プロダクトマネジャーとは何か?プロジェクトマネジャーと比較しながら解説

2021年7月27日

プロダクトマネジャーの概要

プロダクトマネジャーはプロダクト開発の責任者です。求められる役割は広く、ビジネスと顧客の両方を深く理解し、価値を生み出す適切な機会を見極め、ユーザー分析や顧客フィードバック、マーケット調査のデータをもとに、プロダクトチームが進むべき方向を決定します[1]Melissa Perri(著)吉羽龍太郎(訳)『プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』オライリージャパン、2020年、23頁。
これらの役割をまとめると、プロダクトマネジャーの仕事は「プロダクトを育てる」ことと、「ステークホルダーをまとめ、プロダクトチームを率いる」ことに分けられます[2]及川卓也、曽根原春樹、小城久美子『プロダクトマネジメントのすべて … Continue reading

プロダクトマネジャーに似た言葉に「プロジェクトマネジャー」があります。
両者ともに「PM」と略され、しばしば混同されることもありますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

今回はプロジェクトマネジャーと対比させながら、プロダクトマネジャーについて解説していきます。

プロダクトマネジャーの役割と責任

上述の通り、プロダクトマネジャーの役割は広く、目標を共有してチームをけん引していきながら、予算を管理したり、ステークホルダーと良好な関係を構築していったりもします。
この点はプロジェクトマネジャーも同様であり、予算の管理からチームビルディング、進行管理など役割は多岐にわたります。こうした点がプロダクトマネジャーとプロジェクトマネジャーが混同される原因なのかもしれません。
両者は負っている責任も似ています。プロダクトマネジャーはプロダクトの成功に責任を負っており、プロジェクトマネジャーはプロジェクトの成功に責任を負っています。
たとえば、新製品を開発するプロジェクトを管理するのはプロジェクトマネジャーですが、開発した製品が顧客に受け入れられ、成長できるようにするのはプロダクトマネジャーの務めです。
プロジェクトが有期の仕事であるという性質から、プロジェクトマネジャーの任期は期限がありますが、プロダクトマネジャーはプロダクトがその目標を達成するまで長期的に対応していきます。

プロダクトマネジャーに求められるスキル

プロダクトマネジャー、プロジェクトマネジャーともに求められる役割が広いため、求められるスキルも広範です。両者の違いは、プロジェクトマネジャーがプロジェクト管理のプロフェッショナルであることを求められるのに対して、プロダクトマネジャーはプロダクト開発のプロフェッショナルであることを求められます。

たとえば、新製品を開発するというプロジェクトのプロジェクトマネジャーは必ずしも開発のプロフェッショナルであることを求められません。そのため、技術的な問題が発生した時は、その時の技術担当者が問題を解決するということも少なくありません。

しかし、プロダクトマネジャーは扱っている製品・プロダクトの開発に精通している必要があり、チーム・メンバーが抱えている技術的な課題にも、適切にアドバイスすることが求められます。

プロダクトマネジャーの評価の軸

プロダクトマネジャーとプロジェクトマネジャーでは評価される軸が大きく異なります。
プロジェクトマネジャーはプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして、プロジェクトが成功したかどうか、つまり求められていた予算・納期・品質でプロジェクトを完了できたか否かで評価されます。
そのため、プロジェクトで生み出されたプロダクトが期待されていたような効果を上げられなくとも、プロジェクトマネジャーの評価には直接影響はありません。効果が上げられないのは、そのプロジェクトの発案者の責任です。
一方で、プロダクトマネジャーはプロダクトの成果で評価されます。そのため、「このような新機能を開発しました」というだけでは評価されず、その新機能で「何円売上が増加したのか」、「何人のユーザーが新規登録したのか」という数値を以ってはじめて評価されます。

1Melissa Perri(著)吉羽龍太郎(訳)『プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』オライリージャパン、2020年、23頁。
2及川卓也、曽根原春樹、小城久美子『プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで』翔泳社、2021年、8頁。