PMBOKのチームのマネジメントとは何か?
チームのマネジメントの概要
チームのマネジメントとは、PMBOKで紹介されているプロセスの1つで、プロジェクトのパフォーマンスを最適化するために、チーム・メンバーのパフォーマンスを追跡し、フィードバックを提供し、課題を解決し、チーム変更をマネジメントするプロセスです[1]PMBOK第6版、345頁。。
チームのマネジメントの必要性
チームビルディングの名著『Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』では、ソフトウェア開発はチーム競技であると書かれています。
ソフトウェア開発に限らず、チームワークを促進し、チーム・メンバーの活動を統合して、パフォーマンスの高いチームを作るためには、様々なマネジメントやリーダーシップのスキルが必要になります。
また、メンバーにやりがいのある任務を与えたり、高いパフォーマンスを上げたメンバーに対して表彰したりすることで、チーム・メンバーのモチベーションを高めていくことも大切です。
チームのマネジメントのインプット
チームのマネジメントのプロセスを進める上で材料となるものは以下の通りです[2]PMBOK第6版、347~348頁。。
- プロジェクトマネジメント計画書
- プロジェクト文書
- 課題ログ
- 教訓登録簿
- プロジェクト・チームの任命
- チーム憲章
- 作業パフォーマンス報告書
- チームのパフォーマンス評価
- 組織体の環境要因
- 組織のプロセス資産
ここからは、これらのインプットからどのようなことを読み取ればよいのかを解説していきます。
チームのマネジメントの方針
チームのマネジメントの活動には、これまで作成したプロジェクトマネジメント計画書およびその構成要素が大きく影響します。
その中でも、資源マネジメント計画書は、人的資源であるチーム・メンバーのマネジメント方針について記述がされているので、これを確認していきます。
プロジェクト文書の1つであるチーム憲章があれば、チームの意思決定の方法やコンフリクト解消のための方針が記述されていることがあるので、チームのマネジメントのプロセスを進める上で参考になります。
また、組織体の環境要因として、人的資源のマネジメントに影響するような要素があれば、これを確認します。
チーム・メンバーのタスクとパフォーマンス
チームをマネジメントしていく上で、チーム・メンバーが抱えているタスクとそのパフォーマンスを把握することも大切です。
チーム・メンバーにどのような課題があるのかは課題ログから確認でき、そのパフォーマンスは作業パフォーマンス報告書から、そしてその評価はチームのパフォーマンス評価から確認することができます。
組織のノウハウ・プロセス資産
チームのマネジメントを進める上で、組織の経験がまとめられた教訓登録簿を確認しておくと、未然に失敗を防ぐことができ、グッドプラクティスを活用することができるかもしれません。
また、組織内の表彰制度や恩典を確認し、プロジェクトと結び付けていくと、チーム・メンバーのモチベーションを高めていくことができます。
チームのマネジメントのツールと技法
チームのマネジメントで用いられるツールと技法には以下のようなものがあります[3]PMBOK第6版、348頁。。
- 人間関係とチームに関するスキル
- コンフリクト・マネジメント
- 意思決定
- 感情的知性
- 影響力
- リーダーシップ
- プロジェクトマネジメント情報システム(PMIS)
チームのマネジメントのアウトプット
チームのマネジメントの主なアウトプットは以下の通りです[4]PMBOK第6版、350~351頁。。
- 変更要求
- プロジェクトマネジメント計画書更新版
- プロジェクト文書更新版
- 組織体の環境要因更新版
チームのマネジメントは、このプロセス独自の成果物を完成させることはありません。
しかし、チームのマネジメントのプロセスの中で、プロジェクト計画書やプロジェクト文書を見直す機会がでてくるため、その変更要求とそれぞれの計画書・文書の更新版がこのプロセスのアウトプットとなります。
また、チームのマネジメントのプロセスを経て、チームのマネジメントのノウハウが蓄積されれば、組織体の環境要因を更新していきます。
例えば、組織のパフォーマンス評価へのインプットや、メンバーのスキルについての情報が更新されれば、これを書き換えていきます。