品質マネジメント計画書(品質計画書)とは何か?内容と作成方法を解説

2020年5月8日

品質マネジメント計画書(品質計画書)とは

品質マネジメント計画書とは、品質目標を達成するために適用される方針や手続き、ガイドラインの実行方法を記述した文書です。
PMBOKでは品質マネジメント計画書と表記されますが、ISO21500では品質計画書と表記されます。
PMBOKでは品質マネジメントの計画のプロセスで作成される計画書で、プロジェクトマネジメント計画書の構成要素の1つです。

品質マネジメント計画書はなぜ必要なのか?

品質というのはそれを使用するユーザーや、その製品を受け取る人間が感じるものであり、一般的に「これができていたら高品質」というものはなかなかありません。
そのため、プロジェクトでは「品質とは何か?」「その品質をどうやって検証するか?」を定める必要があります。
品質マネジメント計画書は、こうしたあいまいな「品質」の内容を決定し、その検証方法や品質マネジメントの方法についてまとめた文書であり、品質マネジメントの方向性を定める重要な文書であると言えるでしょう。

品質マネジメント計画書の内容

品質マネジメント計画書では、以下の内容を記載していきます。

  • プロジェクトが使用する品質基準
  • プロジェクトの品質目標
  • 品質に関する役割と責任
  • 品質レビューを受けるプロジェクトの成果物とプロセス
  • プロジェクトのために計画された品質のコントロールおよび品質のマネジメントの活動
  • プロジェクトで使用する品質ツール
  • 不適合、是正処置の手続き、および継続的改善の手続きなど、プロジェクトに関連のある主要な手続き

ここからは、各項目の内容を見ていきましょう。

プロジェクトが使用する品質基準

プロジェクトがISOやJISなどの規格・基準を用いて品質マネジメントを進めていく場合は、その内容を記載していきます。

プロジェクトの品質目標

品質マネジメント計画書では、上記の品質基準などをもとに、品質目標を定めていきます。
例えば、以下のように項目、目標値、期間、活動などを表組にして記載していきます。

項目目標値期間活動
バグ発生数月3回未満・成果物のレビュー
・テスト項目書の作成
要求事項の充足率99%・要求事項マネジメントの活動
稼働率99%・サーバーの24時間体制の監視
・サーバーの冗長化

項目と目標値は「何を」「どの水準まで」達成させるのかを数値で表しています。
期間はその数値をどのような期間で計測するのかを記載します。
活動は、目標を達成するために行う活動の概要を記載します。

品質に関する役割と責任

品質マネジメント計画書では、品質マネジメントに関するプロジェクト・チームの主要な役割と責任を定義し、記載していきます。
責任者が明確になれば、先ほどの品質目標に「責任者」の列を加え、併せて記載してもよいでしょう。

品質レビューを受けるプロジェクトの成果物とプロセス

品質レビューの対象となるプロジェクトの主要な成果物やプロセスを記載していきます。
例えばソフトウェア開発であれば、品質に影響を与える成果物と言えば、最終的なプログラム・コードだけでなく、それまでに作成される外部設計書・内部設計書などの設計書も含まれます。
また、プロセスで言えば、変更管理のプロセスは適切に進められなければ品質に悪影響を与えます。
こうした変更管理のプロセスのように、適切な手続きを踏まなければ成果物の品質が下がるようなプロセスについても、品質レビューの対象とするほうがよいでしょう。

プロジェクトのために計画された品質のコントロールおよび品質のマネジメントの活動

品質を監視し、プロジェクトの全期間を通じて目標としている品質と実際の品質とのギャップを是正するために実行される活動を定義していきます。

プロジェクトで使用する品質ツール

今回のプロジェクトに推奨または必須の特定のツールや技術がある場合、それらを記述していきます。

不適合、是正処置の手続き、および継続的改善の手続きなど、プロジェクトに関連のある主要な手続き

品質マネジメントでは、品質の目標を定めるだけでなく、品質を監視し、継続的な改善を行い、必要な場合は是正処置を行います。
是正処置が必要となった場合は、問題の内容を記録するだけでなく、追跡、解決、および報告されるプロセスと手順を定義する必要があります。

参考