ドレクスラー/シベットのチーム・パフォーマンス・モデルとは何か?
概要
ドレクスラー/シベットのチーム・パフォーマンス・モデル(Drexler-Sibbet Team Performance Model)はチーム形成の過程を体系化したモデルです。
チームの形成から成果を上げていくまでの過程とそこで生じる課題を7つの段階に分けて定義しています。
前半4つはチームを形成する段階、後半3つはチームを持続させてパフォーマンスのレベルを上げる段階です。
各段階には中核となる質問と、解決される特性と未解決の特性が示されています。
解決される特性が実現された場合、チームは次の段階に進めます。
一方、未解決の特性がある場合は、チームは次の段階には進まず、必要に応じて前の段階に戻ることもあります。
チーム・パフォーマンス・モデルの7つの段階
ドレクスラー/シベットのチーム・パフォーマンス・モデルは以下の7つの段階で構成されています。
- オリエンテーション
- 信頼の醸成
- ゴールの明確化
- コミットメント
- 実行
- ハイパフォーマンス
- リニューアル
上述のとおり、各段階には中核となる質問と、解決される特性と未解決の特性が示されています。
ここからは、各段階の中核となる質問と、解決される特性、そして未解決の特性を見ていきましょう。
オリエンテーション
オリエンテーションは新しくチームが作られる最初の段階です。この段階では、チームの目的とそのチームのメンバーであることの意味を理解していきます。
中核となる質問は「なぜここにいるのか?」です。
チームリーダーやファシリテーターは、メンバーに対してチームの目的とメンバーを集めた背景を説明し、なぜここにいるのかメンバーが自分で答える時間とスペースを提供します。
解決される特性
- 目的
- チームのアイデンティティ
- メンバー
未解決の特性
- 見当のつかなさ
- 不確実性
- 恐怖
信頼の醸成
チーム形成の第2段階である信頼の醸成での質問は「あなたは誰?」です。
チームメンバーはチームの目的を達成するために全員が互いに依存しているという事実を受け入れることが必要です。
ところが新しいチームでまだよく見知らぬメンバーと働くことにはリスクと不確実性が伴うため、互いのことを質問して理解していかなくてはなりません。
質問して肯定的な答えが返ってきた時に信頼は醸成されていきます。
解決される特性
- 相互尊重
- 率直さ
- 信頼
未解決の特性
- 警戒
- 疑い
- 見せかけ
ゴールの明確化
第3段階のゴールの明確化の質問は「私たちは何をするのか?」です。
メンバー間で目標と特定の成果物について合意形成する必要があります。
チームが形成された直後からメンバーがゴールについて全く同じ認識をもっているということはなかなかありません。
その原因の1つは、チームの目標や生み出そうとしている成果物などの詳細が曖昧になっているからです。
そのため、チームリーダーは明確なガイドラインを作成し、目標と意図する結果を他のメンバーと確認するようにします。
解決される特性
- 明確な前提
- 明確でまとまったゴール
- 共有のビジョン
未解決の特性
- 無関心
- 懐疑主義
- 無関係な競争
コミットメント
4つ目の段階であるコミットメントは、チーム・パフォーマンス・モデルの折り返し地点です。
目標が明確になることでチームはついに行動するようになります。
そしてメンバーの関心は「どうやってやるのか?」という質問に移ります。
メンバーのコミットメントを構築するのは、組織やプロジェクトにおける具体的な役割と意思決定プロセスです。
解決される特性
- 役割の割り当て
- リソースの割り当て
- 意思決定
未解決の特性
- 依存
- 抵抗
実行
実行の段階では「誰が何をいつどこでやるのか?」と質問して、道筋を立てていきます。
コミットメントがあっても明確な前進の道筋がない場合は対立と混乱が生じるからです。
PERT図やガントチャート、クリティカルパス法などの目に見えるツールが道筋を立てるのに役に立つでしょう。
解決される特性
- 明確なプロセス
- アラインメント
- 規律に従った実行
未解決の特性
- 対立
- ノンアラインメント
- 期限の超過
ツール
ハイパフォーマンス
ハイパフォーマンスの段階ではチームがうまく機能しており、WOW状態になります。
WOW状態では全員がチームの一部であることに調和と興奮を感じています。
信頼度が高く、明確なゴールやプロセスがあり、役割を果たしているメンバーで構成されたチームはフロー状態に入ることができます。
解決される特性
- 自然なインタラクション
- シナジー
- 飛び抜けた結果
未解決の特性
- 過負荷
- 不調和
リニューアル
時間の経過とともに最初にチームを動かした条件は変化していきます。
リニューアルの段階では「なぜ続けるのか?」と質問します。
この質問によって最初の段階に戻ってその作業がまだ必要で、価値があるかどうかを再評価し、更新する必要があるかどうかを認識できます。
このタイミングではチームの成果から次のプロジェクトまたはチームのためのベストプラクティスとしてまとめておくようにします。
解決される特性
- 認知と祝福
- 変化への精通
- 力の持続
未解決の特性
- 倦怠
- 燃え尽き