LCXとは何か?LCXを使ったLCX通信についても解説

2022年12月23日

LCXとは

LCXとはLeaky Coaxial Cableの略で、漏洩同軸ケーブルのことです。
LCXを構成する3つの単語は、それぞれ以下の意味を持っています。

  • Leaky:漏れやすい
  • Coaxial:同軸
  • Cable:ケーブル

同軸ケーブルの外部にスロットと呼ばれる小さな穴が一定の間隔で設けられており、そこから電波が出ます。ケーブル全体がひとつのアンテナとして機能するため、地下鉄やトンネル内など電波が届きにくい場所での無線LAN通信に使われています。地下鉄でスマートフォンを使えるのも、LCXが敷設されているからです。

同軸ケーブルとは
同軸ケーブルのイメージ
同軸ケーブル(画像はWikipediaより)

同軸ケーブルとは、電気通信に伝われる電線の一種です。

線の中心部に棒状の導体、その周りを絶縁体、網状に編まれるか薄い箔状になった導体、さらに外部に保護被覆という構造で作られています。家庭内でも、テレビやオーディオ機器の接続などに使用されています。漏洩同軸ケーブルもこの同軸ケーブルの一種です。

LCXの特徴

以下で、LCXの特徴を紹介します。

広範囲で無線通信が可能

LCXを利用することで、少ない無線APで広範囲の無線エリアをカバー可能です。また、ひとつのエリアに複数無線APを設置する必要がないため、無線機器を使いながら移動した際に通信が切れるといったローミングトラブルを抑えることもできます。

通信エリアを自由に構築できる

LCXを敷設することで、ケーブルに沿って無線通信エリアを構築できます。室内の電波干渉や、障害物などの影響を考慮して、ケーブルを敷設することで、安定した無線環境が構築可能です。工場や倉庫など、障害物の多い場所で起こりやすい無線の死角を解消することもできます。

LCXの近くで安定した無線通信が可能

無線カバーエリアは、LCX付近だけに限られます。会議室内だけ、オフィスの特定の場所だけなど、狭い通信エリアに限定して無線環境を構築することもできます。

たとえば、工場全体をカバーするのではなく、生産ラインなど必要な場所のみ無線を使うようなことも可能です。また、必要なエリア以外には電波を漏らさないため、外部からの不正アクセス防止にも有効です。

設置が容易である

無線LAN環境を構築する際に、少ない無線AP数で足ります。通常のケーブルと同じように天井裏などにも敷設できるため、景観を損ねず、無線LAN環境を構築できます。

LCXが利用される場面

LCXは、電車が地上と通信するための無線で使われています。一定の距離で設けられたLCXのスロットから電波の輻射を行い、列車のアンテナと通信します。LCXを利用することで、トンネル等の環境に左右されることなく、常に一定の強さで電波の送受信ができるため、移動する列車でも誤りの少ない通信が可能です。

その他にも、LCXは以下のような場所で利用されています。

  • 地下街、ビル内での無線LAN通信
  • 工場内、倉庫内での無線LAN通信
  • トンネル内でのFM放送受信・無線LAN通信
  • 列車内での音声通信・データ通信・無線LAN通信
  • 消防・警察などの保安通信無線
  • 道路管理無線

LCXの取り扱いメーカー

LCXは、以下のメーカーで取り扱われています。

  • SFCC株式会社
  • 日立金属株式会社
  • 株式会社フジクラ・ダイヤケーブル

参考