【3分でわかる】ニュースでよく見る「MAGA」とは?意味と歴史、「アメリカ・ファースト」との関係を解説

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MAGAは「Make America Great Again」の頭字語であり、ドナルド・トランプが2016年、2020年、2024年の大統領選挙キャンペーンで用いたことで世界的に知られるようになった政治スローガンです[1]https://en.wikipedia.org/wiki/Make_America_Great_Again 2025年10月13日確認
今日では、単なるスローガンに留まらず、トランプのイデオロギー、その政治基盤、あるいはその支持者個人や集団を指す言葉としても広く使用されています。

今回は、「ニュースでMAGAというワードを聞いたけど、今ひとつその意味や、問題点がわからない」という方に向けて、MAGAの起源、アメリカ・ファーストとの関係から解説していきます。

目次

思想の源流 Let’s Make America Great Again

MAGAの思想の起源は、1980年の大統領選挙でロナルド・レーガンが掲げた「Let’s Make America Great Again」と言われています。
このスローガンが生まれた1970年代は、アメリカがウォーターゲート事件による政治不信、ベトナム戦争からの敗走、弱腰外交と揶揄されたカーター政権、そして不況と物価高が同時進行するスタグフレーションによって、国家としての自信を最も失った時代でした。
そんな中でレーガンが訴えた「偉大さの回復」は、こうした混迷からの脱却を意味していました。

MAGAの支持は、こうしたレーガンの掲げたスローガンを懐かしむだけでなく、より過去の理想化された時代への憧れに根ざしていると考えられています。
つまり、「強力な製造業に支えられた中間層の安定した生活」、「伝統的なキリスト教的価値観」、そして「国際社会におけるアメリカの揺るぎない威信」という理想を追っていると言えるでしょう。

思想的支柱としての「アメリカ・ファースト」

MAGAのイデオロギーを具体的な政策に落とし込む際の指導原理が「アメリカ・ファースト(America First)」です。
これは、アメリカの国益、とりわけ国内の経済と雇用を、国際社会への関与や同盟国への配慮といった他のいかなる価値よりも最優先するという考え方です。  

歴史的文脈と現代的変容

「アメリカ・ファースト」という言葉自体は、第二次世界大戦への米国の不介入を主張した1930年代の孤立主義的な運動にその起源を持ちます。
しかし、トランプ政権下でこの言葉が復活した際、その意味合いは大きく変化しました。
それは、国際社会から距離を置く「孤立主義(Isolationism)」ではなく、むしろ国際社会に対してアメリカの国益とルールを一方的に押し付け、既存の国際秩序を米国に有利な形に再編しようとする「単独行動主義(Unilateralism)」へと進化しました。  

グローバリズムへのアンチテーゼ

「アメリカ・ファースト」は、戦後の国際経済秩序の根幹をなしてきたグローバリズムそのものへの根源的な不信を打ち出しています。
たとえば、「自由貿易協定やグローバルなサプライチェーンが、アメリカ国内の製造業を空洞化させ、中間層の雇用を奪った」という認識がその根底にあります。
この視点からは、環太平洋パートナーシップ(TPP)のような多国間協定や、世界貿易機関(WTO)のような国際機関は、アメリカの主権を不当に制約し、国益を損なう存在として否定的に捉えられます。
交渉は多国間ではなく、アメリカの圧倒的な交渉力を最大限に活かせる二国間で行うべきだとされます。  

政策の構成要素

「アメリカ・ファースト」は、具体的に以下の三つの主要な政策分野に現れます。

  1. 厳しい国境管理と移民制限: 「メキシコとの国境に壁を建設する」「イスラム教徒の入国を禁止する」といった主張に代表されるように、国内の雇用と文化を守るためとして、移民の流入を厳しく制限する排外主義的な側面を持ちます。 
  2. 経済的ナショナリズム: 保護主義的な関税政策を駆使して国内産業を保護し、雇用の国内回帰を目指す。貿易赤字は、他国による不公正な搾取の結果と見なされ、是正すべき最重要課題とされます。 
  3. 同盟関係の再定義: 従来の同盟関係を、安全保障という共通の価値に基づくものから、国益の取引(ディール)と見なします。同盟国に対しては、防衛費の増額など応分の負担を求め、それが満たされない場合は、安全保障上のコミットメントを縮小することも辞さない姿勢を示します。  

まとめ:MAGAは単なるスローガンではない

今回は、現代の国際政治を理解する上で欠かせないキーワード「MAGA」について、その起源から思想的背景までを解説しました。

この記事のポイントを改めて整理しましょう。

  • MAGAとは: ドナルド・トランプが掲げた「Make America Great Again(アメリカを再び偉大にする)」という政治スローガンであり、彼の支持層や政治運動全体を指す言葉。
  • 起源: 1980年代のロナルド・レーガン大統領のスローガンに源流を持ち、過去の「強いアメリカ」への回帰を目指す思想が根底にある。
  • 指導原理: 政策の柱は「アメリカ・ファースト」。これは、国際協調よりも自国の経済や雇用といった国益を最優先する考え方。
  • 具体的な政策: 「厳しい移民政策」「保護主義的な貿易」「同盟国への負担要求」といった形で現れる。

MAGAは、単に4つの単語を並べたキャッチフレーズではありません。それは、グローバリゼーションの中で取り残されたと感じる人々の不満や、失われた自国への誇りを取り戻したいという強い願望が結集した、一つの巨大な政治的ムーブメントなのです。

この言葉の背景にある歴史や思想を理解することは、アメリカ国内の政治対立だけでなく、世界中の国々との関係や、今後の国際秩序の行方を読み解く上で、私たちビジネスパーソンにとって不可欠な教養と言えるでしょう。

参考

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