心理学で使われる実行機能(エグゼクティブファンクション)とは何か?意志の力の意外な弱点を解説
実行機能の概要
実行機能(エグゼクティブファンクション, executive function)は心理学や神経科学で使われる言葉で、何らかの課題を遂行するために行動や思考を制御する脳機能のことです。
英語名である"executive function"の"executive"には「執行役員」という意味もあるため、「執行役員機能」と訳すこともできます。その名のとおり、実行機能は人間の下記の機能を制御しています。
- 作業記憶
- 柔軟な思考
- 自己制御
- 目標の決定
- 計画
- 予定外のことに柔軟に対応すること
- 気持ちの切り替え
やり抜く力と実行機能
なぜ実行機能が大切なのか?
近年ではやり抜く力を取り上げた『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』がベストセラーになったように、ビジネスやモチベーションの分野でやり抜く力が注目を集めています。
そして、そのやり抜く力(自己制御)を管理しているのが実行機能です。
つまり、さまざまな周囲の誘惑を振り払って、目標にまい進できるかどうかは、実行機能による部分もあります。
実行機能だけでは、やり抜く力は続かない
しかし、実行機能に頼るだけでは、やり抜く力を持続させるには限界があることもわかっています。
実行機能は目の前の誘惑を振り払う自己制御の能力も司っていますが、反面誘惑に負ける自分を正当化することもあります[1] … Continue reading。
また、実行機能の自己制御の能力を使い続けると、ストレスなどが体に悪影響を及ぼすこともわかっています[2]前掲『なぜ「やる気」は長続きしないのか』74頁。。
そのため、やり抜く力を培うには、実行機能だけに頼ることはできません。