リモートワークは効率的か?リモートワークのメリットとデメリットとは
コロナ禍によってリモートワークが普及しました。まだコロナが収まったわけではありませんが、リモートワークを継続する企業とリモートワークを中止する企業、リモートワークと出社とのハイブリッドで行う企業へと分かれています。
このように働き方が多様化しているのは、リモートワークにメリットとデメリットがあるからです。そこでこの記事では、リモートワークのメリットとデメリットについて解説します。
リモートワークを止める企業が出てきている
リモートワークに否定的な企業も増えてきています。たとえば2022年にTwitter社の経営者になったイーロンマスクは、ハードワークを推奨しており、リモートワークを原則禁止し、週に40時間オフィスにいることを求めています。
またAppleも全社員のオフィスへの復帰を目指しているとのこと。Googleは完全なリモートワークではなく、週3日のオフィス出社を求めています。ただ一方で、リモートワークを積極的に推進している企業もあります。たとえばYahoo!は「どこでもオフィス」という制度を始めました。
この制度は、インターネットに安定して接続できる環境であれば、どこでも働いて良いという制度です。自分で最も働きやすい場所を選べるというメリットがあります。働き方を変えることで従業員のウェルビーイングとパフォーマンス向上を目指していますが、その効果は人材採用に出てきているようです。
Yahoo!のプレスリリースによれば、新制度開始後、中途採用の応募者数が1.6倍に増加。中でも一都三県以外の地域からの応募が増加し、6月には応募総数の35%になったとのこと[1] … Continue reading。
つまりリモートワークを全面的に採用することで、多様な人材の確保を実現している企業もあります。
このようにリモートワークを推進するか、オフィスへの出社を求めるか、あるいはハイブリッド型の働き方を推奨するかは、企業によって対応が大きく分かれています。ではなぜこのように企業によって対応が分かれているのでしょうか。
それはリモートワークにメリットとデメリットがあり、リモートワークのメリットを最大限生かすのか、オフィス勤務のメリットを重視するのかが企業によって分かれるからです。
リモートワークのメリットとデメリットとは
リモートワークにはメリットとデメリットがあります。2022年2月に帝国データバンクが行ったアンケートによれば、31.5%の企業がテレワークを実施しており、そのうちの 52.1%はデメリットの方が多いと感じているとわかりました[2]https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220204.pdf(2022年12月12日閲覧)。
テレワークを実施している企業は多い印象です。しかし実際には企業規模によってバラツキがあり、大企業では46.0%、中小企業では29.1%、うち小規模企業では 19.8%となっています。
では大企業においてテレワーク実施に対して不満がないかというとそうではありません。実際には52.1%の企業がデメリットの方が多いと感じているのです。ではどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
リモートワークのメリット
先ほどの帝国データバンクのアンケートによれば、リモートワークのメリット上位5つは以下のようになっています。
- 通勤時間や移動時間を有効活用できる 35.7%
- 新型コロナの感染を防げる 15.2%
- ワークライフバランスを実現できる 13.0%
- 効率・生産性が上がる、仕事がはかどる 11.9%
- 通勤交通費、出張費など経費削減ができる 6.9%
このアンケート結果からもわかるように、リモートワークにすることで、通勤時間を有効活用できるというのが最も割合が多いです。3番目のワークライフバランスと併せて考えれば、今までできなかった家事もできるようになりますし、スキルアップのための勉強時間も確保できます。
そのため子どもとの時間を確保できるようになった人、資格取得のための勉強ができてスキルアップにつながった人もいます。2位の「新型コロナの感染を防げる」については、コロナが収まることで重視されなくなりますが、問題は4位の効率や生産性についてで、これについては意見が分かれるでしょう。
後ほどデメリットについて見るとわかりますが、デメリットのほとんどが効率や生産性が下がるという意見です。社員の立場によっても異なり、管理職にとっては効率が悪いと考えられるかもしれません。
リモートワークのデメリット
帝国データバンクのアンケート結果におけるデメリットの上位5つは、以下のようになっています。
- 社内コミュニケーションが減少する、意思疎通が困難 26.6%
- できる業務が限られる 19.3%
- 進捗や成果が把握しにくい 14.6%
- 業務効率が落ちる、トラブル時の対応遅延 13.0%
- 取引先や顧客との意思疎通や親密な対応が困難 9.6%
コミュニケーションや意思疎通の難しさはリモートワークのデメリットとしてよく言われており、企業が出勤を推奨することの要因のひとつとなっています。とくに管理職にとっては進捗管理が難しいという意見が多いです。
社内でのコミュニケーションをオンライン上でできるツールもリリースされていますが、それでもなかなか難しいのでしょう。2位の「できる業務が限られる」というのも、職種によってはリモートワークが難しいものもあるのは確かです。
保険の営業など、直接会って書類を渡したり、サインをしてもらったりしなければならない職種もあります。こうしたデメリットがあるため、イーロンマスクのようにオフィスでの勤務に戻すという企業がある一方で、これらのデメリットを工夫することで克服しようという企業もあるわけです。
ハイブリッドを実施している企業も
先ほどリモートワークのメリットとデメリットについて解説しました。リモートワークをするかしないかという選択だけでなく、一部リモートワークを導入するという企業もあります。たとえば週3日はオフィスで勤務し、残り2日はリモートワークにするというように、リモートワークとオフィス勤務をうまく組み合わせるという企業が出てきています。
ただハイブリッド型勤務はリモートワークとオフィス勤務のメリットをうまく生かせる一方で、出勤スケジュールの管理が難しくなるというデメリットもあります。全員出社する日を決めることでハイブリッド型勤務のメリットを失うケースも考えられます。
かといってバラバラに出社していては、オフィス勤務の良さは生かせません。どのように出勤スケジュールを調整するのかがポイントとなってくるでしょう。
働き方を含めて企業を選ぶ時代になった!
このように、企業によって完全にリモートワークにしているのか、オフィス勤務が前提なのか、ハイブリッド型勤務なのかが分かれています。働く側からすれば、働き方も企業を選ぶ大きなポイントになっています。
リモートワークで、自分の時間も確保したいし働く場所も選びたいという方は完全にリモートワークになっている企業を選ぶでしょう。ある程度はオフィスで働きたいという方は、ハイブリッド型勤務の会社を選んでいます。
人材不足が叫ばれている昨今において、企業は優秀な人材を求めて、日々試行錯誤しています。働き方もそのひとつです。どのような働き方で優秀な人材が集まるか。企業にとっても働き手にとっても、働き方は今後さらに重要な要素になってくるのではないでしょうか。