ネットワークとは?通信の仕組みと種類を入門者向けに解説

2023年3月31日

ネットワークとは、複数のコンピュータや機器が相互に情報をやり取りする仕組みのことです。情報共有や業務を効率的に進めるためには、ネットワークが必要不可欠です。

本記事では、ネットワークの基礎的な概念や仕組みについて解説します。

目次

ネットワークとは?

ネットワーク(network)とは、Net(網)とWork(作業)を組み合わせた言葉です。正式には「コンピュータネットワーク」と呼ばれ、IT業界では、複数のコンピュータをつなげる技術を指して使われます。

コンピュータが登場したばかりの頃は、1台1台のコンピュータが独立した状態で使われていました。しかし、コンピュータの進化が進む中で、複数のコンピュータを互いに接続して情報共有や情報の伝達を行うコンピュータネットワークが登場しました。

ネットワークが利用される場面

ネットワークは以下のように身近なところで使われています。

  • Eメール
  • Webサイトの閲覧
  • ECサイトでのショッピング
  • SNS
  • 動画配信
  • オンラインゲーム
  • クラウドサービス
  • IP電話
  • 電子決済

当たり前のように利用しているPCやスマートフォンなどの通信端末もネットワークがないと使えません。

ネットワークは、官公庁、学校、病院、金融、物流など、あらゆる業界に浸透しています。リモートワークやオンライン授業の普及も進み、ますます暮らしに欠かせないものとなりました。また、近年では企業におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)が加速し、クラウドサービスの利用も増えています。

ネットワーク通信の仕組み

ネットワークを形成するには、通信を行うための仕組みが必要です。ネットワーク通信で重要となる要素は以下の3つです。

IPアドレス

IPアドレスは、ネットワークに接続された機器の住所です。情報をやり取りする際、送信元と送信先を判断するために、機器ごとに付与されています。

プロトコル

プロトコルは、ネットワーク上で通信するためのルールです。ルールが決められていることで、規格の違う機器同士でも通信できます。

OSI参照モデル

OSI参照モデルとは、ネットワークに求められる機能を7つの階層に分けて整理したルールです。このルールがあることにより、異なるメーカーの製品でも通信できます。

ネットワークの形態

ネットワークの形態は「ネットワークトポロジー」という言葉で表現されます。

ネットワークトポロジーとは、ネットワーク上の機器がどのような形で接続されるかを表す用語です。代表的なものに「バス型」「リング型」「スター型」「メッシュ型」などがあります。

バス型

1本のケーブルに複数の機器が接続されるネットワーク形態です。形がシンプルで、少ないケーブルで構築できます。しかし、ケーブルに障害が発生するとそれに接続するすべての機器で通信ができなくなります。現在ではほとんど使われていないネットワーク形態です。

リング型

リング状に機器が接続されたネットワーク形態です。データは一方向でネットワーク内を流れます。リング型の場合、どこか一箇所でも障害が発生すると、ネットワーク全体で通信ができなくなってしまいます。現在では使われることの少ないネットワーク形態です。

スター型

ハブやルータなどに複数の機器を接続した形です。拡張性が高く、機器を追加してネットワークの規模を簡単に大きくすることが可能です。1本のケーブルに障害が発生しても他機器の通信に影響はありません。一方で、ハブやルータが故障した際は、接続するすべての機器で通信ができなくなってしまいます。現在一般的に使われているネットワーク形態です。

メッシュ型

すべての機器が相互接続されるネットワーク形態です。他の形態と比べて、ネットワークの信頼性が高く障害に強い一方で、必要なケーブルが多く構築にコストがかかってしまうデメリットがあります。そのため、中心となるセンター側のルータや、一部のルータだけをメッシュ型にした形態がよく使われます。

ネットワークの種類

ネットワークの種類は、規模や用途によって、大きく4つに分類されます。

WAN

WANとは「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)」の略で、拠点と拠点を結ぶためのネットワークのことです。企業の場合、物理的に離れた本社と支店を結ぶときにWANが利用されます。

WANの大部分は、通信事業者が所有しています。そのため企業の拠点間を結ぶ際は、NTTやKDDI、ソフトバンクなどの通信事業者が提供するWANサービスを利用します。

WANサービスには以下のようなものがあります。

広域イーサネット

通信事業者の閉域網を利用するVPN接続サービスです。地理的に離れたLAN同士をひとつの大きなLANとして構築できます。

広域イーサネットが普及したことで、簡単に拠点同士をイーサネットで直接結べるようになりました。

インターネットVPN

安価に拠点間を結びたい場合は、インターネットVPNが利用されます。

VPNは、土台になるネットワークの上に、仮想的なネットワークを作り出す技術です。

インターネットVPNは、土台にインターネットを使い、セキュリティのために暗号化します。そのため、通常のインターネット利用料だけで手軽に利用できるのが特徴です。

IP-VPN

IP-VPNは、土台に閉域IP網を利用します。通信事業者の専用回線を利用するため、インターネットVPNよりセキュリティレベルが高いのが特徴です。

LAN

LANとは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略で、オフィスや家庭などひとつの拠点内のネットワークのことです。同じLAN内のネットワークでは、ファイルやプリンターなどの機器を共有できます。

LANの規格は様々なものがありますが、近年ではほとんどの環境でイーサネットが使われています。そのため、LANとイーサネットはほぼ同じ意味で使われています。

WANが設備使用料、通信サービス量などを通信事業者に支払う必要があるのに対し、LANは自前の設備であることが多く、利用料金が発生しないのが普通です。

LANには有線LANと無線LANがあります。

有線LAN

物理的にLANケーブルで機器を接続します。障害物の影響や電波干渉を受けることがなく、安定した通信が可能です。また、直接ケーブルを接続するため電波を悪用されにくく、セキュリティの設定が必要な無線LANと比べて設定がしやすいことも特長です。

無線LAN

LANケーブルの代わりに無線を使って通信を行います。無線LANは電波が届く範囲ならどこでも接続できるメリットがあります。また、ケーブルが必要ないため配線が複雑になることもありません。フリーアドレスの導入などの背景から、社内ネットワークに無線LANを採用する企業が増えています。

インターネット

インターネットは、世界中のネットワークをつないだ世界規模の通信ネットワークです。

インターネットは、世界中のISPが相互接続したネットワークです。世界中のLAN同士を接続することになるため、広い意味でWANのひとつと言うこともできます。

イントラネット

イントラネットとは、WWW、電子メール、TCP/IPなどのインターネット技術を活用して構築する組織内コンピュータネットワークです。イントラネットは、LANやWANを使った内部的なネットワークのことで、会社内やグループ企業内に限定して構築されます。

参考

Webページ

  • https://ssaits.jp/promapedia/technology/wan.html(2023年3月29日確認)
  • https://ssaits.jp/promapedia/technology/vpn.html(2023年3月29日確認)
  • https://ssaits.jp/promapedia/technology/wide-area-ethernet.html(2023年3月29日確認)
  • https://www.ntt.com/business/services/network/internet-connect/ocn-business/bocn/knowledge/archive_100.html(2023年3月29日確認)
  • https://www.n-study.com/internetworking-overview/wan-and-internet/(2023年3月29日確認)

書籍

  • 福永勇二『イラスト図解式この一冊で全部わかるネットワークの基本第2版』SBクリエイティブ株式会社、2023年