プロジェクト・スコープ記述書とは何か?PMPで出題されるPMBOKの用語
プロジェクト・スコープ記述書とは
プロジェクト・スコープ記述書とはプロジェクトのスコープ、すなわち作業範囲や成果物について詳細に記述した文書です。
PMBOKでは「プロジェクトのスコープ、主要な成果物、前提条件や制約条件を記述した文書[1]PMBOK第6版、729頁。」と定義しています。
ここでいう制約条件とは予算やスケジュールなどのチームの行動を規制する条件を意味し、前提条件とはプロジェクトを成功させるために必要だと考えられている条件のことを指しています。
プロジェクト・スコープ記述書はなぜ必要なのか
プロジェクト・スコープ記述書は、スコープの定義のプロセスで作成されるものです。
スコープの定義は、「このプロジェクトの範囲は何か?何を作っていくのか?」を定義していくプロセスで、このプロセスの成果物としてプロジェクト・スコープ記述書が生まれます。
つまり、プロジェクト・スコープ記述書とはプロジェクトの範囲や成果物について定義した文書であり、プロジェクトのゴールを明確にし、プロジェクト・チームに共有するためにも必要な文書です。
さらに、プロジェクト・スコープ記述書をもとにワーク・ブレークダウン・ストラクチャー(WBS)やスコープ・ベースラインを作成していくため、その後のプロジェクトの骨子になる重要な文書になります。
また、変更要求や追加の作業が発生した場合、それらがプロジェクトの範囲内なのか、範囲外なのかを評価するためのベースラインにもなります。
プロジェクト・スコープ記述書の内容
プロジェクト・スコープ記述書には以下の項目を記述していきます[2]PMBOK第6版、154頁。。
- プロダクト・スコープ記述書
- 成果物
- 受入基準
- プロジェクトからの除外事項
プロダクト・スコープ記述書
プロダクト・スコープとはプロジェクトで構築していくプロダクトやサービス、所産を特徴づけるフィーチャーや機能のことです。
「何をつくるか」だけでなく、「どんな機能をもつのか」「どんなセキュリティ対策を施すか」などの特徴まで考えていきます。 ITプロジェクトでいう要件定義書に近い存在です。
こうしたプロダクト・スコープを文書に落とし込んだのがプロダクト・スコープ記述書です。
成果物
成果物とは、各プロセスやアクティビティを完了した結果生み出されるものです。
ITプロジェクトで最終的に開発されるのはプロダクト・スコープ記述書で定めた内容ですが、その開発に至るまでに様々なプロセスやアクティビティを経ていきます。
例えば要件定義を行えば要件定義書が成果物になりますし、設計を行えば各種設計書が成果物になります。もちろん、最終的なプロダクトの一部の機能なども、成果物になります。
受入基準
受入基準とは成果物を受け入れる前に満たしておく必要がある条件のことです。
成果物を作ったという事実だけでそのプロセスやアクティビティを完了としてしまえば、その成果物の品質が悪い場合にトラブルの種を残してしまうことになります。
こうしたトラブルを避けるためにも、成果物として認めるための基準を設けるのが受入基準です。
プロジェクトからの除外事項
プロジェクトからの除外事項とは、簡単に言えば「このプロジェクトではやらないこと」です。
例えば社内掲示板用のWebサイトを作ろうとする際に「公開するWebサイトではないからSEOは考えなくともよい」など、何をしないかをまとめていきます。