システム保守とは何か?「修正保守」「適応保守」「完全保守」「予防保守」「予測保守」の違いをあわせて解説

システム保守とは

システム保守は、開発、導入したシステムが安全に稼働し続けられるようにサポートを行うことです。システムの監視、見直し、必要な改善を行うプロセスを指しており、システムの可用性、運用性の維持を目的とし、稼働中に発生するトラブルの解決やトラブル自体を事前に防ぐことを行います。

システム保守と運用の違い

システム保守と類似の役割としてシステム運用があります。システム運用はシステムを取り扱う仕事全般を指しており、システム運用の中にシステム保守も含まれます。

システム保守の役割

日常的なメンテナンス

システムを稼働する中でシステム障害が発生することがあります。システム障害が発生しないことが望ましい形となるため、システム障害が発生しないようにメンテナンスを行い、スムーズにシステムの運用が行えるようサポートすることもシステム保守の役割となります。
定期的なメンテナンスの他に、バグの改善を行うことで障害が発生しないように改良を行うこともシステム保守の重要な役割です。

システム障害への対応

システム障害が発生してしまった場合の対応もシステム保守の役割となります。基幹システムの不具合や回線混雑によるトラフィックのパンク、外部からの不正アクセスによるシステムダウンなど、予期せぬシステム障害はメンテナンスを行っていても発生してしまいます。システム障害が発生した際に、保守担当者にて障害原因の特定、解決を対応することで障害からの復旧を行いますが、システム障害により企業のサービス提供が停止してしまうことになり、復旧が遅れれば遅れるほど機会損失の発生や信頼の低下に繋がることになるため、障害からの復旧は迅速に行うことが求められます。

システム運用の役割

業務のサポート

システム運用ではシステムを利用した業務サポートを行います。ソフトウェアの稼働や停止、機器の電源管理といったシステムに関する運用を行うことが主な役割です。企業の中ではシステムを利用することはできてもトラブルに対応できないという人も少なくありません。システム運用の担当者がシステムの監視、対応を行うことで、システムを利用する方が安心して自分の業務を行うことができます。

サービスの提供

システムを利用する方に向けたサービス提供を行うこともシステム運用担当者の役割となります。社内で利用するシステムの数や種類が多くなればなるほど利用する方が使い方を覚えるまでに時間が掛かります。システムの運用手順書を作成し、社内で共有することで利用者が一定の水準でシステムを使うことができます。また、データのバックアップといったサービスの提供も大切な役割です。システム障害時にデータが損失してしまうと復旧に時間が掛かり、業務に多大な支障が発生します。定期的にデータのバックアップを行い、非常時に復旧できるようにしておくこともシステム運用の役割です。

システム保守の種類

システム保守の種類として「修正保守」「適応保守」「完全保守」「予防保守」「予測保守」の5種類があります。それぞれの違いと特徴を見てみましょう。

修正保守

修正保守は、故障したシステムの修理を行い、正常な状態に戻すことです。システムは故障する可能性があるため、修正保守は必要不可欠ではありますが、故障時の対応となるため短期的な対応となります。

適応保守

適応保守とは、システムを変更した際に発生した他への影響部分の対応を行うことです。また、組織内の手続きの変更、経営目標、方針の変更、外部からの影響(法改正などの外的要因)といった環境の変化に対してシステムを適応させることも適応保守にて対応します。

完全保守

完全保守とは、既存システムに対する新機能の追加や削除といった、性能の向上を目的としたシステムの更新を行うことです。組織内外の変化などから発生する利用者からの要望に対応するために行われるものとなります。

予防保守

予防保守とは、定期的にメンテナンスを行いシステムの故障リスクを低減することです。予防保守を行うことで故障による修理回数を減らし、稼働率を高めるために行います。メモリの解放やハードディスクの空き容量の調整、バックアップの作成、ウィルススキャンの実行などは予防保守の役割です。

予測保守

予測保守とは、システムが故障しそうなときに事前に対応を行うことです。システム動作の異常やシステムログの解析から検知し、故障する前にアプローチを行うことで故障を防ぎます。予測保守を行うことでシステム保守に費やす時間とコスト削減を行うことができます。

業務委託と自社管理

システム保守では「業務委託」と「自社管理」の2つの方法がありますが、どちらが適しているかは自社の置かれている状況によって変わります。社内の人的リソースが足りない場合やシステム保守を行えるほどの知識や技術がない場合は、業務委託にてシステム保守を任せる方が適していますが、将来的にシステム保守を社内業務として扱う場合は、社内で保守対応を行える人材を育てる意味でも、自社で管理しノウハウの蓄積や経験を積ませていくべきです。