ダブルループ学習とは何か?シングルループ学習との違いを含めて解説

2023年2月28日

ダブルループ学習とは

ダブルループ学習とは、既存の枠組みや前提そのものを疑い、新しい考え方や行動の枠組みを取り込む学習プロセスのことです。
別の言い方をするなら「改革」が該当し、前提となるビジョンそのものを見直し、大きな成果を生み出すことがダブルループ学習となります。

シングルループ学習との違い

ダブルループ学習との対比として「シングルループ学習」があります。
シングルループ学習とは、既にある考え方や行動の枠組み、過去の成功体験に沿って問題解決を探る手法であり、結果を受けて行動を改善する方法です。
シングルループ学習がこれまでの考え方や行動の枠組みを基に解決策を探っていくことに対し、ダブルループ学習では過去の成功体験に囚われず目的や前提を問い直すことで、これまでにない解決策を探ります。

ここからは、シングルループ学習とダブルループ学習の違いを電話で個別にアポを取り、訪問営業を行うスタイルの場合で確認してみます。

シングルループ学習のケーススタディ

これまでの考え方を重視した改善であり、「電話を掛ける回数を増やす」「訪問数を増やす」「成約率を上げるためのパンフレットを刷新する」「訪問時の営業トークを磨く」といった改善策が挙げられます。

ダブルループ学習のケーススタディ

過去の成功体験に囚われない「改革」を重視した改善であり、前提の見直しを行います。
「セミナーやSNS広告を通じて無料相談から成約に繋げる」「訪問営業ではなくオンライン上で販売できるECサイトを構築する」といった俯瞰的な視点で改善策を探すため、シングルループ学習より幅広い選択肢の中から最適な解決策を選ぶことができます。

ダブルループ学習が提唱された背景

成功体験に囚われないようにする

ダブルループ学習に基づいて既存の行動や考え方の見直しを行い、広い視野で解決策を導き出そうとしても、これまでの成功体験や考え方に固執してしまうことも多く、シングルループ学習だけで完結させてしまう場合があります。
しかし、シングルループ学習には弱点もあり、これまでのやり方に固執してしまうと変化の激しい現代社会において取り残されてしまいます。

成長のスピードを上げる

シングルループ学習では大きな改革は望めないため、現在の取り組みの枠組みに縛られている限り目覚ましい成功率を上げることができません。結果として成長スピードが遅くなってしまい、これまでのやり方が通用しない場合はいくら改善したとしても成果を上げることができなくなってしまいます。また、目標設定が現実的でない場合ややり方が効率的でない場合でもシングルループ学習では軌道修正される機会がありません。
そのため、壁にぶつかったときに前提を疑う視点を持たないシングルループ学習では壁を乗り越えられない場合もあります。これらの背景から、シングルループ学習だけでは成長に限界があるため、ダブルループ学習が提唱されています。

ダブルループ学習を根付かせる3つの方法

ダブルループ学習を根付かせるには、組織の中で意見を言いやすい風土を醸成することが必要です。

経営者や上司自ら問いかけを行う

ダブルループ学習の特徴である前提を疑う意見は言い出しにくいケースが多く、売上目標に達していないときにシングルループ学習に基づく「訪問回数を増やす」という意見は出しやすいものとなります。
しかし、シングルループ学習だけでは過去の取り組みの繰り返しとなり飛躍的な成長は望めません。飛躍的な成長のためのダブルループ学習を根付かせるためには、まず経営者や上司が自らダブルループ学習に基づく問いかけを行うことが大切です。
例えば、売上目標が達成できない場合に、売上目標自体が妥当なものであったか、訪問営業以外にも別の営業方法がないかといった問いかけを行い、メンバーに考えさせることで意識付けを行うことが重要です。

部下の意見を受け入れる

経営者や上司からの問いかけを行っていくことで、メンバーから改革を視野に入れた意見も出てくるようになります。この時、実際に出てきた意見を採用するかどうかは別として、意見が出てきたことに関してメンバーを非難しないことが大切です。
メンバーに意見を出してもいいといった風土を醸成することで、経営者や上司からの問いかけがなくても、メンバーの方から意見が出てくるようになり、ダブルループ学習で考えていくことが習慣化されていきます。

経営者、上司のマネジメント能力が必要

ダブルループ学習で意見が出てきても、その意見が現実的に検討され実行に移されなければ意味がありません。メンバーからの意見を受け取った経営者や上司側でもしっかりと検討し、必要な意思決定を行うことが重要です。
経営者や上司が決めたことをメンバーに実行させるだけでは、いつまで経ってもメンバーはシングルループ学習から抜け出せません。
経営者や上司が自ら問いかけ、メンバーの意見を取り入れたマネジメントを行っていくことで、ダブルループ学習を組織の中に根付かせることができます。

参考