報酬とやる気の意外な関係
「もっと給料が高ければ、もっとやる気が出るのに」 仕事をしていて、そう思ったことはありませんか?
確かに、お金は生きていくために不可欠です。しかし、心理学や行動経済学の研究では、「報酬が必ずしもやる気を引き出すわけではない」どころか、「かえってやる気を下げてしまうこともある」という意外な事実が明らかになっています。
ここでは、報酬とモチベーションの複雑な関係について解説します。
報酬は「罰則」と同じ?
「〇〇をしたら、ボーナスをあげる(If-Thenプランニング)」という条件付きの報酬は、一見魅力的に見えます。 しかし、これは心理学的には「〇〇しないと、何もあげない」と言われているのと同じであり、「行動をコントロールされている」という感覚を相手に与えてしまいます。
アメ(報酬)とムチ(罰則)は、自律性を奪うという点ではコインの表と裏なのです。
この報酬と罰則の関係については、下記の記事もご参照ください。

「好き」を「義務」に変えるアンダーマイニング効果
もともと「楽しいから」「やりがいがあるから」と自発的にやっていた仕事に対し、金銭的な報酬が与えられると、途端にやる気がなくなってしまうことがあります。これを「アンダーマイニング効果」と呼びます。
「自分の意志でやっていたこと(内発的動機)」が、「報酬をもらうためにやること(外発的動機)」にすり替わってしまうことで起こる現象です。
アンダーマイニング効果については、下記の記事もご参照ください。
報酬が「創造性」を奪うとき
ルーチンワークのような単純作業であれば、報酬はスピードと正確さを高める効果があります。 しかし、新しいアイデアを出したり、複雑な問題を解決したりするクリエイティブな仕事においては、高額な報酬がかえってパフォーマンスを低下させることが分かっています。
報酬(ご褒美)に意識が集中しすぎて視野が狭くなり、自由な発想ができなくなってしまうのです。
この報酬と創造性の関係については、下記の記事もご参照ください。




