リードとラグ、バッファーの違いとは何か?スケジュール作成で気を付けたい時間の概念

リードとラグについて

リードとラグの違いのイメージ画像

プロジェクトのスケジュールを作成する際には、「リード」「ラグ」に気を付けていかなければなりません。
「リード」および「ラグ」はスケジュール作成でよく耳にする言葉ですが、あらためてその意味を確認しておきましょう[1]PMBOK第6版、192~193頁。

リード関係する先行アクティビティに対して、後続アクティビティの開始を前倒しできる時間。
ラグ先行アクティビティに対して、後続アクティビティの開始を遅らせる時間。

このリードとラグの意味を深く理解するには、プレシデンス・ダイアグラム法などにより、スケジュール・アクティビティの依存関係を把握する必要があります。
これらの手法や用語については以下の記事で解説していますので、これらの言葉に初めて触れた方はまずプレシデンス・ダイアグラム法とスケジュール・アクティビティの内容から追ってみてください。

リードが発生する場面

上述の通り、リードとは関係する先行アクティビティに対して、後続アクティビティの開始を前倒しできる時間を意味しています。
学校の体育会などで行うリレー走であっても、バトンを渡すまでの間、次の走者はバトンを受け取る前に走り始めることができますが、これもリードと呼ばれます。
このリレー走のリードとスケジュール作成で使われるリードはアイデアとしてはまったく一緒です

例えば、目玉焼きを作るとすると、「たまごを割る」という作業と「たまごを焼く」という作業は終了-開始の関係にあります。しかし、これらの作業を2人で分担しているとして、たまごを割る作業をしている人がたまごをすべて割る前に、たまごを焼く人はフライパンを温めたりと、ある程度作業を先行させることができます。
これこそがリードであり、先行作業が完了する前に後続作業を進めることができる時間を指しています。

ラグが発生する場面

ラグとは、関係する先行アクティビティに対して、後続アクティビティの開始を遅らせる時間のことです。
例えば、最近は動画配信などで「ラグが発生している」というようなことを言いますが、この時に使うラグと意味合いは同じです。

例えば、「資料の作成」とその資料をチェックする「校正」の作業は、ほぼ同時に開始できる開始-開始の関係にありますが、さすがに何の資料もできていないのに、校正をはじめることはできません。
そのため、「資料の作成」をはじめて、10日後から「校正」をはじめようということになるのですが、この10日という期間がラグの時間ということになります。

バッファーとの違い

スケジュール作成では、リードやラグとは別に、バッファーという言葉もあります。
バッファーとは予備の時間を意味しており、三点見積りで推計される時間の振れ幅を考慮して設けられます。

例えば、いつも依頼しているデザイナーにデザインをお願いするとして、いつもであれば3日で作成できるものの、何かのアクシデントを想定して1日の余裕を設けて、締め切りを4日後に設定するようなものです。

参考

1PMBOK第6版、192~193頁。