動因(内的動機付け)と誘因(外的動機付け)の違いは何か?モチベーションに与える影響を解説

2021年9月21日

今回の動因と誘因については、動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

ミドルマネジャーの力量を測るためのビジネスマネジャー検定試験の中で「動因」「誘因」「偶因」の違いを問うものがあります。
モチベーションを考える上でたびたび目にするこれらの言葉ですが、言われてみればあやふやになっていた用語であったため、ここにまとめておきます。

動因(ドライブ)

動因とは「欲求の原因になる力、人を行動に駆り立てる力」を指します。

ダニエル・ピンクの名著『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』(以下、『モチベーション3.0』)では、内面から湧き出るやる気の大切さを説いています。

「もっと自分の力を伸ばしたい」「こうしたプロジェクトにチャレンジしたい」という好奇心や探求心に似たやる気のことです。
マネジャーとしては、こうした部下の気持ちを察知し、うまくコーチングをし、チャレンジを支援することが大切です。

『モチベーション3.0』の原題が"Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us"ですが、この「ドライブ(Drive)」の日訳が「動因」です。

ドはドライブのド、そして動因のドと覚えておけば記憶に残るのではないでしょうか。

誘因(インセンティブ)

一方、誘因とは「動因を満足させるものとして認知される対象または外的諸条件」と言われます。
誘因については、英訳の「インセンティブ」と聞いたほうがイメージが湧きやすいのではないでしょうか

営業成績に合わせて給料を増加させることを「インセンティブ制度」なんて言いますが、営業マンがやる気を出すように「給料増やすよ」というのが誘因です。
給料の他、活躍しているスタッフを表彰したりするのも誘因の1つです。

内的動機付けと外的動機付けの違い

ここまでは動因と誘因の内容を見てきました。
動因が「内的動機付け」と呼ばれる一方で、誘因は「外的動機付け」とも言われます。
動因が体の内側から出てくるやる気をイメージしているのに対し、誘因は金銭的な報酬など、体の外から与えられる刺激であるため、このような名前が付けられています。

金銭報酬などの誘因は即効性があり、組織運営では誘因の運用ばかりを考えてしまいがちですが、使用上の注意も必要です。
誘因が持つ問題については下記の記事で解説しているので、こちらもご参照ください。

偶因

最後にビジネスマネジャー検定試験にでてきた偶因にも言及しておきましょう。
これは完全にひっかけ問題で、名前こそ動因や誘因に似ていますが、これだけモチベーション論と関係ないものです。
「物事の根本の原因ではなくて、その発生の機会となる原因(機会原因)」と言われますが、わかるようでわからない言葉ですね。
「偶(たまたま)」という漢字がついているので、「たまたまそうなった」という感じでしょうか。

参考