プロジェクトでは言葉にも注意!業務用語の定義が違ったことによるトラブルを紹介

2022年2月24日

言葉の定義の違いでトラブル

言葉の定義が違ったことにより、プロジェクトがつまずいてしまうことはよくあります。
たとえば、ソフトウェア開発では試作品という意味で使われる「モックアップ」という言葉を耳にすることが多々あります。しかし「モックアップを作ってきます」と言った時、それがインタフェース部分だけを作ったものなのか、それとも完成品に近い試作品を作ってくるのかは、人によって認識が異なります。そのため、言葉の定義をあいまいにしていると、思わぬところでトラブルに見舞われてしまいます。
今回はプロマペディアに寄せられた失敗談をもとに、その教訓を考えていきましょう。

失敗談

私は産業ロボットメーカーに勤務しており、手配システム(営業が受注した製品を、社内の生産管理部へ手配するためのシステム)刷新のプロジェクトマネージャーを担当しています。
今回は部署によって業務用語の定義が違っていることに気づかず、新システム立ち上げ後にトラブルが発生してしまったという失敗談をお話ししていきます。

このプロジェクトは、営業メンバー10名、生産管理メンバー5名で活動していました。
要件定義・基本設計のフェーズでは営業と生産管理のメンバーが毎週のように集まり、理想のシステム構築に向けて議論を重ねていきました。
ロボットの手配が複雑であり、さらに既存システムが20年近く使われ、老朽化していたこともあったため、プロジェクトを進めることは容易ではなかったものの、なんとか予定通りに新システムを立ち上げることができました。

しかし新システム運用が始まって間もなく、トラブルが発生したという連絡を受けました。
私はすぐに営業部門と生産管理部門のメンバーの元へ足を運び、トラブルのヒアリングをしました。その結果、プロジェクト進行中に何度も使われていた「オプション品」と呼ばれる業務用語が、営業部門と生産管理部門で解釈が違っていたことが判明しました。
そのため、営業部門は「オプション品は手配していない」と言い、生産管理部門は「営業からオプション品が手配されてきた」と言う状況でした。

より詳細な情報をつかむために、私は営業・生産管理それぞれに「オプション品」に分類される品番をリストアップするように依頼しました。その品番を確認した結果、一部の品番で営業と生産管理で認識がズレていることが判明しました。

「オプション品」という言葉は、弊社では日常的に使われる用語です。営業も生産管理も当たり前のように「オプション品」という言葉を毎日使います。そのため「認識にズレがある」とは誰も気づきませんでした。
今回発生した問題は、情報システム部の協力もあり、1か月ほどで沈静化させることができました。

システム構築のようなプロジェクトを進める際は、業務要件だけではなく、言葉の定義も丁寧に確認しながら進めるべきだったと今では反省しています。

用語集を設けてトラブル回避

今回の失敗談は、用語の定義が部門ごとに異なり、トラブルに発展してしまったという内容でした。
冒頭で述べたように、こうした言葉の認識の違いによるトラブルはプロジェクトで少なくありません。
こうしたトラブルを回避するには、用語集を設けるのがよいでしょう。
そしてその用語集をプロジェクト・チームで共有し、認識の違いを無くしていくことが大切です。