自我消耗とは何か?がんばりすぎるとかえってダメになる心理
自我消耗とは
自我消耗("self-depletion"または"ego depletion")は、心理学の概念の一つで、人が自己統制や意志力を使う課題を続けて行うと、その後の課題や決定において統制力が減少する現象を指します。この現象は、人々が課題に取り組む際に心理的リソースを消費し、その結果、後続の課題や意志力を使う必要のある状況で困難に直面する可能性が高まることを意味します。
この概念は、心理学者ロイ・F・バウメイスター(Roy F. Baumeister)と彼の共同研究者によって初めて提唱されました。彼らは自我消耗の現象が心理的なリソースの一時的な枯渇に関連していると主張し、さまざまな実験でこの現象を裏付ける証拠を提供しました。
自我消耗の具体例
自我消耗の例としては、以下のような状況が挙げられます。
意志力の消耗
一日中意志力を使い続けた後、夜になると誘惑に対処するのが難しくなることがあります。例えば、ダイエット中の人が夜に食べ物の誘惑に抗えなくなることがあります。
意思決定の低下
連続した意思決定を行った後、人は疲れて判断力が低下し、質の悪い決定をしやすくなることがあります。
長時間の集中
長時間の集中力を要する仕事や勉強の後、人は疲れて新しい課題に集中しにくくなることがあります。
がんばりすぎるとかえってよくない
以上のように、過度にがんばりすぎると、反動で自我消耗が発生してしまいます。
たとえば、来週の資格試験に向けて今日徹夜して勉強をしたとします。しかし、それによって自我消耗が発生し、次の日に遊びに行ってしまったり、まったく勉強しなかったりしたら意味がありません。
そのため、学習でもなんでも、自我消耗が発生する手前で、打ち切ることが大切です。
参考
- 三宮真智子『メタ認知で〈学ぶ力〉を高める: 認知心理学が解き明かす効果的学習法』北大路書房、2018年