クラウドコンピューティングのサービスモデルとは何か?NISTによる定義を紹介
クラウドコンピューティングとは何か?
クラウドコンピューティングとは、サーバーやストレージ、アプリケーションなどをどこからでも簡単に、必要に応じてネットワーク経由でアクセスできるサービスモデルのことを指します。
NISTはクラウドコンピューティングを下記のように定義しています。
共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービスプロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供されるものである
出典:IPA「NIST によるクラウドコンピューティングの定義」(https://www.ipa.go.jp/files/000025366.pdf)
「どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネットワーク経由でアクセスする」というのがクラウドコンピューティングのミソですね。
クラウドコンピューティングのサービスモデル
クラウドコンピューティングのサービスモデルにはいくつかのパターンがありますが、NISTやJIS X 9401ではクラウドサービスを3つに区分しています。
ここではSaaS、PaaS、IaaSについて見ていきましょう。
3つの区分の領域
クラウドサービスの区分とサービスの提供範囲をまとめると下の表のようになります。
SaaS | PaaS | IaaS | |
---|---|---|---|
アプリケーション | 〇 | ||
実行環境 フレームワーク | 〇 | 〇 | |
OS | 〇 | 〇 | |
ハードウェア | 〇 | 〇 | 〇 |
〇がついているのが、そのクラウドサービスが提供できるサービスですが、これだけをみるとSaaSが何でもできて、IaaSは何もできないように見えます。
しかし実際は状況によりけりで、クラウド型の会計サービスのように、サービスまで丸ごと提供してほしいということもあれば、「システム開発を行うサーバーだけほしい」というようにハードだけがほしいということもあり、目的によって何が使用されるかが変わってきます。
以下ではこれらのサービス区分がどのようなサービスを提供しているのか、より詳しく見ていきましょう。
SaaS(Software as a Service)
SaaSはソフトウェア・アズ・ア・サービスの略です。直訳すれば「サービスの形で提供されるソフトウェア」という意味です。
ネットワーク上でのみ使用することができ、利用者はそのネットワークやOSなどを操作することはできません。
最近ではWeb上で使えるサービスがさまざまありますが、一般的にIT関連の仕事でない人が使っているWebサービスの多くはSaaSに属しているように思えます。
例えばアメブロなどのブログサービスもSaaSの一種と言えるでしょう。
PaaS(Platform as a Service)
PaaSはプラットフォーム・アズ・ア・サービスの略です。「サービスの形で提供されるプラットフォーム」と訳されます。
PaaSはSaaSなどでサービスを提供する場所を提供しています。
例えば世界最大のECサイトのAmazonが提供するAmazonWebService(AWS)はサーバーなど様々なITインフラを提供してくれます。こうしたサービスがPaaSです。
IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSはインフラストラクチャ・アズ・ア・サービスの略です。「サービスの形で提供されるインフラストラクチャ」と略されます。
ITインフラを提供するのはPaaSと同様ですが、OSやストレージなど、より根幹の機能を提供しています。
先ほどのAWSは様々なITプラットフォームを提供していますが、例えばクラウドサーバーなど、その一部分を取り出せばIaaSとも言えるかもしれません。
定義をしたNISTとは何か?
SaaS、PaaS、IaaSの3つのクラウドコンピューティングの区分はNISTが定義しました。
NISTとはアメリカ国立標準技術研究所 (National Institute of Standards and Technology)のことです。
アメリカの技術革新や産業競争力を強化するために、経済保障を強化して生活の質を高めるように計測学、規格、産業技術を促進することがNISTの任務です(Wikipediaより)。