問題発生プロジェクト(炎上プロジェクト)に参画した時の対策
問題発生プロジェクトに参画することになったら
プロジェクトの進捗が芳しくなかったり、作成された成果物の品質が低い場合は、プロジェクトが完了することはなく、いわゆる炎上状態でプロジェクトが続いていくことになります。そうした状況ではプロジェクト・マネジャー(以下、プロマネ)の交代が発生することもあります。
プロマネとしての経験を重ねていくと、こうした炎上状態のプロジェクトの処理を任されることも発生します。
今回は問題が発生したプロジェクトに参画するようになった時、何を気をつけ、どのように対策をとっていかなければならないのかを考えていきます。
プロマネが確認すべきポイント
問題が発生しているプロジェクトに途中で参画することになった場合、プロマネは様々な点を確認していかなければなりません。
例えば、以下の項目を確認していきながら、プロジェクトの問題を洗い出していきます[1]平成14年春期PM試験午後Ⅱ問3の問題文を参考に作成。
- プロジェクトの要求事項・要件定義
- プロジェクト・成果物の進捗状況
- 成果物の品質管理の実施状況
- レビュー結果の反映状況
- プロジェクトの体制
以下、これらの内容を詳しく見ていきましょう。
プロジェクトの要求事項・要件定義
問題のあるプロジェクトのマネジメントを任されたら、クライアントの要求事項やプロジェクトの要件定義を確認していきましょう。
これにはプロジェクトのゴールを確認する意味もありますが、プロジェクトの要求事項・要件定義に対し、実際にどの程度詳細な仕様が考えられているのかを確認することの方が大切です。
プロジェクトの失敗というのは仕様が確定されていないことに因る部分が大きいため [2]ロバート・L・グラス (著)、山浦 恒央 (訳)『ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ』日経BP出版センター、2004年、 110頁。 、プロジェクトの要求事項・要件定義に対して、どこまで詳細な仕様が考えられているのかを確認し、理想と現実とのギャップを把握しておくことが肝要です。
必要であれば再度要件定義を行い、プロジェクトのゴールを整理する必要があるかもしれません。
プロジェクト・成果物の進捗状況
次にプロジェクトの進捗を確認していきます。
問題が発生しているプロジェクトは往々にしてスケジュール遅延を引き起こしていることが多いのですが、その中で特にどの工程が問題になっているのかを把握し、重点的にサポートする必要があります。
例えば「成果物Aの完了が大幅に遅延しているため、後工程の作業が軒並み遅れている」ということが分かれば、成果物Aの工程に目を付け、問題を解決していきます。
成果物の品質管理の実施状況
成果物が一応の形を見せているのに、プロジェクトが完了しない場合は、成果物の品質に問題があります。
成果物の品質に問題がある場合は、どのようなメンバーが当該タスクを対応し、どのような品質管理のもとでチェックを行ったのかを確認していきます。
納期に追われて品質管理をおろそかにしたというのであれば、再度スケジュールを調整し、開発をし直すということもできます。
しかし、メンバーの技術力が足らずに品質を満たせない場合はメンバーの交代が必要になるでしょう。
レビュー結果の反映状況
先ほどの成果物の品質管理の実施状況と似ていますが、レビュー結果の反映状況を確認していくと、また違った角度でプロジェクトの問題が見えてきます。
ITプロジェクトでありがちなのは、とあるシステムを構築できたとしても、それがステークホルダーの要求事項を満たさないという状態です。
例えば処理速度であったり、システム利用の手順であったりと、様々な面で当初の要求事項を満たさないことがあります。
レビュー結果の反映状況が芳しくない場合、メンバーの技術力が足らないということも考えられますが、そもそも前任のプロマネが要求事項を正確に把握しておらず、メンバーを配置できなかったという問題も浮き彫りになるかもしれません。
プロジェクトの体制
これまで様々な点を確認してきましたが、最後に現在のプロジェクト体制で上記の問題を解決できるかどうかを確認していく必要があります。
プロマネが交代になるようなプロジェクトでは、そもそもプロジェクト・チームのメンバー選定から誤りがあった可能性も十分にあります。
現在の状況に即して、本当にこのチームで進めていけるのかを考え、再度チームを編成していくとよいでしょう。