プロビジョニングとは、 ユーザーやシステムからのリクエストに応じて、サーバーやネットワーク、ストレージといったITリソースを迅速に提供できるように、あらかじめ準備・設定しておく一連のプロセスを指します。
応用情報技術者試験など、情報技術者試験の勉強をしていると、特にクラウドサービスの文脈で「プロビジョニング」がよく出てきます。
「なんとなく『準備』みたいな意味だとは思うけど、正確な意味は?」 「選択肢の文章がどれも似ていて、違いが分からない…」
そんな経験はありませんか?
この記事では、そんなプロビジョニングの概念を、「レストランの厨房で行われる『仕込み』」にたとえて、その本質を分かりやすく解説します。
このイメージさえ掴めば、試験問題も自信を持って解けるようになります。
プロビジョニングとは「レストランの仕込み」である
![[画像:開店前の厨房で、シェフたちが野菜を切ったり、ソースを作ったりと「仕込み」をしているイラスト]](https://ssaits.jp/promapedia/wp-content/uploads/2025/10/provisioning-1024x538.png)
プロビジョニングを理解するために、人気のレストランを思い浮かべてください。
このレストランでは、お客様が次々と来店し、様々な料理を注文します。
厨房は戦場のように忙しいですが、注文からそれほど待たずに料理が提供されます。
なぜ、そんなに速く料理を出せるのでしょうか?
それは、お客様が来る前に、シェフたちが「仕込み(プロビジョニング)」を徹底的に行っているからです。
- 野菜はあらかじめ切っておく。
- ソースやスープは事前に作っておく。
- 肉には下味をつけておく。
こうした事前の準備(仕込み)があるからこそ、いざ注文(リクエスト)が入ったときに、迅速に調理を完了し、サービスを提供できるのです。
もし、注文が入ってからジャガイモの皮をむき始めていたら、お客様を何時間も待たせることになってしまいます。
事前に野菜の準備をしているからこそ、円滑な提供が可能になります。
ITの世界におけるプロビジョニングとは、まさにこの「仕込み」のことです。
過去問に挑戦!
応用情報技術者試験 春期 午前 問63より
それでは、この「レストランの仕込み」のイメージを持って、応用情報技術者試験の過去問を見てみましょう[1]https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/nl10bi0000009lh8-att/2025r07h_ap_am_qs.pdf 2025年10月14日確認。
【問題】 クラウドサービスなどの提供を迅速に実現するためのプロビジョニングの説明はどれか。
ア 企業の情勢システムの企画,設計,開発,導入,保守などのサービスを,一貫して又は工程の幾つかを部分的に提供する。
イ 業種や事業内容などで共通する複数の企業や組織が共同でデータセンターを運用して,それぞれがインターネットをとおして各種サービスを利用する。
ウ 自社でハードウェア,ネットワークなどの環境を用意し,業務パッケージなどを導入して利用する運用形態にする。
エ 利用者の需要を予想し,ネットワーク設備やシステムリソースなどを計画的に調達して強化し,利用者の要求に応じたサービスを提供できるように備える。
解答と解説
正解は エ です。
各選択肢を「レストラン」のたとえで検証してみましょう。
- ア: これは、レストランの「店舗の企画、設計、建設、オープン後の運営サポートまで全部やります」というコンサルティングや総合サービスの話です。「仕込み」という具体的な準備作業を指してはいません。
- イ: これは、複数のレストランが巨大な「共同厨房(セントラルキッチン)」をシェアして使う、という運営モデルの話です。「仕込み」そのものの説明ではありません。
- ウ: これは、「自分のお店(自社)で、厨房設備(ハードウェア)を一から揃えて、料理を作ります」という運営形態の話です。オンプレミスと呼ばれる形態で、「仕込み」の行為そのものを説明しているわけではありません。
- エ: これが完璧な正解です。「利用者の需要を予想し(ディナーの客数を予測し)、ネットワーク設備やシステムリソースなどを計画的に調達して強化し(食材を計画的に仕入れ、野菜を切ったりソースを作ったりして)、利用者の要求に応じたサービスを提供できるように備える(注文が入ったらすぐに料理を出せるように準備しておく)。」 まさに「レストランの仕込み」の考え方そのものです。
まとめ
- プロビジョニングとは、ITリソースを迅速に提供するための「事前の準備・設定」のこと。
- たとえるなら「レストランの厨房の仕込み」。
- クラウドサービスがオンデマンドで素早く利用できるのは、このプロビジョニングの仕組みが裏で動いているから。
試験でプロビジョニングという言葉を見たら、すかさず「ああ、仕込みのことだな」と思い出してください。そうすれば、複雑に見える選択肢の中から、本質を突いた正解を簡単に見つけ出せるはずです。