稼働率とは何か?MTBFとMTTRについても解説
稼働率の概要
稼働率とは、機械システムや情報システムが全運転時間に対してどの程度稼働していたのかを示す割合です。
この稼働率が高いシステムほど信頼性や可用性も高いと言えます。
この稼働率は以下の式で導くことができます。
- 稼働率 = MTBF/(MTBF + MTTR)
このように、稼働率はMTBFとMTTRに依存しており、この2つの数値は稼働率を考える上で重要なKPIとなります。
MTBFについて
MTBF(Mean Time Between Failures)とは「平均故障間隔」と呼ばれ、ある故障から次の故障までに経過した平均時間を指しています。
MTBFを計算する場合は、以下の式で算出します。
- MTBF = 合計稼働時間 / 故障回数
MTTRについて
MTTR(Mean Time To Repair)は「平均修理時間」と呼ばれ、情報システムが故障した際に、平均してどれだけの時間で修理できるかを表したものです。
MTTRは以下の式で算出することができます。
- MTTR = 合計修理時間 / 故障回数
MTBFとMTTRを変化させるもの
IPAの応用情報技術者試験では、以下のような問が出題されたことがあります。
MTBFを長くするよりも、MTTRを短くするのに役立つものはどれか。
ア)エラーログ取得機能
応用情報技術者試験 平成29年度秋午前問13
イ)記憶装置のビット誤り訂正機能
ウ)命令再試行機能
エ)予防保守
ここからはこの応用情報技術者試験の問題をもとに、MTBF・MTTRを変化させる要因について確認していきます。
MTTRを短くするためには、修理にかかる時間を短くする
稼働率を高めるには、MTTRを短くするか、MTBFを長くする必要があります。
上述の通り、MTTRは「合計修理時間/故障回数」で求めることができます。
つまり、これを短くするためには、分子を小さくするか、分母を大きくするかの2通りの方法がありますが、分母である故障回数を増やすというのは現実的ではありません。
そのため、実質的に採りうるのは、合計修理時間を短くするという手法に限ります。
修理の時間を短くするには、スタッフを訓練するほか、故障個所を早期に発見することも重要です。
故障個所が特定できれば、修正が容易になるため、修理にかかる時間も短くなります。
そのため、先ほどの応用情報技術者試験の問題の答えは選択肢アのエラーログ取得機能になります。
エラーログを取得できるようになれば、「どんなエラーが発生したか」「なぜエラーが発生したか」というような情報を取得できるようになるため、故障の原因を特定するのに役立ちます。
MTBFを長くする方法
MTBFを長くする方法はさまざまで、例えば先ほどの応用情報技術者試験の問題の選択肢イ~エの方法があります。
選択肢イの記憶装置のビット誤り訂正機能のように、何か誤りがあった時に自動で訂正してくれる機能や、選択肢ウの命令再試行機能があれば、それだけ故障を防ぐことができ、稼働時間を長くすることができます。
選択肢エの予防保守を行えば、システムがメンテナンスされることにより、故障が少なくなって、稼働時間が伸びることになります。