資源最適化技法とは何か?資源平準化と資源円滑化についても解説

2020年9月16日

資源最適化技法の概要

資源最適化技法とは、アクティビティの開始日と終了日を調整し、資源の需要と供給のバランスをとる技法のことです。
資源最適化技法では、「資源平準化」「資源円滑化」という2つの手法が使われます。

資源平準化では資源配分を最適化するためにスケジュールを調整します。
一方で、資源円滑化はクリティカル・パスに影響を与えないよう、フロートを調整していきます。

今回は資源最適化技法のメリットと資源平準化、資源円滑化について解説していきます。

資源最適化技法のメリット

資源最適化技法を採り入れるメリットは以下の通りです[1]Resource Optimization Techniques in Project Management | Invensis Learning、 Resource Optimization Techniques | PMP Masterclass – A Project Manager Professional Masterclass Online Training … Continue reading

  • スケジュールに資源の状況を反映させることができる
  • 資源管理を強化することできる
  • 将来の資源の衝突の回避と衝突の影響を削減することができる
  • 費用の削減をすることができる

ここからは、これらのメリットについて説明していきます。

スケジュールに資源の状況を反映させる

スケジュール作成の技法はさまざまあり、クリティカル・パス法PERTなどがあります。
これらの技法には各々のメリットがありますが、欠点として資源の状況を踏まえていないという点が挙げられます。
資源の状況を踏まえないでスケジュールを組み立てても、必要な資源が必要なタイミングで使用できないということがあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、資源最適化技法を用いて、資源の状況を整理し、スケジュールに反映させる必要があります。

資源管理の強化と衝突の回避

資源最適化技法を採り入れると、資源の長期的で総合的な管理をすることができるようになり、プロジェクト・チーム間やプロジェクト間の衝突を回避することにもつなげられます。
資源最適化をしなければ、組織内の様々なプロジェクトが自分の都合だけを考えて資源を求めてきます。
例えば、特殊な技術をもったスタッフAさんに対し、同じ組織内でBのプロジェクトもCのプロジェクトも同時期に協力を要請してしまうと、スタッフAさんの取り合いになってしまいます。同様に、同じプロジェクト・チームの間でも同じ資源を取り合うという状況はめずらしくありません。
このようなトラブルを「衝突」「コンフリクト」などと呼びますが、このような事態が発生しないように、資源最適化技法を組織として採り入れ、特定のプロジェクトだけでなく、組織が抱えているプロジェクト全体で資源管理をしていくことが大切です。

費用の削減

資源最適化技法を用いることは、費用の削減にもつながります。
これはより効率よく資源を使用することにより、無駄が省かれ、その結果としてコストが削減されるというだけでなく、上述の通り、衝突が回避されるので、トラブルによるコストも抑えられるという面があります。

例えば、プログラマー・Dさんの予定が管理されていない状態であれば、どの程度Dさんに仕事を依頼していいのかわからず、過剰に仕事を依頼してしまったり、過小にキャパシティを見積もってしまったりすることがあります。
しかし、資源最適化技法を使って資源の状況を管理していくと、Dさんの状況も整理され、適切な仕事が割り振られるので、Dさんの無駄な時間を減らすことができ、費用の削減につなげられます。
また、このDさんに同じタイミングでプログラミングを依頼しようとしていたEというプロジェクトとFというプロジェクトがあったとします。同一の資源を複数のプロジェクトが取り合ってしまうと、どちらかのプロジェクトは遅延をきたし、その埋め合わせのために緊急料金で他のプログラマーさんにアサインをかけたりしなければならないこともあります。
このように、資源の取り合いという衝突は往々にして予期していなかった費用を招きかねませんので、資源を最適化することは、余計なコストを減らすことにもつながります。

資源平準化の方法

資源平準化のイメージ図
資源平準化のイメージ。負荷の低い日に作業を割り振っていく

資源平準化とは、資源の配分を最適化するためにスケジュールを調整する資源マネジメントの手法です。
資源平準化の基本的な考え方として、負荷がその組織の上限ライン(キャパシティ)よりも高まっている期間の作業を負荷の低い期間に転嫁することによって、必要な資源の量を平準化していきます。

資源平準化はスケジュールの調整だけで導入できるため、安価で済む手法であるものの、クリティカル・パス上の作業の負荷が高まっている場合はプロジェクト全体のスケジュールに影響を与えてしまうため、別の施策が必要になります。

この資源平準化については以下の記事でも解説しておりますので、こちらもご参照ください。

資源円滑化の方法

資源円滑化はプロジェクトの資源の要求量が所定の上限を超えないように、アクティビティを調整する手法です。
資源円滑化は以下のような形で実現していきます[2]Resource Optimization Techniques | PMP Masterclass – A Project Manager Professional Masterclass Online Training

  • 資源の割り当てを調整して、資源不足のチームメンバーにより多くのタスクを割り当てる。
  • チーム・メンバーに残業するように要求する。
  • 一部のタスクを分割して、十分なスキルを持つチーム・メンバーにタスクの重要な部分を依頼し、タスクの重要でない部分をあまりスキルのないチーム・メンバーに割り当てる。

このように、資源円滑化では、アクティビティや資源をやりくりしながら、終了日を変更せずにアクティビティを完遂しようという手法です。
資源円滑化はプロジェクト・マネジャーの差配だけで資源不足を解消できるかもしれませんが、「いくら残業を依頼してもアクティビティの完了に間に合わない」という無い袖は振れないという状況の時は効果を得られないので注意が必要です。

この他のスケジュール作成の技法

今回はスケジュールを作成する際に必要な資源最適化技法について解説していきました。
資源最適化技法は大きく2つの技法で成り立っており、資源平準化資源円滑化という技法がありました。

いずれの手法もスケジュール作成には不可欠ですが、これだけでスケジュールは作成できません。
資源最適化技法をより深く知るためにも、以下のスケジュール作成の技法についてもぜひご確認ください。