リーン・シックスシグマとは何か?リーン生産方式とシックスシグマを合わせた手法を解説

2021年10月7日

リーン・シックスシグマとは

リーン・シックスシグマ(Lean Six Sigma;LSS)は、ムダとムラを排除して業務の効率化を図る手法のことです。米国マサチューセッツ工科大学の研究者が、日本のトヨタ自動車の「トヨタ生産方式(かんばん方式)」を基に開発した「リーン(Lean)生産方式」と、米国モトローラ社が日本の品質管理手法を基に開発した「シックスシグマ(Six Sigma)」を組み合わせた定量的なプロセス改善、品質改善の世界標準手法です。

リーン生産方式とは

1980年代、低価格・高品質である日本車に対して北米の自動車業界は、「ダンピング(採算を無視した低い価格で商品を投げ売りすること)」と批判を行いますが、米国のマサチューセッツ工科大学の研究者は、日本のトヨタ自動車の競争力の原点である"ムダを排除する経営手法"に着目し研究を始めたことが起源となります。トヨタ自動車のムダを排除する生産工程は「かんばん方式」と呼ばれ、生産の各工程で必要な部品を必要な時に必要な量だけ供給することで、在庫を圧縮し、経費削減となる生産技術のことを指します。この生産技術を体系化したリーン生産方式の「リーン(Lean)」がリーン・シックスシグマの語源となっています。

リーン・シックスシグマの特徴

リーン・シックスシグマを用いて改善を図る際のフレームワークについて紹介します。

DMAIC(ディーマイク)

PDCA(Plan・Do・Check・Action)と類似したものとなりますが、PDCAと比べて課題の定義、測定、分析(Define、Measure、Analyze)に重きを置いていることが特徴です。PDCAのPlan(計画)をより細分化しています。

  • Define(定義)・・・取り組むべき課題を定義する
  • Measure(測定)・・・現状を把握する
  • Analyze(分析)・・・原因を特定する
  • Improve(改善)・・・改善策を検証する
  • Control(管理)・・・改善効果を確認、定着を図る

リーン・シックスシグマを実践するチームの役職と役割

リーン・シックスシグマをDMAIC(ディーマイク)に沿って実行する組織の中のチームも定められており、その役職、役割は以下となります。

チャンピオン/スポンサー取り組む課題を設定する責任者。リソースの確保、結果に責任を負う。
マスターブラックベルトトレーナー、コーチとして活動全体を推進する責任を負う。
ブラックベルト活動専任のチームリーダー。課題解決のスペシャリストとして統括を行う。
グリーンベルト通常業務と兼任のチームリーダー。
イエローベルト通常業務と兼任のチームメンバー。

リーン・シックスシグマプロジェクトの流れ

改善対象プロセスの選定

自社の会社、部署、プロジェクトのどのプロセスが改善対象プロジェクトの対象となるか選定します。改善対象プロセスが決まれば、そのプロセスを図式化し、物と情報の流れ図を作成することでプロジェクトの全体像を把握します。

CTQ(Critical to Quality)を確定

顧客のニーズを特定し、その情報を測定可能な製品、プロセス要件に落とし込んでいきます。プロセス改善を行う前に、顧客にとって重要な製品、サービスの品質、特性を正しく理解しておく必要があります。

理想のプロセスを図式化し、移行する

CTQを定めた後は、定めたCTQが最適となる理想のプロセスを図式化します。現状のプロセスと理想のプロセスにギャップがある箇所について、CTQを見ながら理想のプロセスとなるよう、プロセスの移行を行っていきます。

リーン・シックスシグマの副次的効果

業務改善プロセスがリーン・シックスシグマの主な目的となりますが、副次的な効果として「人材育成」や「従業員のモチベーションアップ」も期待することができます。
以下、リーン・シックスシグマの副次効果を列挙します。

  • 定量データに基づいて意思決定を行うことで「経営視点」を養うことができる
  • プロジェクト推進に関係者を巻き込むことで「チームとしての活動ノウハウ」を養うことができる
  • 客観的なデータに基づいて判断が下されるため、従業員のモチベーションがダウンするリスクが低い(トップダウンからの押しつけ感が少なく、改善活動が受け入れやすい)

参考