プロジェクトマネージャ試験午後Ⅰのおススメ勉強法を問題文から解説します

2020年3月24日

どうやってプロジェクトマネージャ試験の午後Ⅰを勉強していくか

IPAのプロジェクトマネージャ試験(以下、PM試験と略記)午後Ⅰは選択問題の午前Ⅰ・Ⅱや論述問題の午後Ⅱに比べて、様々な種類の問題が組み合わされて出題されるので、PM試験の中でもクセの強い部分です。
今回はPM試験午後Ⅰの勉強法を考えていきましょう。

午後Ⅰの設問の種類

PM試験午後Ⅰの設問は大きく3つの種類に分けられます。

  • タイプ1:単純な知識問題
  • タイプ2:国語の問題
  • タイプ3:プロマネとしての判断を問う問題

ここからはそれぞれのタイプの内容を見ていきましょう。

タイプ1:単純な知識問題

PM試験午後Ⅰの1つのタイプとして、単純な知識問題が挙げられます。その多くは穴埋め問題形式で出題され、「[ a ]に入れる適切な字句を15字以内で答えよ」という出題がなされます。
内容としてはプロジェクトマネジメントの知識やソフトウェア開発の知識を問うものです。

タイプ2:国語の問題

2つ目の問題のタイプとして、国語の問題があります。どういうことかというと、問題文中に答えがあり、適切な内容を記入させる問題です。
例えば「バグ密度の管理目標を設定する際に考慮した条件は何か[1]平成29年度春期PM試験午後Ⅰ問3設問3(1)より」というように、「何か」を問う問題の多くはこのタイプ2に分類されます。

タイプ3:プロマネとしての判断を問う問題

3つ目のタイプとして、PM試験午後Ⅰにはプロマネとしての判断を問う問題が出題されます。これが出題数の過半数を占めており、そして他のタイプに比べて難しい問題になっています。
このタイプの問題は「Q課長は、どのように見直すべきだと考えたのか[2]平成28年度春期PM試験午後Ⅰ問2設問2(2)より 」というように出題され、問題文を読みながら、プロマネとしてどうするのが適切なのかを問うてきます。
多くの場合は、「A主任はどう考えたか」「Q課長はどのような意図があったか」というように、本文中の登場人物が何を考えていたのかを問う設問がでてきます。
しかしそれだけでなく、先ほどのタイプ2のように、「~~は何か」という設問であっても、本文中に該当する内容がない場合は、このタイプ3の設問、すなわちプロマネとしての判断をPM試験は測っています。

問題にあわせた勉強法

タイプ1の勉強法:午前試験の問題で十分

タイプ1の問題の勉強法は簡単です。PM試験午前Ⅰ・Ⅱの勉強をしていれば、自然と知識は身についていきます。
しかし、午前の問題が選択問題であるのに対して、午後Ⅰで出題される問題は記述式です。つまり、正確にプロジェクトマネジメントの手法の名称や、IT技術の名称を覚えておく必要があります。
午後Ⅰの勉強法も見据えて午前Ⅰ・Ⅱの勉強する場合は、選択肢の内容を記述していくとよいでしょう。
例えば、過去問を勉強していく中で、下のような問題にであったとします。

プロジェクトマネジメントにおけるプロジェクト憲章の説明として、適切なものはどれか。
ア)組織のビジョン、目標及びビジネスニーズとともに、プロジェクトが提供するプロダクト、サービス、又は所産の特性を明確にした文書
イ)どのようにプロジェクトを実施し、監視し、コントロールするのかを定めるために、プロジェクトを実施するためのベースライン、並びにプロジェクトの実行、コントロール、及び終結する方法を明確にした文書
ウ)プロジェクトの最終状態を定義することによって、プロジェクトの目的、成果物、要求事項及び境界を含むプロジェクトスコープを明確にした文書
エ)プロジェクトを正式に承認する文書であり、プロジェクトマネージャを特定して適切な責任と権限を明確にし、ビジネスニーズ、目標、期待される結果などを明確にした文書

平成30年度春期PM試験午前Ⅱ問2より

この中で、問題のプロジェクト憲章を説明しているのは(エ)です。しかし、午後Ⅰも視野にいれて勉強をしていくのであれば、他の選択肢が指しているものも記述できるようにしていく必要があります。(ア)の選択肢はプロジェクト作業範囲記述書を、(イ)はプロジェクトマネジメント計画書を、(ウ)はプロジェクト・スコープ記述書だと回答できるようにしておきましょう。
こうしたタイプ1の問題の勉強は過去問で十分です。
IPAのWebサイトからPM試験の過去問が手に入れられるので、この問題で勉強していくとよいでしょう。

タイプ2の勉強法:「何」を適切に探す訓練をする

タイプ2は国語の問題です。上述の通り、「~~は何か」で問われている設問のほとんどが本文中にある適切な語句を抜き出してくることで回答できます。
タイプ2の勉強は国語の勉強法と同じですが、ではそもそも国語の勉強とはどうしたらいいのでしょうか。
タイプ2の設問に限って言えば、「問われていることを正確に把握し、答えられるようにすること」です。
例えば「本文中の下線②について、R氏からP社社長への報告に際しては必ず事前にこのような対応をしてもらうことでB課長が防ぎたかったことは何か」と問われたら、「B課長が防ぎたかったことは、○○です」と簡潔に答えられるようにしていく訓練が必要です。
高校受験や大学受験であっても「国語は感覚でやるもの」と考える人が少なからずいますが、先ほど紹介したように、相手から問われていることを正確に把握して回答するというのは、なかなか難しいもので、問題を通じて訓練をしていく必要があります。

タイプ3の勉強法:問題の背景を適切に捉える訓練をする

最後にタイプ3の設問について見ていきましょう。
タイプ3はプロマネとしての判断を問う設問です。「Q課長はどう考えたか」という設問であっても、高校受験や大学受験のようにQ課長の心情が本文中に記載されているわけではなく、「あなたがQ課長であれば、プロマネとしてどう考えるか」そしてそれがプロジェクトマネジメントやソフトウェアエンジニアリングの定石を踏んでいるのかを出題者は見定めようとしています。
このタイプ3の勉強法も、タイプ2と同じように、回答の方法を実践で使えるように訓練することです。
ただ、タイプ2と異なるのは、本文中に答えとなる語句がないことです。タイプ3では問題の背景を読み取り、それに対して適切な答えが求められるので、その訓練をしていきましょう。

タイプ2・タイプ3については参考書も利用

タイプ2とタイプ3の勉強も、基本的には過去問をこなしていくことが大切です。
しかし、タイプ2・タイプ3は「何が答えだったか」だけでなく、「どうしてそれが答えなのか」までしっかりと理解しておく必要があります。
IPAのWebサイトに掲載されている過去問にも、出題者からのコメントが書かれていますが、十分な説明があるわけではありません。
そのため、独学でPM試験に挑戦する場合は、参考書を購入し、回答の方法を学んでいくほうがよいでしょう。
参考書を選ぶ基準は、解説の充実度です。
例えば『プロジェクトマネージャ 「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)』は午後Ⅰの解説がしっかりなされているので、午後Ⅰ対策にちょうどいいです。

まとめ

今回はPM試験午後Ⅰの勉強法を紹介していきました。
午後Ⅰは一問一答形式で知識を問う問題も出題されますが、ほとんどがプロマネとしての判断を問うものです。
量をこなすこともさることながら、参考書を読みながら「どうしてこの答えになるのか?」を理解し、回答できるようにしていきましょう!

1平成29年度春期PM試験午後Ⅰ問3設問3(1)より
2平成28年度春期PM試験午後Ⅰ問2設問2(2)より