コーピング(Coping)とは何か?コーピングでストレッサーへ対処していく
良いストレスと悪いストレス
現代はストレス社会とも言われており、仕事だけでなく、友人関係やSNS疲れなど、様々なストレスに晒されています。
ハンガリー出身の生物学者であるハンス・セリエ(Hans Selye)はストレスを「外部環境からの刺激によって起こる歪みに対する非特異的反応」と考え、さらにストレスには達成感や充実感につながる「良いストレス」と、心身に悪影響を及ぼす「悪いストレス」があるとしました。
この「良いストレス」「悪いストレス」は必ずしも明確に区別できるものでなく、どちらの性格をも備えたストレスも少なからずあります。
たとえば大きなプロジェクトを任されたら「期待に応えよう!」という具合に仕事を任されたストレスがプラスになることもありますし、「失敗したらどうしよう……」という不安につながる可能性もあります。
現代社会では、業務の遂行上、こうしたストレスと向き合うことが大切です。そして、このストレスへの対処法をコーピングと呼びます。
ストレッサーとストレス反応
コーピングの内容を見る前に、ストレスについて整理しておきましょう。
ストレスのもととなるものをストレッサーと呼びます。ハンス・セリエはそのストレッサーを「ストレスを引き起こす外部環境からの刺激」と定義しました。
そして、各ストレッサーに直面した時、生じる心身の変化をストレス反応と呼びます。ストレス反応は「身体面の反応」「心理面の反応」「行動面の反応」に分けられます。この3つの反応を見ていきましょう。
身体面の反応
身体に見られるストレス反応では、ストレスを受けている人の体調が悪化している例として、頭痛や不眠、食欲不振などがみられます。
頭痛や不眠、食欲不振などがその例として挙げられます。
心理面の反応
ストレスは心にも影響を与えます。
元気がなくなったり、気分の落ち込みが見られるのもストレスの影響です。
行動面の反応
ストレスが高くなり、心に悪影響がでると、人の行動も変わっていきます。
たとえば、酒量が増えたり、仕事上のミスが増えたりするのも、もしかするとストレスの影響かもしれません。
ストレッサーの対処方法
では次に、ストレッサーへの対処法を考えていきましょう。
アメリカの心理学者であるリチャード・S・ラザルス(Richard S. Lazarus)の認知評価モデルでは、ストレッサーをどのように評価するかという第一次評価をした後、そのストレッサーがストレスフルであると見なされた場合は、二次的評価として対処行動に入っていきます。
コーピングの手法
ここからはコーピングの代表的な2つの手法を見ていきましょう。
問題焦点型のコーピング
問題焦点型のコーピングでは、ストレッサーそのものの解決を目指していきます。
つまり、「ストレスになっているものは何か?」を考え、そのストレスの原因に対して何かしらの行動をとっていきます。
たとえば、部下が分不相応な仕事によって大きなストレスを抱えているのが分かった場合、その仕事を分担したり、協力者を見つけたりして、負担を軽減していくというのは問題焦点型のコーピングです。
情動焦点型のコーピング
情動焦点型のコーピングでは、ストレス反応をコントロールしようとしていきます。
ストレスを受けても気にしないメンタルを身に付けようとするのは、情動焦点型のコーピングです。