ホーソン実験とは何か?ホーソン実験から見る人間関係と生産性、そしてモチベーション効果

2021年10月8日

ホーソン実験と人間関係

いつの時代も転職の理由の上位にあるのが、職場の人間関係です。この人間関係こそ、組織におけるモチベーションを上げ、生産性を高める上で重要なファクターです。
それを根拠づけるものとして「ホーソン実験」があることはご存知でしょうか。

この実験を行ったのは、マネジメント思想に大きな影響を与えたといわれるジョージ・エルトン・メイヨー教授(1880-1949)です。
メイヨー教授は、1927年に電話機などを製造しているウェスタンエレクトリック社に協力を依頼し、生産性を高める実験を行いました。それがシカゴのホーソン工場で行われたため、その実験は「ホーソン実験」と呼ばれています。

実験は2つの作業グループに分けて行われました。それぞれのグループに対して働く環境やインセンティブの条件を変えることで、生産性がどのように変化するかを見ていくことにしたのです。

今回はこの実験がどうなったかを見ていき、何が生産性に影響を及ぼすのかを考えていきましょう。

実験1:コミュニティによって上がる生産性

メイヨー教授が1つ目のグループに対して行ったことは、作業場の照明を明るくすることでした。

結果として、たしかに生産性は上がりましたが、照明を戻しても、さらには照明を落としても生産性は上がっていたのです。この結果から、当初は「条件の変動そのものが生産性を上げる」という仮説が立てられました。
平たく言い換えれば、「何か変化があったら、生産性も変化するだろう」ということですね。

この仮説に基づき、メイヨー教授は報酬や休み時間など、その他のインセンティブ要因を変えていきました。
すると、すべての実験において生産性が上がることが確認されたのです。

実験の結果を受けて、ともに実験に関わっていたマサチューセッツ工科大学の生物学教授クレア・ターナー氏は、生産性が上がった要因として、

  • 監督の方法
  • 収入
  • 実験の物珍しさ
  • 実験によって従業員に注がれる関心

をあげました。

実は実験の対象となっていた従業員たちはコミュニティを形成し、自分たちに注がれる関心を楽しみながら、実験への参加意識を高めていたのです。
つまり、実験されていた1つ目のグループはグループの結束を強め、「自分たちのために実験してくれているのだからがんばろう」と思ったのかもしれません。

実験2:生産性が制限されるコミュニティ

そうとはまだ気づかないメイヨー教授は2つ目のグループに対しても、1つ目のグループと同様の実験を行いました。
すると1つ目のグループと違い、あるレベルで生産性が上がらなくなってしまったのです。
観察の結果、

  • 非公式のコミュニティが形成され、各個人の作業量を勝手に設定していた
  • コミュニティはマネジメントに対抗して団結し、独自の行動ルールを作っていた
  • コミュニティは金銭的インセンティブに無関心であった

ことがわかりました。
つまり、1つ目のグループと違って2つ目のグループは「何実験しやがってんだ!俺たちは俺たちで勝手にさせてもらうよ」とこの実験にそっぽを向いていたのです。

こうしたことから、その職場の生産性は、マネジメントではなく、自然とできあがった独自のコミュニティによって決定されていたと言えるでしょう。

ポイントはマネジャーの在り方

メイヨー教授は、1つ目のグループでは生産性が上がり、2つ目のグループでは生産性が制限された結果から、生産性を上げる鍵は「マネジャー」にあると断定しました
1つ目のグループのマネジャーは親しみやすい人物で、作業者たちをよく理解しようと努め、会社のシステムや手続きにそれほどこだわりませんでした。
それに比べて2つ目のグループのマネジャーは、会社寄りの画一的な考え方を持っており、従業員とも距離感があったのです。
生産性は、マネジャーが従業員を信頼し、協力的な関係を築き上げることで上がり、ただの監督に終始した態度で臨むと下がることがわかりました。

まとめ

ホーソン実験の結果から、マネジャーは従業員の個人的な問題を理解する、話を聞く、面談するなどの技術を学ぶ必要があることがわかります。
メイヨー教授は結論として、

  • 従業員が自ら働く環境の条件を決めたり、目標を設定したりする自由が大きくなるほど、仕事の満足度は増す
  • 互いのやり取りや協力の度合いが高いほど、グループの結束レベルが高くなる
  • 仕事の満足度や生産性を左右するのは、物理的な作業の条件よりも、従業員間の協力や価値の実感である

としました。
そして、これからのマネジャーは、

  • 打ち解けやすく
  • 人を中心に考え
  • 配慮がある

ような人物が求められる、と述べています。

つまり、職場のモチベーションを高める上で最も重要なのは、職場の環境や従業員の参画レベルをコントロールできる「マネジャー」であり、「マネジャー」と「従業員」の人間関係こそが生産性を決定づけていると言っても過言ではないのです。