認知負荷と「明確な問題」「不明確な問題」

2023年8月29日

認知負荷とは何か?

認知負荷(Cognitive Load)とは、個人が特定の課題や活動を行う際に、その活動に必要な認知的なリソース(注意力、ワーキングメモリなど)の使用量を指します。つまり、人が情報を処理したり課題に取り組んだりする際に必要な脳の働きの負担を表現する概念です。

認知負荷の概念は、ジョン・スウェラー(John Sweller)などの認知心理学者によって提唱され、教育や認知心理学の分野で広く研究されています。

認知負荷理論は、教育分野において効果的な教育方法や学習資源の設計、ユーザーインターフェースの設計などに応用されます。タスクの複雑さや説明の明瞭さ、情報の構造化などが認知負荷に影響を与えるため、適切な認知負荷の管理は、学習やタスク遂行の効率性と理解度を向上させるのに役立ちます。

明確な問題と不明確な問題

私たちの身の回りにある問題は、問題の定義が明確な「明確な問題」と定義が不明確な「不明確な問題」に分けられます。

ハノイの塔
ハノイの塔(画像はWikipediaより)

明確な問題は、ハノイの塔と呼ばれる思考課題のように、ルールが明確であり、答えもはっきりとしている問題です。
一方、不明確な問題とは「テストの点数を上げるにはどうすればよいか?」のように、定義もあいまいで、答えも1つではない問題を指します。
この不明確な問題の認知負荷は明確な問題よりも高くなります。

参考

書籍

  • 三宮真智子『メタ認知で〈学ぶ力〉を高める: 認知心理学が解き明かす効果的学習法』北大路書房、2018年

Webページ

  • https://en.wikipedia.org/wiki/Cognitive_load(2023年8月23日確認)
  • https://en.wikipedia.org/wiki/John_Sweller(2023年8月23日確認)