説得力のある文章を書くにはどうすればよいのか? ~真実性の錯覚を紹介~

2022年12月15日

説得力のある文章を書くには?

今日では、商品やサービスを宣伝するために、様々な媒体で紹介文を書くことがあります。
しかし、説得力のある文章を書くことは容易ではありません。
今回はダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』から、説得力のある文章にする方法を紹介していきます[1]ダニエル・カーネマン(著)、村井章子(翻訳)『ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?』早川書房、2014年、116~119頁。

認知的負担をできるだけ減らす

文章に説得力を持たせる1つ目の方法は認知的負担をできるだけ減らすことです。
たとえば、以下の文章のどちらが正しいかを質問したとします。

  • 吉田茂は1876年に生まれた。
  • 吉田茂は1886年に生まれた。

吉田茂は1878年に生まれたので、上記の選択肢はいずれも間違いなのですが、太字にした選択肢のほうが選ばれやすいようです。

もし背景色を入れる場合は、コントラストをはっきりさせると認知的負担の軽減につながり、信用を得られます。

明るい色を使う

文章に説得力を持たせる方法のイメージ画像
色が持つ印象も大切

背景色を入れる際は、緑や黄色などの中間色よりも、明るい青や赤にすると信用されやすくなります。

簡単な言葉にする

信用されやすい文章にするには、長くて小難しい文章を並べるよりも、簡単な言葉で説明すると効果が高くなります。

また、格言風の文体であると、考え抜かれた文章だという印象を与えるようです。
たとえば、下記の文章Aと文章Bは文章こそ違うものの、伝えようとしている内容はほぼ同じです。
しかし、文章Bのような文体のほうが信用される傾向にあります。

【文章A】
考慮すべき事項が多岐にわたるため、進行に慣れていないと、プロジェクトでは様々なトラブルが発生します。
しかし多くの会社では、プロジェクトマネジメントを教育する体制が用意されていないため、プロジェクトマネジャーはいつも苦しい仕事をしています。
このWebサイトはプロジェクトマネジャーの悩みを解決し、円滑なプロジェクトマネジメントに貢献します。

【文章B】
プロジェクトには様々なトラブルが発生する。
教育体制のない会社に、プロジェクトマネジャーは苦しめられている。
このWebサイトは悩みを解決し、プロジェクトの成功に貢献する。

発音しやすい言葉にする

書かれている文章であっても、発音しやすい単語のほうが印象に残る傾向があります。
たとえば被験者に「シャンルウルファ」「アンカラ」という2つの会社の業績を名前だけで判断してもらう場合、発音しやすく覚えやすい「アンカラ」の業績が優れていると判断される傾向にあります。

まとめ

今回は『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』の記述をもとに、説得力のある文章のテクニックを紹介していきました。

それらの内容をまとめると以下のようになります。

  • 認知的負担をできるだけ減らす
  • 明るい色を使う
  • 簡単な言葉にする
  • 発音しやすい言葉にする

ただしこれらのテクニックを使ったとしても、事実に反することを正しいと思わせたり、話に矛盾があったりする場合は、効果が期待できません。
あくまで大切なのは文章の中身であり、今回のテクニックはその補助をするものだと考えておきましょう。

1ダニエル・カーネマン(著)、村井章子(翻訳)『ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?』早川書房、2014年、116~119頁。