プロジェクト未経験の高校生や大学生がプロジェクトマネージャ試験に合格することはできない?

2020年4月9日

知識をつけるために学生がプロジェクトマネージャ試験に合格することはできるのか?

IPAが事務を務める情報処理技術者試験の中でも難関の試験であるプロジェクトマネージャ試験(以下、PM試験)ですが、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験に比べ、実戦での知識を問うものが多く、試験対象は経験のあるプロジェクト・マネジャー(以下、プロマネ)となっています。
こうしたPM試験に高校生や大学生が合格することは可能なのでしょうか?
結論を急ぐと、「無理ではないが、かなりレアケース」という状態です。
正直なところ、高校生や大学生が情報処理系の資格を取るのであれば、他の試験の方が色々と役に立つのではないかと思いますが、今回はプロジェクト未経験の学生さんがPM試験に合格する方法を考察していきます。

そもそも合格者はいるのか?

そもそも学生でありながらPM試験に合格した人はいるのでしょうか?
少し検索してみると、世の中にいるにはいるようです。いくつか紹介していきます。

このように世界は広いもので、プロジェクト未経験にもかかわらずPM試験に合格した猛者はいるようです。

プロジェクト未経験合格者の共通点

先ほど紹介したブログ記事に共通して言えることは、

  • 午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰはひたすら過去問に取り組む
  • 午後Ⅱについては、参考書の模範解答を暗記する

というのが、共通した傾向のようです。
午後Ⅰについては、過去の記事でも紹介しているので、こちらもあわせてご覧ください。

午後Ⅱの対処法

心を鬼にして午後Ⅱを暗記する

午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰは勉強すればよいものの午後Ⅱの論述問題は、プロジェクト未経験者にとって最大の関門です(プロジェクトの経験のあまり無い人を落とすための問題なので当然ではあるのですが……)。
それではもう手がないのかといわれるとそうではありません。
先ほども書いたように、「参考書の模範解答を暗記する」という最終手段があります。
つまり、やったことがないプロジェクトをやったと言い張ることになるため、かなり罪悪感のある方法ではありますが、「学生のうちにどうしてもPM試験に合格したい!!」という場合は、心を鬼にして解答の丸暗記に頼っていきましょう。

書き手のこだわりのない解答は得点がとりにくい

参考書の丸暗記はプロジェクト未経験者の唯一の合格手段ではあるものの、いくつか注意点があります。
その1つが「書き手のこだわりがない模範解答は参考にしない」というものです。
というのも、IPAのWebサイトにて公開されている平成31年度春期のPM試験午後Ⅱの採点講評に以下のようなコメントが書かれているからです。

プロジェクトマネージャ試験では、”あなたの経験と考えに基づいて”論述することを求めているが、問題文の記述内容をまねしたり、一般的な内容に終始したりする論述が見受けられた。

「平成31年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 採点講評」より

このように、「一般的な内容」になっている解答、つまり、「どんなプロジェクトでも言えるような解答」では及第点が得られない可能性が高いです。
そのため、「この状況、このプロジェクトのために、特別このような対応をとった」というような模範解答を参考にしていきましょう。

間違っても「未経験」であることは書かない

2つ目の注意点は間違っても「未経験であることを記述しない」ということです。
これについてはPM試験の参考書『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2020年版』では、いつも午後Ⅱで高い評価を受けている著者が「経験はない」と記述しただけで、「出題の要求から著しく逸脱している」という評価を受け、低い点数になったことが書かれています[1] ITのプロ46『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2020年版』翔泳社、2019年、63頁。
こうしたことから、PM試験午後Ⅱでは未経験者であることを記述したり、悟られたりすると低い点数につながる恐れがあります。
そのため、午後Ⅱの論述をする際は、間違っても未経験であることを匂わせないようにしていきましょう。

まとめ

今回はプロジェクト未経験の高校生や大学生などの学生が、プロジェクトマネージャ試験に合格できるのかどうか考えていきました。
今回の内容をまとめると以下の通りです。

  • 未経験者の学生でも合格した猛者はいる
  • 合格者の傾向は以下の通り
    • 午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰはひたすら過去問を解く
    • 午後Ⅱは模範解答を暗記する
  • 模範解答暗記の注意点
    • ありきたりな解答を書かない
    • プロジェクト未経験であることを書かない

1 ITのプロ46『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2020年版』翔泳社、2019年、63頁。