KPT(ケプト)とは何か?アジャイル開発における振り返りの手法を解説

2021年3月31日

KPTとは

KPTとはプロジェクトを振り返り、改善していくための手法です。Keep、Problem、Tryの頭文字を取った言葉で「ケプト」と読みます。それぞれ以下のような意味を持ちます。

  • Keep:よかったこと、継続したいこと
  • Problem:悪かったこと、改善したいこと
  • Try:チャレンジしたいこと

特にアジャイル開発において用いられ、スプリント(開発のサイクル、通常は1〜4週間内で設定される)が終わるごとに実施されるのが好ましいとされています。
スプリントの最後にKeep、Problem、Tryを洗い出し、次のスプリントでTryで上がった項目を実施します。次のスプリントが終われば、最後にまたKeep、Problem、Tryを洗い出します。これを繰り返してプロジェクトを進めていくことで、プロジェクトの抱える課題を改善していきます。

どのようにKPTを使うのか

図1:KPTのイメージ

KPTは各スプリントの最後にメンバー全員で実施します。Keep→Problem→Tryの順に考えます。

  1. ホワイトボードや模造紙を使って、Keep、Problem、Tryに分割した表を作成します。(図1参照)
  2. 各メンバーでKeepを洗い出し、付箋に書き出します。
  3. 書き出したKeepを表に貼り、メンバー全員で共有します。
  4. 各メンバーでProblemを洗い出し、付箋に書き出します。
  5. 書き出したProblemを表に貼り、Problemをメンバー全員で共有します。
  6. Keep(続けていきたいこと)、Problem(解決したいこと)をもとにTry(次のスプリントで具体的にやってみたいこと)を発案していきます。
  7. Tryとしてあげられた項目の中から、次のスプリントで実施すべき項目に投票します。
  8. 得票数の多い上位2〜3項目(1スプリント期間内で達成できそうな数)を次のスプリントで実施します。実施期日や主担当も同時に決めておきます。

実施したKPTは保存しておいて、次のKPTの際に見直します。Tryが実施できていたかどうかを振り返ることができます。

なぜKPTが必要なのか

課題を可視化するため

KPTでは振り返りの内容を紙に書き出します。頭の中で考えるだけではなく言語化するので、思考を可視化できます。不十分なかたちで構わないのでまずは書き出してみることです。思いもしなかった課題が浮き彫りになるかもしれず、課題の早期発見に繋がる可能性が高いです。メンバー全員でブラッシュアップしていけば、より具体的な課題として把握することができるはずです。また、頭の中のモヤモヤや、普段思っていても口に出せないことを書き出すということは、精神衛生上いい効果を与えるでしょう。

課題を全員で共有するため

課題を可視化することで、チーム全員で共有しやすくなります。KPTはチームのメンバー全員で行われます。全員がよかったことや悪かったことを書き出します。メンバーの思考が可視化されるため、他のメンバーがどういったことを考えているのか共有できます。Tryを考えるときに全員が同じ方向を向いて議論することができます。チームメンバーの関係構築に貢献するという点もメリットとしてあげられます。

課題に前向きに向き合うため

通常の反省会であればProblemだけにフォーカスしてしまいがちです。アウトプットがないまま、ネガティブな意見だけが述べられて終わってしまうことも多いでしょう。
KPTでは、よかったことや次にやるべきことまで考えます。そのため、振り返りが終わってもネガティブな気持ちになることはありません。むしろ、Tryというアウトプットを出せるので次のスプリントに前向きな気持ちで臨むことができます。

参考

書籍

  • 市谷聡啓、新井剛、小田中育生『いちばんやさしいアジャイル開発の教本 人気講師が教えるDXを支える開発手法』インプレス、2020年。

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