IIoTとは何か?産業向けのIoT技術のメリットや課題を解説

2022年6月10日

IIoTの概要

IIoTとは、Industrial Internet of Thingsの略で、産業分野向けのIoTの事です。IIoTは、製造業・物流などいくつもの業界で活用されています。
産業分野での作業の見える化やデータ収集・分析などにより、業務効率化や生産性向上などに期待されています。

IoTとは

IoTとは「モノのインターネット」を意味します。IoTによって、さまざまなモノをインターネットに接続することで、情報を交換したり、モノを操作したり、モノの状態を把握したりできます。
IoTという言葉が登場する以前、インターネットはコンピューター同士を接続するためのものとされていました。しかし、現在はテレビやスマートスピーカーなど、さまざまな家電がインターネットに接続されるようになりました。
たとえば、IoTの仕組みを活用することで、外出先でスマートフォンから自宅の家電を操作することも可能です。IoTは企業だけでなく、スマート家電などのように、一般家庭でも利用されることが増えています。

IIoT導入のメリット

IoTが、企業や一般家庭で利用されるのに対して、IIoTは産業分野で利用されます。どちらも、さまざまなモノをインターネットにつなげて、活用するという目的は同じです。
IoTには生活を豊かにする多くのメリットがありますが、IIoTはさらに産業分野に特化したことによるメリットがあります。
以下では、IIoT導入のメリットについて説明します。

生産工程の最適化

製品やサービスの原料製造から消費者への提供までの一連の流れをリアルタイムで監視することが可能です。それぞれの工程の稼働率を数値化したり、管理したりすることにより工程ごとの無駄をなくすことにつながります。

業務効率化

作業員の稼働状況を把握し、最も効率的な動きとなるように作業員数を調整することで、業務の効率化がはかれます。

コストの削減

業務効率化や人員削減が進むことで、工数や人件費の削減が期待できます。

品質向上

工程の可視化によって人的ミスが削減されることで、品質の安定化にもつながります。

新製品の開発につながる

いくつものIIoTデータを組み合わせることで、製品の設計や製造の全体的な改善が可能です。データを活用することで製品の設計を改善したり、ユーザーの多様なニーズをくみとり、最適化された機能を製品ごとに付与したりするなど、新製品の開発への活用も期待できます。

IIoTの課題・注意点

IIoTにはさまざまなメリットがありますが、課題や注意点もあります。
以下では、IIoTを実現する上での課題を説明します。

常時稼働

工場では、障害などの問題がひとつ起きるだけで工場の稼働がストップしてしまうなど、生産に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、長時間の稼働にも耐えられるIoT機器を導入することが必要です。
また、障害が発生した場合でも稼働がストップしないよう、ネットワークの冗長化や、保守体制の整備なども必要です。

アクセスレベルの制御

工場内にある多くの機械がネットワークに接続されるため、インターネットを通じて外部から攻撃を受ける危険性があります。第三者によって機械が遠隔操作されたり、情報を盗まれたりしてしまうと、企業に大きな被害をもたらします。そのため、外部からのアクセスをできないようにしたり、機密情報には権限のある人間しかアクセスできないようにしたりするなど、アクセスレベルでの制御が必要です。

安定した通信品質

工場ではリアルタイムでさまざまな情報を処理する必要があります。通信遅延などが発生すると業務に支障を及ぼす可能性があります。多くのIoT機器を同時に使用するには、従来のネットワークでは帯域圧迫など通信品質が保てない場合があります。IIoTを導入するためには、十分なネットワーク帯域の確保が必要です。この問題を解決するために、高速かつ、大容量、低遅延のネットワーク構築を可能にする5Gを導入することも増えています。

エンジニア不足

IIoTの構築には、専門の技術を持ったエンジニアが必要です。IIoTの構築には、IIoTに関する技術だけでなく、データベースやデータ処理、AI技術などさまざまな技術が必要です。
今後IIoTの需要が高まる中で、エンジニアの不足が課題となっています。

参考