自己理解とは何か?他者理解だけでなく、自己理解を深めるツールで社員のモチベーションを上げる

2021年9月15日

モチベーションはどこからもたらされるか?

常日ごろ、私たちは仕事や組織活動を通じて「モチベーション」という課題に向き合います。あなたは、モチベーションをコントロールしようとするときに、何をもってコントロールしようと考えるでしょうか?
多くの場合は、モチベーションを「動機付け」ととらえ、インセンティブ(報酬)を与えることでモチベーションを上げようと試みます。
一番わかりやすいインセンティブは「お金」でしょう。
お金は多くの人にとって重要な動機付けになり、給与の高い企業には多くの優秀な人材が集まります。
しかしインセンティブをお金のみと考えるのは非常に危険です。
それ自体は間違っていませんが、お金のみをインセンティブとして使用するには限度があるため、その他のインセンティブを用いる必要があります。
そこで重要になってくるのがお金に代わるモチベーションの源泉です。今回は「自己理解」をご紹介し、仕事自体がインセンティブになりうることをみていきましょう。

自己理解とは何か

意外と難しい「汝自身を知る」こと

自己理解とは、文字通り「自分のことを理解すること」です。一見単純なことのように思える自己理解ですが、自分のことを知るということは案外難しいものです。

古代ギリシャのデルフォイ(デルポイ)神殿の柱に「汝自身を知れ」という文が刻まれているのはご存知でしょうか。この言葉に影響された古代ギリシャの哲学者たちが、人生における重要な問いとしたのが「自分を知る」ことであったのです。

自己理解がなぜモチベーションに影響するのか?

では、なぜ自己理解がモチベーションに関係してくるのでしょうか。それは、人によってモチベーションの要因として働くものが違ってくるからです。

ある人は人前で話すことが得意で、そのような仕事に関わることで満足感を得ます。しかし、その一方で人前で話すのは苦手でストレスになってしまう人もいます。これを単純に「好き嫌い」で考えてはいけません。

実は「向き不向き」「自分が何に向いているか」ということこそがモチベーションに大きく関係し、ひいては仕事のパフォーマンスそのものに影響することがわかっているのです。

つまり、自分が好きなもの、自分の得意とするもの、つまり自分の才能を正確に理解することができれば、モチベーションの問題は自然と解決に至ります。

ストレングスファインダーによる自己理解

では、正確に自己理解を得るためにはどうしたらよいのでしょうか。

一般的には自分の長所、短所などを考えることが自己理解につながると考えるかもしれません。

しかしその場合出てきた長所が「人に教えるのが好き」「コツコツ作業をするのが得意」であったとしても、それがどのような強みで、どう活かされるべきなのか、明示しづらいことがほとんどです。

そういった悩みを解決するツールとしておすすめなのが「ストレングスファインダー」です。

ストレングスファインダーとは、米国ギャラップ社の開発したオンライン「才能診断」ツールで、Webサイト上で質問に答えることで自分の才能(=強みの元)を教えてくれます。

参考:Clifton StrengthsFinder

ストレングスファインダーでは「無意識に繰り返し現れる思考、感情、行動のパターン」こそが「才能=強みの元」と判断します。

自分がふだん何気なくしている行動や考え方それ自体が才能であるという、とてもシンプルかつ斬新な考え方なのです。

たとえば自分では当たり前だと思っていることでも、他人から見るとすごいことである場合があると思います。それこそがその人の才能と呼べるというわけです。

ストレングスファインダーではその才能を34個に分類し、上位の5つを示したうえでその才能の特徴や、それをいかに活かすかを教えてくれます。

ジョハリの窓による自己理解

ジョハリの窓のイメージ

上記のストレングスファインダーは有料なので気軽に試せないということもあるでしょう。

無料で自己理解を深めるためのワークショップを行いたいなら、「ジョハリの窓」を作成していくことがおすすめです。

ジョハリの窓では、人には「公開されている自己」(open self)「隠されている自己」(hidden self) があると共に、「自分は知らないが他人は知っている自己」(blind self) 「誰にも知られていない自己」(unknown self) があるという考えに立っています。

ジョハリの窓を作成する際は、2つの軸を用意します。1つは自分の理解を示す軸、もう1つは他人の理解を示す軸です。

それぞれ「わかっている」「わかっていない」と2通りに分類するので、2×2の4つの領域ができます。
これが窓に見えることが「ジョハリの窓」と呼ばれる所以です。

このジョハリの窓を上司と部下、あるいは同僚といっしょにつくっていくことで、自己理解を深めることができます。

ジョハリの窓については下記の記事で詳しく説明していますので、よろしければご覧ください。

モチベーションにつなげる働き方

ストレングスファインダーやジョハリの窓で「自分がどのような人間か」が十分に理解できたら、そのあとにすべきことは何なのでしょうか。

それは個人の才能を活かした働き方ができるように仕事の内容や、その取り組み方を変えることです。

個人に合った環境で働くことは何よりもモチベーションにつながります。なぜならそこで働くことそのものがインセンティブとなり、モチベーションに働きかけるからです。

つまり一番効果的なインセンティブとは、仕事をすること自体がインセンティブにつながることなのです。

私たちがモチベーションという問題を考えるのであれば、まずこの点が改善できないかを考えるべきなのです。

仕事や作業そのものから喜びや満足感を得られる方法を見つけることは、金銭的なインセンティブと同等かそれ以上の効果をモチベーションに対して与えてくれます。

正確な自己理解を得ることこそがモチベーションへの一番の近道と言えるでしょう。