【悪文の構造】で学ぶ!Webライティング&ビジネスライティング術
仕事をしていると、報告書や指示書、Webページなど、文章を書く機会は意外と多くあります。
でも、せっかく書いた文章も、読みにくければ読んでもらえず、最悪の場合は仕事に支障を来たしてしまうこともあります。
「分かりやすい文章を書きたいけど、どうすればいいか分からない…」
そんな悩みをお持ちのあなたへ。
今回は、千早耿一郎の著書『悪文の構造』を参考に、分かりやすい文章を書くためのヒントをご紹介します[1]千早耿一郎『悪文の構造 ――機能的な文章とは』筑摩書房、2024年。以下『悪文の構造』と略記。。
「文章が分かる」とはどういうこと?
『悪文の構造』では、「文章が分かる」ことを3つの段階に分けて説明しています[2]『悪文の構造』18頁。。
- 書かれている事実が分かる
- 作者の意図したことが分かる
- 作者の意図しなかったものが分かる
3番目の「作者の意図しなかったものが分かる」というのは、文学作品などを深く読み解く際に重要となる視点です。
Webサイトの記事などでは、1と2の「書かれている事実が分かる」「作者の意図したことが分かる」ように書くことが大切です。
特に、「書かれている事実が分かる」 ことは、分かりやすさの土台となります。
機能的な文章とは?
読者にとって、書かれている事実が分かりやすい文章のことを、『悪文の構造』では 「機能的な文章」 と呼んでいます。
機能的な文章の特徴は、以下の通りです。
- とにかく意味がとれる
- 曖昧でない
- 誤解されない
- 読者によけいな手数をかけない
- 上記4点が読者に対する親切心によって裏付けられている
つまり、読者への親切心をベースに、分かりやすく誤解のない文章を書くことが重要です。
機能的な文章を書くための技術
『悪文の構造』では、機能的な文章を書くための具体的な技術として、以下の項目を挙げています[3]『悪文の構造』20頁及び251頁から作成。。
- 文章の約束を守る:日本語文法や以下の約束ごとが守られている
- 係る語と係られる語の間隔が短い:修飾語と被修飾語を近づける
- どの語がどの語に係るかを明示する:語句の関係を明確にする
- 適切な順序にする:時系列や論理展開に合った順序で書く
- 述語でしめくくる:文末に述語を置く
- 結論を先に述べる:結論を最初に提示する
- 否定か肯定かの予告をする:立場を明らかにする
- 無意味な接続は避ける:接続詞を必要以上に多用しない
- 並列する語句のバランスをとる:並列する語句が量的にも質的にもバランスがとれている
- 並列する語句の合流点を明らかにする:並列する語句が、どの語句と結びついているかを明確にする
- 二者択一の決意をする:読点一つとっても、入れるか入れないかの判断をする
- 「あそび」を取り入れる:ここまでの技術を体得出来たら、文章のリズムや表現にも気を付ける
読みにくい文章の特徴
ここまでは、分かりやすい、機能的な文章を作成する上での技術や心構えを紹介してきました。
『悪文の構造』の中では、読みにくい文章についても特徴がまとめられています。
もし書いた文章が分かりにくい文章になっていないか不安な時は、下記の読みにくい文章の特徴をチェックリストとして使い、確認するとよいでしょう。
- 主語と述語との対応の悪さ
- 修飾語と被修飾語との対応の悪さ
- 語の選択のまずさ
- 読点の打ち方の不明瞭さ
- 文脈の混同
- 無用の表現
- バランスの悪さ
- 長文
多くの場合、1~7までの特徴は、長文であるために発生します。
つまり、文章が長いために、主語と述語が分かりづらくなってしまったり、文脈が混同してしまったりして、分かりづらい文章となってしまいます。
すでに紹介した機能的な文章を書く技術を身に付け、簡潔な文章を心がければ、分かりやすい文章にぐっと近づきます。