが高い・低いといったことです。また、基本的には上と右に良い要素を入れ、左下には最も良くない要素を入れます。

グラフタイプ

2軸思考 グラフタイプのイメージ
グラフタイプ

最後に2本の線を左下で交差させるグラフタイプです。皆さんも仕事でよく使うグラフが、これに当たります。このタイプの特徴は、変化がわかりやすい点です。たとえば、年度別の売上のグラフをつくれば、どのように売上が変化してきたのか、伸びているのか、下がっているのかが視覚的に捉えやすくなります。

図をつくる手順

  • 枠タイプの決定・・・目的に合わせたタイプを選択します
  • 軸の設定・・・縦軸と横軸に入れる「要素」と「流れ」を決めます
  • 枠を埋める・・・枠に数字やテキストを入れて、埋めていきます

2の手順が一番難しいかもしれませんが、軸となるのは「要素」か「流れ」の2つです。「要素」は商品や売上などの情報で、「流れ」というのは、工程など変化のある情報のことを表わしています。

図をつくるポイント

実際に図をつくる際に、気をつけたいポイントを3つ紹介します。

手書きでつくる

頭の中だけで考えるのではなく「見える化」すると、考えるべきことが明確になるとお伝えしてきましたが、これは手書きだとさらに良いでしょう。もちろん資料を作成する時には、パソコンで作成すれば良いのですが、最初からデジタルで書いてしまうと、見栄えに意識がいってしまい、肝心の思考がおろそかになってしまいます。また、手で書くとキーボードで打つよりも、記憶にも残りやすくなります。

2つの軸のみにする

どんなに複雑な問題でも、2軸のみで考えます。これより多くしてしまうと、せっかくシンプルに整理しようとしているのに、複雑なまま問題に取りかかることになってしまい、意味がありません。本当に必要なことを選択し、内容を絞って2軸をつくりましょう。

方向性を意識する

軸の向きを意識することも大切です。横軸の思考方向は、左から右です。物事の手順や、時間の経過の方向です。思いつきの順番で考えるのではなく、軸の始まりと終わり、そして向きを意識して考えた方が効率的に思考を進めていけます。

2軸思考のメリット

ここからは2軸思考を使うメリットを紹介します。

悩む時間がなくなる

2本の線を引いて表を作るだけで、考えるべきことややるべきことが明確になります。なにをすべきかわからないと行動ができずに、すぐにできるメールの返信などの簡単な作業ばかりしてしまいがちです。しかし、すべきことが明確になると、なにをしたら良いのだろうと迷ったり、悩んだりする時間はなくなり、本当に優先すべきことに時間を使えます。

アイデアが生まれる

なにもない真っ白なホワイトボードを前にして議論するよりも、縦軸と横軸を設定した表を用意することで、必要な部分に集中して考えられます。それは、考えるべき事柄が表によって明確になったからです。

資料がつくれる

テキストのみで説明された場合と、図や表を使って説明された場合では、後者の方が理解しやすいのは、自明です。つまり、図表は非常に重要です。これを、2軸を使ってつくります。2軸の図表を使えば、否応なく情報が整理されたシンプルな資料になります。

問題解決の具体例

では実際にどのようにビジネスシーンで使うことができるのか、具体的に見ていきましょう。

なにが問題か分からない時

上司から、売上が下がっている商品の課題と解決策を考えるよう指示されたとします。売上が落ちている原因は、わかっていません。こんな時は、マトリクスタイプを使って「起きている事象」「課題」「起こすアクション」を並べてみるだけで、見えてくるものがあります。騙されたと思って今あるデータをすべて並べてみましょう。問題が整理され、解決策が見えてきます。

アイデアを出したい時

たとえば、自分が営業担当をしているとします。プレゼンする内容を考える時、自分が伝えたい商品の魅力と、相手が聞きたいことの2つの視点を、2軸で考えます。自分が魅力的だと思う商品の機能は、お客さんにしてみればあまり使わない機能で、別の機能に関することで困っていて、解消したいと考えているかもしれません。相手の立場を想像して、2つの視点を軸に営業活動を考えましょう。

2軸思考を習慣にする

ここまで2軸思考を使う方法を紹介してきましたが、実際に自分で数をこなさないと最初は上手くいかないかもしれません。しかし、この考え方や図を用いることを習慣にしてしまえば、仕事を効率化できます。トレーニング方法を2つ紹介します。

あらゆるものを図解する

仕事で出会う複雑な長文のメールや、わかりにくい資料を図解してみましょう。これらを2軸で図解してみてわかりやすくなったら成功です。仕事にも役立ちますし、一石二鳥です。

資料に図を使う

資料作成の機会は、ビジネスマンには数多くおとずれます。意識的に図を使うようにしましょう。このように様々なものを図解するうちに、どのタイプを使えば良いのかすぐに判断し、考えていることを素早く構造化できるようになります。

まとめ

2軸思考を行う一番の理由は、とにかく問題をシンプルに整理するためです。複雑なまま問題に当たろうとすれば、なかなか上手くいきません。シンプルにして、考えるべきことはなんなのかを明確にした上で、ひとつひとつ解決していきましょう。

参考

  • 木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考』KADOKAWA、2017年