マトリックス図法(マトリックス・ダイアグラム)とは何か?

2020年6月20日

マトリックス図法の概要

L型マトリックス図の例
L型マトリックス図の例

マトリックス図法とは、 簡単に言いかえれば表組による表現方法であり、複数の要素を「行」と「列」に並べて、関係性を明確にする際に利用される手法です。マトリックス・ダイアグラム(Matrix Diagram)と呼ばれることもあります。
マトリックス(matrix)とは行列によるデータ表現を意味し、ダイアグラムとは定性的なデータを表現する特定のグラフ・テーブルなどの視覚表示のことをいいます。
マトリックス図法を用いれば、問題に対する対策案が複数出たときに、どちらの対策の方が解決の糸口として最適か、プロジェクトを最短で完了させることができるかを把握することができます。
マトリックス図法は、L型マトリックスが基本の型となりますが、T型・Y型・X型・C型・P型などの種類もあります。
マトリックス図法は、言語情報や文字情報により問題の方向性を見出す手法として誕生した「新QC七つの道具」の1つでもあります。

マトリックス図法の作成手順

ここからは、プロジェクトのリスクに対して複数の対応案がでた場面を想定し、実際にどのようにマトリックス図を作成していくのかをご紹介していきます。

1.「行」と「列」をテーブル上に作成する

行列をとったマトリックス図

マトリックス図を作成する最初のステップとして、行・列に2の事象を配置します。
ここでは行にプロジェクトの問題の対策案を記述し、列に評価項目(効果・実現性・リードタイム)を記載しています。

2.項目に沿って評価する

交点に評価を記載したマトリックス図

行・列に適切な事象を記述したら、マトリックス図の交点に評価を記入していきます。
評価方法は、記号(◎・〇・△・×)で評価する方法と数値で評価する方法があるため、項目に沿って適切な表現方法を選びます。

3.「行」と「列」をテーブル上に追加する

行・列を追加したマトリックス図の例

マトリックス図を活用して評価していくと、はじめに設定した項目以外に検証したいものが出てくることもあるでしょう。このような場合は、行と列の項目を増やしていきます。マトリックス図を拡大していくと、より細かく情報を分析していくことができます。

4.情報を集計する

各項目の評価が終われば、マトリックス図の完成です。
図の評価を見るだけで判断できる場合もありますが、そうでない場合は評価に点数(例えば、◎=3点、〇=2点、△=1点、×=0点という点数)を付けていき、総合得点でランク付けしていくこともあります。項目をランク付けすることによって、どの対策案がベストなのかを明確にすることができます。

マトリックス図法のメリット

ここからはマトリックス図法がプロジェクトで必要とされる場面を紹介し、マトリックス図法のメリットを解説していきます。

複数の対策案に対し、適切な評価やランク付けが行える

リスク評価の例
リスク発生確率影響度リスク・スコア
メンバーの力量・スキル不足 極めて高い0.40
事故・病気によるメンバーの離脱 極めて高い0.24
他のプロジェクトで作成している資料Aの遅延0.07

マトリックス図法は客観的な評価を手助けしてくれます。例えば、リスク・マネジメントの際のリスク評価のケースを考えていきましょう。
プロジェクトには様々なリスクが潜んでいますが、時間や予算の関係上、優先度の高いリスクだけに対処するということも少なくありません。
この場合、どのようなリスクに対処すべきかを客観的に考えなければいけません。主観的に判断してしまうと、プロジェクトが失敗に終わってしまったり、周囲の合意を得られなかったりします。
こうした時にマトリックス図法を用いてリスクの評価を行うと、情報が整理され、客観的な評価を下しやすくなります

プロジェクト関係者との合意が得られやすい

マトリックス図法によって情報が整理されると、プロジェクト関係者の合意が得られやすくなります。
マトリックス図法は、各項目を評価していきスコア化する手法のため、客観的な評価が行えます。そのため、 マトリックス図を提示することで、意見が異なるプロジェクト関係者からの合意を得やすくなります

情報・項目の追加が容易である

マトリックス図法を作成する前には、 「どのリスクから対応すべきか」「どのプランを採用すべきか」 など、必ずマトリックス図を作成する目的を定めます。
その目的に関する情報を収集していき、評価していく手法になりますが、評価していく際に新たな項目を追加したくなることがあります。
例えば、「効果」「実現性」「リードタイム」の他に「コスト」を検証したいなど、必要な項目が新たにでてきた場合でも、マトリックス図法では容易に追加することができます。
このようなマトリックス図法の特性により、後からアイデアを出しやすく、取り上げている問題に対してあらゆる角度から検証できるようになります。

マトリックス図法の種類

PowerPointのSmartArtの選択画面
PowerPointのSmartArtでL型以外のマトリックス図も作成することができる

一般的に作成されるマトリックス図は、冒頭に掲載したような行列の二つの軸で表現されるL型のものですが、冒頭で触れた通り、マトリックス図法には様々な種類があります。
ここからは、L型以外のマトリックス図法を紹介していきます。
最近ではMicrosoft社のExcelやPowerPointで簡単に図形を作れるため、状況にあわせて適切なマトリックス図を作成していきましょう。

T型

T型のマトリックス図

T型のマトリックス図はL型のマトリックス図を結合したような形になっています。
単純なL型のマトリックス図を2つ作成するということがあれば、T型にまとめてしまったほうが一覧性に富みます。
ただし、項目の多い、複雑なL型マトリックス図であれば、T型としてまとめないほうが情報を把握しやすい場合もあるため、状況によって使い分けていきましょう。

Y型・C型

Y型
C型のマトリックス図
C型

Y型のマトリックス図は3つの事象にまたがって情報をまとめる際に使われます。そのY型の交点を立方体で表したのがC型のマトリックス図です。
これらのマトリックス図はデータ分析などでは有効な表現方法かもしれませんが、プロジェクト中に使用することは少ないかもしれません。

X型

X型のマトリックス図

X型のマトリックス図はL型を4つ組み合わせた形をしています。
T型のマトリックス図と同様、あまり複雑でないL型のマトリックス図をまとめる際に使用されます。

屋根型(Roof型)

屋根型のマトリックス図

屋根型(Roof型)のマトリックス図は、各項目の組み合わせを評価する際に使用される表現方法です。

プロジェクト中に使用されるマトリックス図

これまではマトリックス図法の種類を見てきました。
ここからは、これまで見てきたマトリックス図法を使い、プロジェクト中にどのような情報が整理されるかを紹介していきます。

ステークホルダー関与度評価マトリックス

ステークホルダー・関与度評価マトリックスの例

プロジェクトのステークホルダー・マネジメントの中で、ステークホルダー関与度評価マトリックスが作成されます。
ステークホルダー関与度評価マトリックスはシンプルなL型のマトリックスを使い、行にステークホルダーを、列に関与度をとり、ステークホルダーの望ましい関与度を“C"、現在の関与度を“D"で表現して交点に記載しています。

発生確率・影響度マトリックス

発生確率・影響度マトリックスの図

発生確率・影響度マトリックスは発生確率と影響度の二つの軸を使用する際に使われる手法です。主にリスク・マネジメントの中でリスクの定性的分析を行う際に使用されます。

参考