社会人がIT系専門学校へ入学する際のポイント

2022年11月11日

はじめに ―社会人の専門学校入学について―

社会人としてIT系以外の職に就いているが、これから専門学校で学びなおしてIT系の仕事に就いてみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、社会人がIT系専門学校へ入学を考える際の、学校選びのポイントについて解説していきます。

なお、数ヶ月で修了するプログラミングスクール等に入学するケースについては、この記事では言及しておりませんのでご注意ください。
卒業することで専門卒の学歴を得ることのできる専門学校を対象にみていきます。

現役生以外で専門学校生に多いパターン

専門学校というと高校卒業後に通う学校というイメージがありますが、実際は高卒すぐの現役生だけでなく、様々な年齢や経歴の方が通学しています。
現役生以外で多いのが大学を中退した方や元フリーターの方です。元社会人で一般企業に就職していた方は、そこまで多くありません。
また、学校によっては、海外からの留学生が日本人学生と匹敵するくらい多いというところもあります。留学生は、大抵母国で別の仕事に就いたのちに留学するため、ほとんどの方が元社会人です。

社会人が専門学校を選ぶポイント

ここでは、社会人が入学する専門学校を選ぶときに、注目すべきポイントを紹介していきます。

ポイント1:カリキュラム

最初のポイントは、学校のカリキュラムが、実務と資格の両方をバランスよく学べるようにできているかという点です。
資格の勉強ばかり、もしくは実務系ばかりという学校に入ってしまうと就職活動で苦労することになります。

IT系の実務とは、プログラミングはもちろんのこと、システム開発やサーバなどの運用、ネットワークやセキュリティ対策の技術も含まれます。
資格の勉強が中心の学校でも、多少はプログラミングやシステム開発には触れるようになっていますが、運用やネットワーク・セキュリティ関連の授業はほぼないという学校はある程度あります。
ただ、IT業界ではこういった開発職以外の求人も多いため、バランスよく触れていないと思うような仕事に就くことが難しくなります。

IT系の資格についてもたくさんの種類がありますが、国家資格である基本情報技術者試験はもちろんのこと、ベンダー資格と言われるCiscoやオラクルの資格も勉強できるところがオススメです。
専門学校は入試がないか、入試があったとしてもほぼ全員が合格できる学校がほとんどです。そのため専門学校卒の学歴があるだけでは、能力の証明にはなりません。
特に現役生より年齢が高めの社会人の場合、資格がないとかなり就職に苦労することになります。学校で勉強する資格は確実に取得する心構えでいくのがよいでしょう。

ポイント2:就職実績

ほとんどのIT系専門学校は、業界就職率は90~100%としています。
就職率だけでなく、どういった会社に毎年何人就職しているかをチェックするとよいでしょう。
特定の会社にばかり大量に採用されている場合は要注意です。大量採用のブラック企業で、入社数ヶ月でほとんどの人が退職しているというケースもあります。

また、「業界就職率」ではなく、「就職率」としか出していない学校は、IT業界ではなく、飲食や販売、介護業界の内定も含んでいる可能性があるので注意が必要です。

専門学校生の就職活動は大学生とは異なり、リクナビなどの就活サイトを利用した応募よりも、学校に来ている求人への応募が中心になります。
このため、学校にどれだけの求人が来ているかということが、就職の決まりやすさの目安になります。

ポイント3:卒業年数

社会人ならなるべく2年で卒業できるところがオススメです。
3年制コース、4年制コースは高卒すぐの若い学生が多い一方、2年制のコースは既卒生の占める割合が多いです。既卒生の方が高卒生よりも真面目な学生が多いため、集中して学習に取り組めるかと思います。

2年間の学生生活とはいっても、勉強に集中できるのは1年間もありません。
2年制コースの場合、1年生の2月頃から就職活動が始まり、2年生の間はほとんど就活が中心の学校生活になってしまいます。
年齢のハンデをカバーするなら、2年生の就職内定後も、スキルアップや資格取得を頑張ることが重要です。
若い学生は就職内定後はどうしてもアルバイトや遊びに集中しがちです。社会人の方は流されないように、専門学校に入学した目的を忘れずに行動するとよいでしょう。

ポイント4:学費

学費があまり安すぎるところはオススメできません。
学費の安さには以下のような理由があります。

  • 少人数で行う授業が少なく、一人の講師で大勢の学生を教えている。
  • IT設備のいらない、座学の資格系の授業ばかりである。
  • 教室や空調のいらないオンライン授業ばかりである。
  • PCや機器の購入費、学校行事費など、事あるごとに追加料金を取る。

また、少人数クラスがいいというイメージがある一方、あまりにも学生が集まっていない学校にも注意が必要です。1クラス何人程度で構成されているのか、事前に確認しておくとよいでしょう。

ポイント5:学校行事

IT業界人による講演会、IT企業を招いた学生作品の展示会、IT企業による学内の就職説明会といったイベントをどれだけやっているかチェックしておくとよいでしょう
こういったイベントをたくさん開催できる学校は多くの企業とのコネクションを持っているので、就職に割と有利になります。

逆に専門分野に関係のない行事(スポーツ大会、海外旅行、卒業後のパーティなど)が強制参加だったり、勧誘が激しかったりする学校は要注意です。
行事費用の集金目的だったり、ITコースの学生数が少ないため他のコースとの合同授業と称して、カリキュラムを埋めたりしている可能性があります。
「海外旅行に申し込まなかった学生には個別面談で説得する」なんていう学校もあるので、事前に学校の雰囲気をしっかり調べておきましょう。

ポイント6:講師

学校説明会や学校体験イベントなどに参加した際、講師の年齢層に注目しておくとよいでしょう。
あまりに若い講師ばかりの学校には注意が必要です。
多くの専門学校の講師は、大学や専門学校を卒業後、IT企業で経験を積んだのちに講師になっています。また、大学の講師を目指していたが、食べていくのが難しく専門学校で講師になる方も一定数います。

若い講師ばかりの学校は、こういった人材を採用できていない可能性があります。
安い給料で雇えるIT業界未経験の若者を講師として採用している学校も一定数あります。中には、専門学校の卒業生で社員として使いやすそうな学生を、そのまま講師としてスカウトしているような学校もあります。

ある程度の業界経験を積んだ講師に教えてもらえそうな学校を選ぶようにしましょう。

まとめ

今回は、社会人がIT系専門学校に入学を考える際の、学校選びのポイントについて解説しました。

専門学校業界は、学校によって経営状況が全く異なります。
人気が高く、例年早めに定員が充足する学校もあれば、学生がなかなか集まらず定員割れが何年も続き廃校寸前という学校もあります。

IT業界への就職に向けて、目標を実現できそうな学校かどうかを、いろいろな観点から見極めることが大切です。