代替案分析とは何か?PMPに出てくるデータ分析の技法を紹介

2020年4月22日

代替案分析とは

代替案分析とは、プロジェクトの目標を達成させるために利用できる様々な選択肢に対し、運用コスト、リスク、有効性などの様々な要因を分析的に比較して評価し、選択肢を決定する技法のことです。
PMBOKでは「プロジェクト作業を実行し成し遂げるために使う選択肢または手法を選択するために特定された選択肢を評価する技法」と定義されています[1]PMBOK第6版、718頁。

代替案分析が使われるタイミング

代替案分析はPMBOKで紹介されている様々なプロセスで採用することが推奨されています。
スコープ・マネジメントの計画スケジュール・マネジメントの計画資源のコントロールなど、様々なプロセスで成果物を出力するための技法として代替案分析は使われています。
例えば資源のコントロールでは、タスクを完了させるためにスタッフを手配したりすることがあります。
そうした時に代替案分析を行い、複数のスタッフを比較しながら、どのような技量・力量をもったスタッフを割り当てるかを考えていきます。

代替案分析を採用するメリット

代替案分析はプロジェクトマネジメントで使われる技法ですが、アメリカの国防総省行政管理予算局でも採用されている技法として有名です。
国防総省や行政管理予算局で代替案分析が採用される理由としては、何かしら調達を行う際に、特定の業者や製品に偏る状況を防ぎ、 様々な評価基準と照らし合わせながら、リスクが少ない選択肢を合理的に採用することができるからです。
こうしたアメリカ国防総省や行政管理予算局の対応から、代替案分析を採用するメリットは以下の通りだと考えられます。

  • 複数の選択肢を比較することができる
  • リスクを抑えた選択ができる
  • 合理的な選択ができる

代替案分析の手順

代替案分析は、状況に応じて分析の内容が変わってきますが、基本的には以下のような手順に従って進めていきます。

  • 選択肢の収集
  • 基準の設定
  • 選択肢の評価・比較
  • 選択肢の決定

ここからは、この代替案分析の手順について説明を加えていきます。

選択肢の収集

代替案分析では、選択肢を複数用意し、比較していくことが重要になります。
そのため、選択肢の収集というアクションをまずはじめに行います。
先ほど紹介したアメリカ国防総省や行政管理予算局では、最低3つの選択肢を用意するようです[2]Analysis of Alternatives – Wikipedia
これにならい、プロジェクトマネジメントで代替案分析を採用する場合も、3つ程度の選択肢を用意するとよいでしょう。
例えば、ちょっとしたチラシのデザインをするタスクがあるとします。
この作業をアウトソーシングしようとした場合、デザイナーAさん、Bさん、Cさんという選択肢を検討するなど、選択肢をまとめていきます。

基準の設定

選択肢の収集と並行して、選択肢を評価するための基準を考えていきます。
この基準もケースバイケースではありますが、概ね以下の項目を検討していけば大過ないでしょう。

  • 費用
  • スケジュール(所要時間)
  • パフォーマンス
  • リスク

選択肢の評価・比較

選択肢が出そろい、基準の設定もできたら、選択肢をその基準に沿って評価していきます。
先ほどのチラシのデザインをする場合も同様で、Aさん、Bさん、Cさんのそれぞれ依頼した時の金額や完了予定日、彼らの能力やリスクをまとめていきます。
仮に、Aさん、Bさん、Cさんの評価が以下のようなものだったとします。

AさんBさんCさん
費用30万円10万円5万円
スケジュール依頼日より2日後に納品予定 依頼日より4日後に納品予定 依頼日より6日後に納品予定
パフォーマンス高い並み並み
リスクとくになし早めに依頼しないと対応してもらえない可能性があるしばしばスケジュール遅延が発生する

Aさん、Bさん、Cさんの評価が以上のような状況の場合、誰を選んだ方がよいのでしょうか。
もちろんそれも状況によりけりです。
どのような選択をするかは代替案分析の最後のステップで行います。

選択肢の決定

最後に、数ある選択肢の中から、最良の選択肢を選んでいきます。
先ほどの表の通り、Aさん、Bさん、Cさんを評価し、誰にチラシ作成の依頼をするかという決定は、そのプロジェクトの状況によって変わっていきます。
もし急ぎで高いクオリティのデザインを依頼しなければならない場合は、スケジュール・パフォーマンスの一番高いAさんを選択することになります。
一方で、そこまでクオリティは問題にしていなく、時間にもかなり余裕がある場合は費用の安いCさんに依頼することもあるでしょうし、スケジュール遅延のリスクを嫌ってBさんに依頼するかもしれません。
このように、どのような選択をするかは状況によって変わっていきますが、感覚的に選択肢から選ぶのではなく、状況にあわせた判断が合理的にできるようになるのが代替案分析の長所だと言えます。

参考