役割が明確でないままのプロジェクト参加は危険!トラブルに発展した事例を紹介

2022年2月28日

あいまいな立場でのプロジェクト参加は危険

プロジェクトに参加するタイミングや理由は人によってさまざまですが、立場も役割もあいまいなままで参加すると、とんでもないトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
今回はプロマペディアに寄せられた失敗談をもとに、その教訓を考えていきましょう。

失敗談

私は主にFPGA開発や装置開発などハード開発を行っていました。分野的には放送、画像処理、宇宙、通信などです。
私が炎上プロジェクトのヘルプに入った際の失敗事例をご紹介します。

ある時、事業部長代理が私の机にきて「ちょっと話があるから」と声を掛けられました。なんでも、うまくいっていないプロジェクトがあるので手伝ってほしいとのことでした。
このプロジェクトは音声切換装置の開発で、同じ部のSマネージャーが担当していました。
このSマネージャーはいままでの仕事でも問題が多く、複数回の赤字プロジェクトを発生させたり、出荷後バグが発見されるなど、実力が問題視されていました。
事業部長代理から朝会に入ってほしいと要請された私は、その当時大きなプロジェクトを持っておらず、Sマネージャーとも知らぬ仲ではなかったため、「朝会に参加するくらいならいいか」と思い、朝会に参加することにしました。

それから私は毎日朝会に参加し、プロジェクトを改善するため状況の把握とその日のToDoリスト/担当を決めていました。しかし、進捗がなかなか改善しませんでした。
そのうち、朝会に事業部長代理や統括マネージャーも参加するようになりました。朝会にて事業部長代理や統括マネージャーが私にどうなっているのか、フォローしろなどいうようになり、いつの間にか私が前面に立つ形になっていました。朝会だけではなく、日中のメンバーの進捗把握/作業の誘導、FPGAベンターとの調整/改善策の要請、外注先の状況把握と改善指示などの調整作業もすることになりました。

次第に、事業部長代理や統括マネージャーが直接朝会で指示をだすようになりました。朝会が、毎日12時過ぎまで続くようになり、私も現場に張り付くようになりました。深夜の10:30まで。私の家は、会社から遠く、通勤時間が約2時間弱くらいかかります。なので、毎朝5時半起きで、帰りが深夜0時を回ることが珍しくない日々が続きました。当然毎週土曜も同じです。

メンバーの残業規制のため、メンバーを休ませないといけません。Sマネージャーを含めすべてのメンバーを休ませても、朝会は開かれます。事業部長代理と統括マネージャーと私の3人だけです。まさにつるし上げ状態です。この朝会の恐怖から、寝られない日々が続きます。当然、食欲もなくなり、体調も悪くなっていました。
そんな重い気持ちが続くなか、意を決して、直属の上司である部長に状況を打ち明けました。状況を説明している際に、泣いている自分に気がつきました。部長もこの状況を見てまずいと思ったらしく、健康管理センターに連絡し、相談していました。私は健康管理センターに行くことになり、その場で、心療内科の予約をとり、すぐ帰宅となりました。次の日から、一週間お休みしました。
その後、私はプロジェクトを外されました。プロジェクトがどうなったかは不明です。

RACIチャートで役割を明確にしよう

今回の失敗談は役割がはっきりしないままプロジェクトに参加し、自身含めプロジェクト・チームが疲弊していくという話でした。結局、事業部長代理が失敗談の投稿者さんに求めていたのは何だったのかも、Sマネージャーがどうなったのかもはっきりしません。進行中のプロジェクトに途中から参加する場合はとくに、自身の役割が何なのかをはっきりさせなければなりません。

RACIチャートのイメージ図
RACIチャートのイメージ

プロジェクトでの役割を整理する際はRACIチャートを使うと情報の整理がしやすくなります。
RACIチャートでは、プロジェクトの役割を“Responsible(実行責任)”、“Accountable(説明責任)”、“Consult(相談対応)”、“Inform(情報提供)”の4つに分けて整理しています。
このRACIチャートを使って、プロジェクト・メンバーの役割を整理していくと良いでしょう。RACIチャートについては、下記の記事もご参照ください。