【ばっくれ】依頼していた業者・フリーランスと連絡が取れなくなった時にどうする?予防と事後対応を考える

2020年3月8日

プロジェクトで最も恐ろしいトラブル

プロジェクトにトラブルはつきものですが、プロジェクトの作業を依頼していた業者やフリーランスと急に連絡が取れなくなってしまうのはたまにあることです。

案件が手に負えるものでないことに気づきばっくれてしまった、事故で入院して連絡が取れるような状態でなかったなどです。

このように依頼した業者やフリーランスと連絡が取れなくなってしまう理由はさまざまですが、 残されたプロジェクト・マネジャー(以下、プロマネと略記)はたまったものではありません。プロジェクト計画を前提から見直さなければならないトラブルであり、プロジェクトで最も恐ろしいトラブルだと言えるでしょう。
今回は依頼していた業者・フリーランスと連絡が取れなくなった時にプロマネはどうしたらよいのかを考えていきます。

連絡が取れなくなった時の事後対応を考える

怒りと不安を抑えて事後対応を考える

業者やフリーランスの方と連絡が取れなくなってしまうとプロマネとしては怒りと不安でいっぱいになりますが、まずはグッとこらえて事後対応を考えていきましょう。
早期に対応することで、スケジュールや予算・見積りに変更なく、プロジェクトを完了できるかもしれません。

代わりとなる業者を探す

業者やフリーランスと連絡が取れなくなってしまうと、「どうにかして連絡を取ろう」と考えてしまいがちですが、一度連絡が取れなくなった業者やフリーランスと再び仕事することはひとまず考えない方がよいでしょう。
仕事を放棄してしまった業者は言わずもがな、例えば不慮の事故にあって入院していたという理由であっても、その依頼先に仕事を継続してもらうことは難しいからです。
そのため、依頼していた業者やフリーランスの方と連絡が取れなくなったら、すぐに代わりとなる業者を探していきます。
ポイントは「ちょっと料金は高くても、実績が多く、信頼のおけそうな業者を選ぶこと」です。後ほどお話ししていくように、このようなトラブルが発生する最大の原因は料金だけを見て、発注先の実績や信用を軽視していたことです。

スケジュールへの影響を見積もる

代わりとなる業者が見つかったら、さっそく見積りをとります。
発注まで完了したら、新しい業者になったことによってどの程度スケジュールに影響がでるのかを確認していきます。
まだ依頼する工程が始まっていなければ、被害は軽微です。しかし、もともとの依頼先の業者やフリーランスが担当している工程を進めている途中でいなくなってしまっていたら、かなりのスケジュール変更を覚悟しなければなりません。
そのなかでもプロマネはプロジェクト・チームにだけでなく、ステークホルダーに状況を伝え、スケジュールを組みなおし、できる限り無理のないプロジェクト進行を目指していく必要があります。
どうしてもプロジェクトの完了予定日や納期をずらせないという場合は、タスクを並行実施するなどして、プロジェクトのおしりを調整していきます。
その結果、リソースが足らないということが分かった場合は、タスクの並行実施をするために別の業者に声をかけてみてもよいでしょう。
タスクの並行実施については、下の記事もご参照ください。

増額する費用を見積もる

新しい業者の選定・発注まで完了したら、スケジュールの調整をしつつ、増額するコストも確認していく必要があります。
ほとんどの場合、途中で発注先を変える場合は発注金額が増加します。
なぜなら、新しい発注先も急いでスケジュールやリソースを調整しなければならないため、その分の対応費が上乗せされるからです。
また、先ほど述べたように、このようなトラブルが発生した場合、代わりとする業者は実績や信用を重視して決定するため、料金が高くなる可能性があります。
こうした発注金額の増加に加えて、さらにこのトラブルによって追加の費用やリソースが必要ないかを確認していきます。
例えば、「新しい発注先の進捗を細かくプロジェクト・チームで共有するために、アシスタント・ディレクターを担当に追加した」「リリースが遅れた分、チラシなどの修正も必要になった」など、トラブルが波及している作業がないかを確認し、追加費用が必要であればそれらも計上していきます。

最後まで粘り強く対応していく

代わりとなる業者への発注、スケジュールの調整、費用の見積りまで完了したら、プロマネとしてやるべきことは粘り強くプロジェクトを完了にまで漕ぎつけさせることです。
業者やフリーランスと連絡が取れなくなってしまい、プロジェクトの進行に支障をきたすと、その理不尽さからプロジェクト運用を自分も投げてしまいたくなるかもしれません。
しかし 次の予防法で見ていく通り、 信頼できない業者を選んでしまい、リスクに対応できなかったプロマネの責任も大きいと反省する必要があります。
このようなトラブルが発生すると細かく報告が求められるようになり、プロマネとして大変な日々が続くことが予想されますが、業者やフリーランスと連絡が取れなくなったことも、自分の責任としてとらえつつ、自身の大きな経験になったと考えながら、最後までプロジェクトを進めていきましょう。

予防法を考える

ここまでは依頼していた業者やフリーランスと連絡が取れなくなった後の対応を見ていきましたが、ここからはこのようなトラブルが発生しないような予防法を考えていきます。

業者の選定でどこを見ていくか?

事後対応の中でも少し触れましたが、このようなトラブルが発生する最大の原因は、料金だけを見て依頼先の実績や信用をしっかりと確認しなかったことです。
それでは、業者の選定を行う際は、何に注目していけばよいのでしょうか。
最も重要なのは類似する実績があるかどうかです。COCOMOモデルをつかった工数の見積りであっても、作業内容を把握している開発工数と未知の内容に対応する工数では大きな開きがでてしまいます。依頼内容と似た作業を行ったことがあれば、依頼先の対応も楽になるだけでなく、「依頼内容が思ったようなものではなかった」という理由で業者やフリーランスが音を上げてしまうリスクも低減できます。
ただ、あまり質の高くない業者だと、「似たような案件に対応したことがありますか?」と質問しても、事例もないのに「やったことがあります」と答えられてしまうことがあります。
こうした問題を解消するために、実際に打ち合わせの時間をもらい、「依頼を考えている内容では何に注意して対応するべきか」「どんなリスクがあると考えられるか」など、依頼前につっこんだ質問をしていき、本当に対応できるのかどうかを確認していくとよいでしょう。

相手が個人であれば、複数の連絡手段を聞いておく

ITプロジェクトであれば、依頼する相手がフリーランスなど個人であることも多くあります。
個人で仕事をしている方に仕事を依頼する場合は複数の連絡手段を聞いておくとよいでしょう。
最近ではクラウドワークスやランサーズのように、実際に会ったこともない方に仕事を依頼することができますが、こうしたWebサービスの中だけのコミュニケーションだけでなく、電話番号などの情報を入手しておくことが大切です。
加えて、緊急連絡先も聞くことができればベストです。例えば「もしご病気になられた場合はどちらに確認をすればよいでしょうか」というように、率直にトラブル時の対応方法を聞いてしまってもよいと思われます。

新規の業者・フリーランスとは小さなプロジェクトから

大きなプロジェクトでトラブルが発生するのを予防するために、新規の業者やフリーランスと付き合いを始める場合は、まずは小さなプロジェクトからはじめていきましょう。
作業内容が十分に明らかで、もし新しい業者が思ったような対応をしてくれなくても、代わりの業者にすぐ声をかけられるようなプロジェクトでお試し使用をしてみて、どのような業者・フリーランスなのかを判断することが大切です。

業者・フリーランスを日ごろから探しておく

今回はプロジェクトの最中にタスクを依頼していた業者やフリーランスと連絡が取れなくなってしまった場合の対応法と、このようなトラブルを発生させないための予防法を考えていきました。
お願いしていた業者やフリーランスと連絡がつかなくなると、プロマネとしてはお先真っ暗になってしまいますが、心を落ち着けて代わりの業者を探し、スケジュールや見積りへの影響を確認していく必要があります。
また、このようなトラブルを起こさないためにも、さまざまな予防線を張って業者を選定していくことも大切です。
このようなトラブルが発生すると、個人事業主やフリーランスの方と付き合うことが嫌になってしまうかもしれませんが、人材不足が叫ばれている昨今では所属している組織内で十分な人員を確保することは難しく、外に仕事を依頼せざるを得ない場面は多々あります。とくにITプロジェクトでは部分的なシステム開発や、細かな作業も多く、小規模な会社やフリーランスの方々と上手に付き合っていく必要があります。
そのため、信頼ができて仕事の質の高い業者・フリーランスを日ごろから探しておくこともプロマネの重要な使命であると言えるでしょう。