プロジェクト・ビジネス・ケースとプロジェクト・ベネフィット・マネジメント計画書の違いは何か?

2020年2月2日

似ている2つのビジネス文書の違いは何か?

PMBOKではプロジェクト・ビジネス文書としてプロジェクト・ビジネス・ケースプロジェクト・ベネフィット・マネジメント計画書を挙げています。
しかしこれらの違いについては詳しく語られていません。
今回はプロジェクト・ビジネス文書の「プロジェクト・ビジネス・ケース」と「プロジェクト・ベネフィット・マネジメント計画書」について解説していきます。

そもそも「プロジェクト・ビジネス文書」とは何か?

そもそもビジネス文書とは何を指すのでしょう。
プロジェクトでは様々な文書を作成していきますが、基本的にはどれも「どのようにプロジェクトを進めていくのか」ということを問題にしています。
しかし、プロジェクト・ビジネス文書は「プロジェクト外部に由来する文書であり、プロジェクトへのインプットとして使用される[1]PMBOK第6版、559頁。」というPMBOKの説明の通り、プロジェクトとは別次元で作られる文書でありながら、プロジェクトで使用される様々な文書の情報源となるような文書のことです。
具体的にはなぜこのプロジェクトをする意味があるのか」「どのような利益・便益(ベネフィット)があるのかということを説明しています。
そして、「なぜこのプロジェクトをする意味があるのか」を説明するのが「プロジェクト・ビジネス・ケース」であり、「どのようなベネフィットがあるのか」を説明するのが「プロジェクト・ベネフィット・マネジメント計画書」です。

ビジネス・ケースはプロジェクトをする意味を説明する

プロジェクト・ビジネス・ケース(以下、ビジネス・ケース)は「なぜこのプロジェクトをする意味があるのか」を説明する文書です。
例えばSWOT分析を行った末に発見された機会や、自社の経営課題を考え抜いた末に発見された解決策など、プロジェクトを開始する正当性を与えるような情報がビジネス・ケースには掲載されています。

ベネフィット・マネジメント計画書は得られるものを説明する

他方、プロジェクト・ベネフィット・マネジメント計画書(以下、ベネフィット・マネジメント計画書)は「このプロジェクトが完了するとどのようなベネフィットがあるのか」を説明しています。
例えば「毎月の売上が1,000万円増加する」「タスクAの作業時間が30分削減される」など、具体的な数値をもって目標を設定し、そのベネフィットがどのように実現していくのかをまとめていきます。

両者は、ともにスポンサーなどのステークホルダーに提示する

以上のように、ビジネス文書である「ビジネス・ケース」と「ベネフィット・マネジメント計画書」はプロジェクトの進行方法や計画とは別に、「なぜこのプロジェクトをするのか」「どのようなベネフィットがあるのか」をまとめた文書です。
これらの文書はプロジェクトメンバー間で適宜確認するだけではなく、プロジェクトの実施にあたってスポンサー組織などのステークホルダーに提示し、プロジェクトへの理解と合意を得ていきます。

1PMBOK第6版、559頁。