リスキリングを短期間で効果的に行うには?自分に合った独学方法の見つけ方

2023年3月21日

短期間で効果的に学習するには?

リスキリングとは「新技術や新ビジネスモデルに対応できるように、新しい知識やスキルを学ぶこと」です。しかし、今まで触れたことのない新しい学習内容にとまどい、苦労する方も多いようです。

今回は、読書猿の『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』にヒントを得て、会社員が短期間で効果的に学習を行う方法と、自分に合った学習方法の見つけ方を紹介します [1]読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社、2020年。以下、『独学大全』と略記。

わからない言葉を軸に読む –問読のすすめ–

新しい分野について学ぼうとすると、わからない言葉がたくさん出てきます。
わからない言葉をそのままにしておくとやる気や集中力を削がれるので、効果的に学習するために「問読」をおすすめします[2]『独学大全』480~487頁。

全体を始める前に、まず書籍や研修動画の目次だけを見て知らない言葉をリストアップし、「その言葉はどういう意味か?」「この教材のテーマとその言葉はどういう関係があるのか?」に着目しながら読書や視聴を進めます。メモを取りながら進めるのがおすすめです。

従来通りに読書やオンライン講義を一通り行うよりも、分野についての理解がより深まります。また、取ったメモの内容をまとめれば、研修内容全体の要約も行いやすくなります。要約した内容を社内勉強会やSNS等で共有すると、フィードバックが得られ、さらに理解が深まるでしょう。

短時間サイクルで知識を定着させる

ほとんどの方は、過去の研修内容の大半を1か月もすると忘れてしまいます。学習に充てられる時間は限られているけれど、知識としてきちんと定着させたいという方は「35ミニッツ・モジュール」 の技法を試してみましょう[3]『独学大全』610~615頁。

『独学大全』によると、学習するときには一度に覚えるよりも分けて覚える方が覚えやすく、知識の定着度も高いというのが実証されているそうです。35ミニッツ・モジュールでは35分を1単位とし、以下のような時間の使い方をします。

35ミニッツ・モジュールの例
  • 20分 :新規項目の学習
  • 4分 :小休憩
  • 2分 :1日前の学習項目の復習
  • 2分 :1週間前の学習項目の復習
  • 2分 :1か月前の学習項目の復習
  • 5分 :本日の学習項目の復習
    (繰り返す場合は10分休憩後に行う)

ポイントは、過去の学習内容を復習する際に「1日前」「1週間前」「1か月前」と徐々に間隔を長くしていく点です。間隔を空けて復習することで、より定着度が高まります。

短時間のサイクルを何度も回す方法としては、25分勉強して5分休憩の計30分を1セットとする「ポモドーロ・テクニック」もよく使われます[4]『独学大全』126~131頁。。自分の学習内容やスタイルに合った時間を選択するとよいでしょう。

メタノートをつける

ITスキル、語学スキル、ビジネススキル…とリスキリングの対象となるスキルはさまざまですが、ジャンルごとに効果的な学習方法は似通ってくるものです。そこで、『独学大全』で紹介されている「メタノート」 を活用しましょう[5]『独学大全』658~664頁。。何の学習を行う際にどの技法を使ったか、何につまずいたか、上手く進まないときに何が効果的だったか、などを日記のように何でも記入します。

メタノートを活用すると、ジャンルごとに過去に効果があった学習方法を採用できるため、効率的に進めやすくなります。

まとめ

今回は『独学大全』をもとにして、短期間で効果的に行うリスキリングの方法を紹介しました。

学習方法は人によって向き不向きがあり、人に合わせて改良が必要です。今回ご紹介した「問読」「35ミニッツ・モジュール」の方法が合わない場合も、「メタノート」に気づいた点を書き込みながら、自分にとって一番効果的な独学方法を編み出してみてください。

参考

  • https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0070-dx_reskilling.html(2023年3月13日確認)

1読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社、2020年。以下、『独学大全』と略記。
2『独学大全』480~487頁。
3『独学大全』610~615頁。
4『独学大全』126~131頁。
5『独学大全』658~664頁。