WBS(ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー)とは何か?そのメリットと作成方法を解説

2020年6月2日

WBSの概要説明

WBSのイメージ画像

WBSとは“Work Breakdown Structure"の略であり、プロジェクトの作業を階層的に表現した管理手法・ツールのひとつになります。
日本でも"WBS"とそのまま呼ばれますが、Work(作業) Breakdown(分解) Structure(構成) となることから、作業分解構成図とも呼ばれています。
WBSを作る目的は、作業の見える化を図ることです。文字通り、作業工程を細かく分解することで作業を洗い出します。
つまり、WBSはプロジェクトで発生する作業の棚卸しと言い換えることもできるでしょう。

なぜWBSが必要なのか?メリットを紹介

WBSを作成するメリットは様々ありますが、主なものは以下の通りです。

  • スケジュールを立てることができる
  • 作業の役割分担ができる
  • やるべき作業が明確になる
  • 作業間の関係性を把握できる

スケジュールを整理するため

WBSを作る目的は多々ありますが、一番はスケジュールを立てるためでしょう。
作業が明確になることで、必要な時間やコストが割り出せるので、スケジュールを立てることができます。
そのため、システム開発ではプロジェクトの始めにWBSを作成することが一般的です。

資源の割り振りのため

またWBSで作業が明確になれば、各作業に対して担当者を割り振りすることが容易にできるようになります。
システム開発の現場では、様々なレベルの作業があります。
中には難易度の高い作業もあり、相応の担当者を手配しなければならないケースもあります。
事前に難しい作業と判明していれば、手配することも可能になります。

明確な役割分担のため

他にも作業の明確化は、作業範囲の分担につながります。
システム開発の現場ではシステム開発を依頼した側、すなわちクライアントに作業をお願いする場面があります。
作業の明確化ができていれば、日付や作業内容を指定して、お願いすることができるので、クライアント側の負担軽減につながります。
さらに作業の明確化で、作業同士の関係性も把握することができます。
例えば、作業Aが終了していないと、着手できない作業Bがあります。
WBSで見える化を図っていれば、作業同士の関係性を把握することができます。

WBSの作り方

ここまでの説明で、WBSの意味や必要性を理解していただけたと思います。
ここからは、WBSの作り方を紹介いたします。
WBSの作成には様々な手法がありますが、今回はオーソドックスな方法を紹介します。

1.大雑把なレベルで作業を洗い出す

まずは大雑把なレベルでよいので、プロジェクトの完了までに必要な作業を洗い出しましょう。
システム開発で言えば「要件定義」「レイアウト設計」「基本設計」「詳細設計」「コーディング」「テスト」など、プロジェクトを完成させるための主要な作業をリストアップしていきます。
ここでは、これらの作業を「大タスク」と呼ぶことにしましょう。

2.作業を細かく分解していく

次は大雑把に洗い出した作業を、細かくしていきましょう。
先ほど洗い出した大タスクが完了したと言えるには、どのような作業が必要なのかを考えていきます。
例えば「詳細設計」で言えば、「機能Aの設計」「機能Bの設計」・・・と言った具合です。
この段階での洗い出し漏れは後々、大きな影響も及ぼすので、しっかりと洗い出していきましょう
プロジェクトマネジャーやディレクター一人で考えると、思わぬ見落としがあるかもしれませんので、プロジェクト・メンバーとブレインストーミングで作業を洗い出してもよいでしょう。
どうしても一人で考えていかなければならないという場合は、マインドマップを作成するなど、できるだけ作業の漏れがでないように工夫していきます。

3.作業を整理し、階層的に構成する

WBSの参考画像1
参考画像1

大タスクと、その大タスクの完了に必要な作業を洗い出すことができたら、それらを整理し、階層的に構成していきます。
参考画像1のように、一般的には、プロジェクト名をはじめに掲載し、その下にぶら下がる形で大タスクを書いていきます。
多くの場合、左に記載した大タスクから対応していきます。
さらに、大タスクの下には、その完了に必要な作業を記載していきます。
これも多くの場合、上に位置している作業から処理していきます。参考画像1で言えば、作業a-2よりも先に作業a-1を処理していきます。
このようにして洗い出した作業を整理していきますが、目標としては、このWBSを見た人が一目で作業の全容を把握し、必要な作業を理解できるようにすることです。
参考画像1では、大タスクとそれに伴う作業のみを掲載していますが、必要があれば、「中タスク」のように、さらに作業をまとめるカテゴリーをつくってもよいかもしれません。

4.各作業の必要日数(工数)を見積もる

WBSの形ができてきたら、スケジュールを作成するため、洗い出した各作業の必要日数を見積もります。
システム開発など、制作の業界では、必要日数のことを工数と呼んでいます。
過去に経験のある作業であれば、そのときの工数をプログラマーやデザイナーに聞き、参考にするとよいでしょう。
WBSを作成したことによって、作業間の関係性を把握することができるため、作業の従属関係にも注意しながら、スケジュールを組んでいきます。
先ほど「作業の洗い出し漏れがプロジェクトに大きな影響を及ぼす」とお話ししましたが、勘の良い方は「予想していない作業が発生した場合には、どのように対応したらよいのか」と心配されるかもしれません。
もちろん作業内容に漏れがないことにこしたことはありません。
しかし、作業を洗い出し、詳細をつめていったとしても、プロジェクトを進行する上では、予想だにしない作業というものは発生してしまうものです。
そのため、一般的なプロジェクトでは、リスクマネジメントを行いながらも、予想外の作業を想定した上でスケジュールを立てます
ある程度、スケジュールに余裕を持たせることで不測の事態に備えていくとよいでしょう。

5.作業順と担当者を決める

最後に、WBSで作業を確認していきながら、各作業の担当者を決めていきます。
担当者を割り振っていったあとは、RACIチャートにまとめておくとよいでしょう。
RACIチャートについては、以下の記事もご参照ください。

WBS作成を支援するアプリケーション

ここまで紹介したWBSの作成作業を、一から行うのは大変なことです。
Microsoft社のExcelやPowerPointなどで作成していくこともできますが、手作業でWBSの作図をしていくと、せっかく洗い出した作業が抜け落ちてしまったり、それによる修正作業が大変だったりします。
しかし、最近ではWBSを作成するツールも様々開発されており、それらのツールを使えば、負荷軽減につながります。多くの場合、WBSの作成ツールは洗い出した作業を入力すれば、それらをWBSの形で出力してくれます。
例えば以下に掲載したツールはどのツールも有名であり、 Webサイト上で利用可能なので面倒な手間もなく、無料で使用することも可能なので、WBS作成の際はぜひ試してみましょう。

さいごに

今回はWBSのメリットと作成方法について解説していきました。
WBSの作成は通常、プロジェクトマネジャーやリーダーなど上位の役職者が行います。
しかし、スケジューリングやマネージメントは現代のエンジニアには必須スキルのひとつです。
知識として知っているだけでも、心持ちが変わってくると思いますので、
今回の記事を参考にしていただければと思います。