計数サンプリングと計量サンプリングの違いは何か?PMPの問題を解説

計数サンプリングの概要

計数サンプリングとは、検査や検討の対象となる各要素の特性や属性が存在するか否かに注目する品質測定方法です[1]PMBOK第6版、704頁。

例えば「100万円以上の見積り発行には部長の承認が必要」「エラーが2回発生した製品は不良品として破棄」というように、検査する対象の属性、つまり性質や特徴に注目するのが計数サンプリングです。

先ほどの例のように、計数サンプリングは品質管理の場面だけでなく、調達の場面など、仕事のさまざまなシーンで使われます。

計量サンプリングの概要

計量サンプリングは、検査や検討の対象の適合の度合いについて連続的尺度を用いて測定する方法です[2]PMBOK第6版、274頁。
計量サンプリングはPMBOK第6版で"Variable Sampling"を日本語訳したものですが、「変数サンプリング」としたほうが理解しやすいかもしれません。
例えば「タイムラグが10秒から20秒の間におさまっているかどうか」「受験資格のある22歳から35歳までかどうか」というように、変動する値(変数)に注目する検査は計量サンプリングによるものです。

計数サンプリングと計量サンプリングの違い

計数サンプリングと計量サンプリングの大きな違いは、サンプリングをする際の視点です。

上述の通り、計数サンプリングは属性に注目します。
この属性はYesかNoで判断できるものです。
一方で、計量サンプリングでは変数に注目します。
これは程度や度合いでしか測れません。

例えば、小学校の身体測定のデータをとるとします。
データをとった子供が「男か女か」を検査するのは、計数サンプリングです。
そして「その子供の体重がどのくらいか」を測るのは計量サンプリングです。
しかし、計量サンプリングで収集したデータをもとに、「肥満かどうか」をチェックするのは計数サンプリングです。
このように、計数サンプリングはYesかNoかで答えられる属性の状態を検査し、計量サンプリングでは検査したいデータの程度を測ります。

あらためて、計数サンプリングと計量サンプリングの違いをまとめると、以下のようになります。

計量サンプリング計数サンプリング
属性に注目変動する数値に注目
YesかNoで判断する程度や度合いで判断する

PMP試験対策のためにあわせて統計的サンプリングも確認

PMP試験では計数サンプリングと計量サンプリングの違いを問われることがあります。
サンプリングに関する問題の正答率を上げるため、あわせて確認しておきたいのが「統計的サンプリング」という言葉です。
統計的サンプリングとは、母集団の中から検査のためにその一部を取り出します。
例えば、1000個のネジの全てを検査することが難しいため、その中から50個選んで検査しようとするのが統計的サンプリングです。

このように、計数サンプリングと計量サンプリングが検査や検討の方法を意味するものであったのに対し、統計的サンプリングは検査対象の抽出の仕方を意味しています。
つまり、先ほどのネジの例であれば、統計的サンプリングによって1000個の中から50個を抽出し、その50個のネジの大きさを計量サンプリングによって測り、それが基準に照らし合わせて適合か否かを計数サンプリングで検査します。

同じ「サンプリング」という言葉を使いながら、行っていることは異なっているので、その違いを理解しておきましょう。

参考

1PMBOK第6版、704頁。
2PMBOK第6版、274頁。