ローミングとは何か?Wi-Fi接続を維持する仕組みを解説

2022年6月14日

ローミングとは

ローミングとは、複数のWi-Fiアクセスポイントがある環境で、Wi-Fiに接続したパソコンやスマートフォンが移動した際に、自動的に近くのアクセスポイントに接続が切り替わる仕組みのことです。

ローミングが必要である理由

Wi-Fiアクセスポイントは、電波が届く範囲が決まっています。Wi-Fi接続した機器がその範囲をはずれてしまうと、Wi-Fi接続が切れ、通信ができなくなります。また、電波の届く範囲であっても、端末とアクセスポイントの距離が離れるほど、通信速度が遅くなってしまいます。
そのため、オフィスや商業施設などの広い場所でWi-Fi環境を構築する際は、電波の届く範囲を広げるために複数のWi-Fiアクセスポイントを設置します。
しかし、複数のアクセスポイントを設置しただけでは、移動した際に端末をアクセスポイントに接続し直す必要があったり、移動時に接続が途切れ、通信断が発生してしまうという問題があります。これを解消するのが、ローミングです。
ローミングは、移動しても途切れることなく無線LANを利用するために必要な仕組みです。

ローミングのメリット

複数のアクセスポイントを設置すれば、広い範囲でWi-Fiを利用できます。しかし、単純にアクセスポイントを増やしただけでは、移動するたびに新たにアクセスポイントに接続する手間が発生します。
ローミングの仕組みを利用することで、毎回新たにアクセスポイントに接続することなく、自動的に接続が切り替わるため、ストレスなくWi-Fiを利用できます。

ローミングに必要な要件

複数のアクセスポイントを設置するだけでは、ローミングは実装できません。
アクセスポイントの細かい設定を合わせておくことが、重要です。
設定のポイントは以下の通りです。

  • 同じSSID、パスワードを設定する
  • 異なるチャネルを利用する
  • 暗号化設定を同じにする

以下でそれぞれ詳しく説明します。

同じSSID、パスワードを設定する

SSIDは、アクセスポイントの識別名のことです。SSIDとパスワードは、端末をWi-Fiに接続する際に必要です。SSID、パスワードの設定を同じにすることで、接続する端末側は、ひとつの設定で複数のアクセスポイントに接続できます。

異なるチャネルを利用する

2.4GHz帯はチャネル数が少ないため、隣接するアクセスポイント同士でチャネルが重ならないように注意します。2.4GHz帯のチャネルは1、6、11に固定で設定することが一般的です。

暗号化設定を同じにする

TKIPやAESなどの暗号化設定も、全てのアクセスポイントで同じものにします。
接続する端末が対応している暗号化設定を利用することも大切です。

ローミングの実現方法

ローミングを実現するには、複数のアクセスポイントを同じネットワークに接続する必要があります。
接続は、有線または無線で行います。

有線で複数のアクセスポイントを接続する

ローミング対応のWi-Fiアクセスポイントを、それぞれ有線LANでネットワークに接続します。
メッシュWi-Fi対応のアクセスポイントよりも安価で構築できます。

無線で複数のアクセスポイントを接続する

近年ではアクセスポイント同士を無線で接続するWi-Fi中継器や、メッシュWi-Fiという仕組みも登場しています。コンセントがあればどこでもアクセスポイントを設置でき、面倒なLAN配線が不要であるというメリットがあります。

参考