役割ベースと議題ベースのステークホルダー ~ステークホルダーの2つの種類について解説~

役割ベース(role-based)と議題ベース(agenda-based)のステークホルダー

役割ベース(role-based)議題ベース(agenda-based)のステークホルダーとは、プロジェクトマネジメントの専門家であるルイーズ・M・ウォースリー(Louise M. Worsley)によるステークホルダーの分類方法です。

ステークホルダーの分類方法にはいくつもの種類があります。
たとえばPMBOK第7版では直接的ステークホルダー間接的ステークホルダーという分け方が紹介されています。
そうした中でルイーズは、「何かしらの役割(機能)を持っているか」「プロジェクトの外部にいるか」に注目し、ステークホルダーを分類しました。

役割ベース(role-based)のステークホルダーの特徴

役割ベースのステークホルダーとは、個人や組織に関係なく、プロジェクトで明確な役割(機能)を有しているステークホルダーです。
これらのステークホルダーを管理する際は、明確な責任とコミュニケーション、効果的な契約、変更管理や紛争解決の能力が必要です。

議題ベース(agenda-based)のステークホルダーの特徴

議題ベースのステークホルダーは、主にプロジェクトの外部に存在する役人や競合他社、エンドユーザーなどのことです。
これら議題ベースのステークホルダーの行動は、プロジェクトに大きな影響を与えることがあります。

どちらのステークホルダーが多いかでプロジェクトの難易度が変わる

プロジェクトに関係しているステークホルダーの内、役割ベースが多いか、それとも議題ベースが多いかで、プロジェクトの難易度は変わります。

たとえば、役割ベースのステークホルダーは、RACIチャートなどを用いてその役割と責任を明確にすることで、管理がしやすくなります。
そのため、社内プロジェクトなどの役割ベースのステークホルダーが多い場合は、プロジェクトの難度は高くなりにくい傾向にあります。

一方で、議題ベースのステークホルダーはプロジェクトの外部にいるため、管理がしにくく、予測不能の事態が起きることもあります。
たとえば、多数の行政機関が関係するプロジェクトでは、議題ベースのステークホルダーが増えるため、難度が高まると考えられます。

参考

  • Louise M. Worsley, Stakeholder-led Project Management: Changing the Way We Manage Projects Business Expert Press, 2020.