ベロシティとは何か?スクラムで用いられる用語を解説
ベロシティの概要
ベロシティとは、プロジェクトマネジメントにおいて、チームが作業を進める速度のことを意味します。
例えば、スクラムチーム(チームで仕事を進めるための枠組み)が定められた期間の中で完了する平均作業量をストーリーポイント(作業完了に必要な全体見積りを示す測定単位)で表したものとなります。
このベロシティは、開発完了見込みの時期予測や、チームの成長度合いを把握するために役立ちます。
ベロシティの活用方法
ベロシティの活用としては以下の3点が挙げられます。
スプリント(一定量の作業を完了させる際の短く区切られた期間)の参考値指標
計画作りの参考値を算出する際にベロシティを利用します。
予定しているスプリントの合計ポイントを確認し、過去のスプリントのベロシティと比較して達成可能なポイントかどうかを判断します。
可能であれば直近の3つのスプリントの平均ベロシティも比較することで、近似値として正確な値を算出することができます。
開発完了見込み時期の割り出し
例として、案件全体の作業量の合計ポイントが200ポイント、チームのベロシティが20ポイントとして仮定した場合、200/20=10スプリントという計算となります。
1スプリントを1週間としているチームであれば、10週で完了する見込みであると示すことができます。
見込みとしての予測となりますが、過去のスプリントで完了した作業量(ベロシティ)をベースに算出するため、現実的な予測値として表すことが可能です。
チームの成長度合いの把握
ベロシティはチームが1スプリントあたりに実施できた作業量の値となるため、ベロシティの安定や上昇傾向となるケースはチームが成長しているという根拠となります。
ベロシティを継続することで過去の実績値の積み上げを行うことができるため、チームの状況が可視化されることで成長度合いを示せます。
ベロシティを活用する上での重要なこと
ベロシティをプロジェクトマネジメントに用いる際は、時間とともにベロシティがどのように推移するかを監視することが重要です。
チームを立ち上げた当初としては、関係や作業プロセスの最適化を行うことでベロシティの向上が見込めます。
また、成熟されたチームでは、ベロシティの追跡を継続することで、特定のプロセスを変更した際の数値変化から最適なプロセスの把握を行うことができます。
このように、チームのベロシティについて継続して計測することで見えてくることもあるため、ベロシティの積み上げを行うようにしましょう。
注意点として、ベロシティはチームが1スプリントに実施する作業量の数値として可視化されるため、ベロシティを上げることのみに注力しがちです。
プロセスの改善などでベロシティを上げていくのであれば問題ありませんが、見直し時にいつもより多くポイントを付けるなど無理にベロシティを上げることが無いように注意しましょう。ベロシティはあくまで作業量の参考値として把握することが大切です。
参考
書籍
- Mike Cohn (著)安井力(訳)、角谷信太郎 (訳)『アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~』毎日コミュニケーションズ、2009年。