スコープ・マネジメントの計画とは何か?PMBOKの用語を解説

2020年8月14日

スコープ・マネジメントの計画の概要

PMBOKでのスコープ・マネジメントの計画とは、プロジェクトのスコープ、すなわちプロジェクトの範囲の定義やその妥当性の確認、コントロールする方法を文書化していくプロセスのことです。

スコープを定義していないプロジェクトでは、プロジェクトが進むにつれて、作業範囲が拡大していき、いつまでもプロジェクトが完了できないという状況に陥ってしまいます。
こうしたトラブルを防ぐために、「このプロジェクトで何をするのか」「逆にこのプロジェクトで何をしないのか」を明らかにしていきます。

スコープ・マネジメントの計画のアウトプット

スコープ・マネジメントの計画のアウトプットを確認し、このプロセスのゴールを明確にしておきましょう。
スコープ・マネジメントの計画のプロセスでのアウトプットは以下の通りです。

  • スコープ・マネジメント計画書
  • 要求事項マネジメント計画書

スコープ・マネジメント計画書

スコープ・マネジメント計画書とは、プロジェクト・スコープを定義・文書化・検証・管理する方法を説明するために作成される文書です。
PMBOKでは「プロジェクトマネジメント計画書またはプログラムマネジメント計画書の構成要素のひとつ。スコープの定義、作成、監視、コントロール、および妥当性確認の方法を記述したもの」と定義しています[1]PMBOK第6版、715頁。

PMBOKで説明されているスコープ・マネジメント計画書の構成は以下の通りです[2]PMBOK第6版、137頁。

  • プロジェクト・スコープ記述書を準備するプロセス
  • プロジェクト・スコープ記述書から作業分解構成図(WBS)の作成を可能にするプロセス
  • スコープ・ベースラインを承認し、保持する方法を確立するプロセス
  • 完成したプロジェクト成果物の正式な受入方法を規定するプロセス

このスコープ・マネジメント計画書については、以下の記事もご参照ください。

要求事項マネジメント計画書

要求事項マネジメント計画書とは、プロジェクトの要求事項を分析、文書化し、その内容を管理していく計画をまとめたものです。
PMBOKでは「要求事項の分析、文書化、マネジメントのやり方を文書化した、プロジェクトマネジメント計画書またはプログラムマネジメント計画書の構成要素のひとつ」と定義しています[3]PMBOK第6版、736頁。

この要求事項マネジメント計画書については、以下の記事もご参照ください。

スコープ・マネジメントの計画のインプット

スコープ・マネジメントの計画のプロセスは、以下の情報を材料として進めていきます。

スコープ・マネジメントの計画のプロセスはプロジェクトの初期で実施されるプロセスであるため、充実した情報があるわけではありません。
そのため、プロジェクト初期にあるプロジェクト憲章や作成されたプロジェクトマネジメント計画書、組織体の環境要因、組織のプロセス資産をもとに、プロジェクトのスコープを明確にしていきます。

スコープ・マネジメントの計画のツールと技法

材料として集めたインプットの情報を調理するため、スコープ・マネジメントの計画では、以下のようなツール・技法を利用していきます。

判断を仰ぐ専門家像としては、以前と同様のプロジェクトを経験していたり、業界の情報を知っている人物が適任です。
データ分析としては、代替案分析などの分析手法を使っていきます。

1PMBOK第6版、715頁。
2PMBOK第6版、137頁。
3PMBOK第6版、736頁。