【Excelでも作れる】バーンダウン・チャートとは何か?スクラム開発で用いる管理手法を解説
バーンダウン・チャートの概要
バーンダウン・チャートは、ひとつの課題を進める上での時間と作業量の関係を示すグラフです。
より具体的にいうと、残りの作業量を指定の期限までに完了できるかを表したグラフのことです。時間が進むにつれて残りの作業量が減少することから、右肩下がりのグラフになります。
バーンダウン・チャートでは、3つの線を用いるため、それぞれの線の意味を具体的にご説明します。
理想線
理想線とは、時間の経過に沿って作業が進む上での理想を表した線です。
常に一定のペースで作業が進み、完了予定日に作業量が0になるよう示されています。
したがって、折れ線ではなく直線的な線になります。ただし、実際の作業量は日によって変わるため、理想線にピッタリ沿う形で作業が進むことはなかなかありません。
計画線
計画線は文字通り計画を表す線であり、課題の期限日を基に示されます。より具体的には、課題が完了するまでの道のりを計画として示したものです。したがって、計画線に沿って作業が進むことが適切となります。また、計画線と理想線を比較することで、計画そのものが適切であるかをチェックできます。
実績線
実績線は文字通り実績を表す線であり、実際の作業ペースに沿った形になります。時点ごとに残りの作業量を示すグラフになるため、理想線や計画線と比較しながら進捗具合を評価することになります。
たとえば、実績線と計画線が大きく離れている場合、最初に立てた計画通りに作業が進んでいないことを意味します。したがって、期限までの課題完了を目指すにあたって何らかのアクションを起こす必要があります。
このように、バーンダウン・チャートは3本の線で構成し、それぞれの線を比較しながら課題の進捗を評価します。チャートの作成は一見難しいようですが、作業の細分化が終わっていれば、エクセルなどで短時間のうちに作成できます。
バーンダウン・チャートの作成方法
Excelで簡単に作れるバーンダウン・チャート
バーンダウン・チャートはExcelを使うことによって簡単に作成することができます。
まず下記の表のように時間経過に伴って残タスクの量がどのように変化するのかを、理想線、計画線、実績ごとに数値をまとめていきます。
理想線 | 計画線 | 実績線 | |
---|---|---|---|
week1 | 100 | 100 | 100 |
week2 | 75 | 50 | 60 |
week3 | 50 | 40 | 45 |
week4 | 25 | 20 | |
week5 | 0 | 0 |
上記の表ではタスクが100あり、それを5週かけて消化していくとしています。
理想線では、100のタスクを毎週25ずつ消化していっています。
計画線では、最初の第1週で半分のタスクを終わらせ、その後3週間かけて残りのタスクを終わらせようとしています。
現在第3週が終わり、タスクが45残っている状態です。
Excelでバーンダウン・チャートを作る際は、これらの表を選択状態にし、参考画像1のように「挿入」のタブから、「折れ線/面グラフの挿入」を選び、「折れ線グラフ」のボタンを選択します。
そうすると、自動的に折れ線グラフが作成され、バーンダウン・チャートを作ることができます。
「バーンダウン・チャート」という名前なので、特殊な作成方法があるかと思われがちですが、中身は単純な折れ線グラフですので、これまで見てきたようにExcelだけで簡単に作成することができます。
さまざまなWebアプリケーションでバーンダウン・チャートは作成可能
Excelのほか、最近ではさまざまなスケジュール管理のWebアプリケーションでバーンダウン・チャートは作成可能です。
たとえば、プロジェクト管理ツールとして注目されているbacklogでもチェックボックスにチェックをいれるだけで、入力した課題から簡単にバーンダウン・チャートを作成することができます[1]バーンダウンチャートを使用するには – Backlog ヘルプセンター。
バーンダウン・チャートを活用するメリット
バーンダウン・チャートのメリットは、作業量と時間の関係が一目でわかることです。
プロジェクトを進める際、開始日と終了日だけを記述したガントチャートなどのツールだけでは、現時点での作業のペースが問題なくスケジュール通りに完了させられる進捗かどうかを判断しにくい場合があります。
バーンダウン・チャートを活用することで、残りの作業量を特定の時点ごとに確認することができ、実績線と計画線を比較することで、残りの作業量に対して適切なペースで進んでいるかを一目で判断できます。
実績線と計画線が大きく離れている場合は、改めて作業ペースを検討し、決められた期限までに課題を完了できるように軌道修正を図ることになります。
また、課題がすべて完了したあとにもバーンダウン・チャートは活用の余地があります。課題の完了によって実績線が引き終わるため、改めて理想線や計画線と比較し、今後に向けた検討を行うことができます。当初の計画に沿って作業が進まなかった理由を分析し、課題の発見と解決策の提示を行います。
バーンダウン・チャートの具体的な用途
バーンダウン・チャートは、さまざまなプロジェクト管理において活用されています。
たとえばシステム開発では、複数のメンバーを集めてプロジェクトチームを立ち上げ、計画的に作業を進めていきます。システムをつくるにはタスクの細分化も必要になることから、各タスクが適切に進んでいるかをチェックするためにバーンダウン・チャートが活用されています。
また、プロジェクトが完了した段階でチャートを振り返り、どのタスクのどの部分で問題が生じていたかの分析が行われます。分析の結果を踏まえて解決策を導き出し、次回のシステム開発に向けて役立てることができます。