テキストにマーカーやアンダーラインをひくのは効果がない?フォン・レストルフ効果(孤立効果)について解説

2023年9月14日

フォン・レストルフ効果(孤立効果)とは

フォン・レストルフ効果(Von Restorff effect)は、記憶と認知心理学の分野で研究されている心理学的な現象の1つで、「孤立効果」とも呼ばれます。
この効果は、異なる要素の中で、特別な要素が視覚的または認知的に際立つ場合、その特別な要素が他の要素と比べて記憶に残りやすくなる現象を指します。

たとえば、リスト内のアイテムが異なる色やサイズ、フォント、位置などで表現されている場合、その中で特定のアイテムが他のアイテムと異なる特徴を持つ場合、その特徴を持つアイテムが記憶に残りやすいということがあります。

テキストにマーカーやアンダーラインをひく時の注意点

フォン・レストルフ効果は、情報処理の過程において注意を引き、記憶の深化に寄与する可能性があるため、広告や教育などのコミュニケーションや学習において活用されることがあります。

たとえば、テキストにマーカーをひいて目立つようにするのは、フォン・レストルフ効果を狙ったものです。
テキストの重要な部分にマーカーやアンダーラインをひくことで、記憶に残りやすくなります。

注意しなければならないのは、以下の2点です[1]三宮真智子『メタ認知で〈学ぶ力〉を高める: 認知心理学が解き明かす効果的学習法』北大路書房、2018年、84頁、88頁。

  • アンダーラインやマーカーをひきすぎない
  • 読み返す時間が大切

注意点の1つは、アンダーラインやマーカーをひきすぎてはいけないということです。
あまりにアンダーラインをひきすぎてしまうと、フォン・レストルフ効果が働かなくなり、記憶に残らなくなります。
アンダーラインやマーカーは慎重に使うようにしましょう。

また、アンダーラインやマーカーをひくこと自体には学習効果はありません。
アンダーラインやマーカーは、あくまで読み返した時に、重要な部分が記憶に残りやすいというものなので、読み返す時間を設けましょう。


1三宮真智子『メタ認知で〈学ぶ力〉を高める: 認知心理学が解き明かす効果的学習法』北大路書房、2018年、84頁、88頁。